目次
1. ワセリンとは

ワセリンの効果を紹介する前に、まずはワセリンについて簡単におさらいしておこう。
ワセリンは石油由来の保湿剤
ワセリンは石油を精製・脱色して作られた保湿剤で、主に皮膚の保護に用いられる。石油は天然素材なので肌に対する安全性が高いとされており、赤ちゃんや敏感肌の方でも使える「万能の保湿剤」として親しまれている。
白色ワセリンと黄色ワセリンの違いは?
ワセリンには白色ワセリンと黄色ワセリンがある。白色ワセリンは不純物が少なく医薬品として扱われる。一方黄色ワセリンは不純物が多少残るため化粧品として販売されている(不純物=肌に悪いということではない)。なお青いふたの「ヴァセリン」(ユニリーバ社)は黄色ワセリンの代表格だ。白色ワセリンも薬局で買うことができるが、より純度の高い「プロぺト」「サンホワイト」といった種類は基本的に処方薬である。
2. ワセリンの効果と副作用について

ワセリンは保湿剤であるとお伝えしたが、厳密にはワセリンそのものに保湿成分が含まれているわけではない。ワセリンを肌に塗ると表面に薄い油膜が張られるのだが、その油膜の作用によって以下のような効果が期待できるとされている。
肌の保湿効果
肌の表面に薄い油膜が張られるおかげで、皮膚の水分の蒸発が防がれる。皮膚に水分が閉じ込められることで潤った状態がキープされるというわけだ。これがいわゆるワセリンの保湿効果である。
肌の保護効果
一方、薄い油膜には外的刺激から肌を守るバリア効果も期待できる。摩擦や空気中のホコリ、有害物質などから肌を守る保護効果だ。赤ちゃんのおむつかぶれ対策にもワセリンが効果的とされている。
ワセリンによる副作用の心配は?
アレルギーの心配はほとんどないとされているが、たとえば敏感肌の方が不純物の多いワセリンを使用した場合、何らかのトラブルを招くといったリスクは排除できない。心配な方は使用を控えるか、目立たない場所にごく少量つけて様子を見るといった対策を講じるとよいだろう。
また唇に塗れることからも分かるように、食事の際の食べ物や飲み物に付着して口の中に入る程度であれば、副作用が出ることは考えにくい。とはいえ体内に大量摂取した場合などは何らかの症状を招くおそれがあるため、正しい使い方をすることが大切だ。
また唇に塗れることからも分かるように、食事の際の食べ物や飲み物に付着して口の中に入る程度であれば、副作用が出ることは考えにくい。とはいえ体内に大量摂取した場合などは何らかの症状を招くおそれがあるため、正しい使い方をすることが大切だ。
3. ワセリンのさまざまな用途と効果・使い方

肌に低刺激という特徴を持つワセリンの効果は、美容だけにとどまらない。日常のいろいろなシーンで使うことができるので一例を紹介しよう。
全身の保湿に
顔や手をはじめ、ワセリンは全身の保湿に使える。気になる箇所に少量塗りこむだけで乾燥するのを防いでくれる。「唇の荒れや皮むけ防止としてリップクリーム代わりに」「スキンケアの最後に使ってカサつき、小じわの予防に」「かかとのガサガサや日焼け後のヒリヒリする肌に」など、あらゆる乾燥の救世主となる。
メイク・日焼け止めの下地に
肌荒れしているときにメイク・日焼け止め下地として使う方法もある。油膜が肌を保護し、ファンデーションや日焼け止めの刺激から肌を守ってくれるのだ。
まつ毛や髪に
まつ毛に少量塗ることで毛がコーティングされ、抜けにくくなる効果が期待できる。髪の毛先に塗れば枝毛防止効果も期待できる。
クレンジングに
オイルであるワセリンは、クレンジングにも使える。適量を手で温めてからメイクとなじませて洗い流そう。落ちたマスカラなどポイントメイクを直すときにも便利だ。
靴擦れ・摩擦の予防に
靴ずれしやすいかかどなどにワセリンを塗っておくと、摩擦が和らぎ靴ずれを予防または軽減できる。ランニング時、ウェアと肌の摩擦を防ぎたいときなどもワセリンが効果的だ。
花粉症対策に
花粉症対策として鼻の周りや鼻腔内、目の周りに綿棒で少量のワセリンを伸ばしておくといった使い方もある。ワセリンが花粉をキャッチし、体内に侵入するのを防いでくれるというものだ。劇的な効果は期待できないかもしれないが、軽減される可能性はある。
擦り傷や火傷の応急処置に
ボクサーの止血にワセリンが使用されていることをご存知の方も多いだろう。傷口を水道水で洗ったあと、ワセリンを塗って食品用ラップなどでパックをすると、痛みが和らぎ傷口の保護効果も得られる。
あかぎれ・ひび割れに
乾燥により皮膚が割れるあかぎれやひび割れの予防・治療にもワセリンの使用が推奨されている。
練り香水として使う裏ワザも
ワセリンに、香水やアロマオイルを数滴混ぜて練り香水として使う方法もある。小分けにして持ち運べば外出先でも手軽に使えて便利である。
4. ワセリンを効果的に使うためのポイント

ワセリンの使い方そのものは難しくないが、より効果的に使うためにも次のようなポイントを押さえておこう。
「肌の保護膜」であることを理解して使う
ワセリンの役割はあくまで肌を保護することだ。肌内部に浸透したり肌に栄養を与える効果はない。そのため顔のスキンケアで使うなら、化粧水や乳液で保湿をしたあと「ふた」として最後に使うのが正解だ。洗顔のあと、ワセリンだけで顔のスキンケアを完了させるのはNGなので気をつけよう。
ジャータイプは小分けにするとよい
大容量のジャータイプに直接指を入れて長期間使うと、指先の汚れや雑菌が入り込み不衛生になるおそれがある。神経質になる必要はないかもしれないが、気になる方は小分けにして使うか、チューブタイプを選ぶなどしよう。
5. ワセリンを使う際の注意点

ワセリンを使うにあたっての注意点もあるのでお伝えしておこう。
パッチテストをする
ワセリンを肌に塗ったときの副作用やアレルギーはほとんど心配ないとされてはいるものの、絶対に安全ということは言い切れない。とくにアトピーの方や、塗り薬でかぶれたことがある方などは、念のため二の腕などにごく少量を塗り、反応が出ないか確認しよう。
塗るときはごく少量を薄く伸ばす
顔にワセリンを塗りすぎるとテカッてしまう。米2粒程度などごく少量を手にとってよく伸ばし、顔を手で軽く押さえつけるようにして塗っていこう。足りなければ、同じ量ずつ追加していくとよい。
顔のスキンケアには白色ワセリンを使う
ワセリンはもともと低刺激だが、その中でも純度が高いほうがより刺激が少ない。顔のスキンケアには黄色よりも白色ワセリンがおすすめだ。肌が弱い赤ちゃんなどはとくに、白色ワセリンの中でも純度の高いものを選ぶようにしよう。
敏感肌の方は黄色ワセリンを避ける
稀にではあるが、ワセリンによって肌荒れが起こる方もいるようだ。敏感肌の方は、顔のスキンケアに限らず、より不純物の少ない白色ワセリンを使うと安心だろう。
ニキビやふきでものには塗らない
薬効成分が含まれていないワセリンには、ニキビやふきでものなどに対する「抗炎症作用」がない。肌の保湿や保護が効果的な場合もあるかもしれないが、ニキビやふきでものの状態によっては毛穴がふさがることで悪化するおそれもあるため、使用を控えたほうがよいだろう。
「油焼け」の危険性はある?
油に含まれる不純物が紫外線で酸化することで起こるのが「油焼け」だ。精製技術の高い現代のワセリンで起こる危険性はかなり低いとされているが、気になる方は日焼けしそうな状況下での使用を控えることをおすすめする。
6. コスパに優れた万能アイテム「ワセリン」を上手に使いこなそう

お伝えしてきたようにワセリンの用途は幅広い。すべて知っていたという方はいるだろうか?そのうえドラッグストアなどで安価で手に入るなど、とにかくコスパに優れた万能アイイテムだ。本稿で紹介した以外にもいろいろな使い方ができるので、ぜひ探してみてほしい。
結論
ワセリンの効果や使い方についていろいろと紹介してきたが、そのベースには「低刺激」で「安全性が高い」ことがある。荒れた肌や傷、あかぎれなどにもしみることなく使えるため、子どもがいるご家庭でも重宝するはずだ。気になる箇所にサッとひと塗りの便利さを、日常生活に役立ててみてはいかがだろうか?