1. パラベンは防腐剤に使われる成分

まずはパラベンがどんな成分なのか、いつから使われているのかなどについて説明しよう。
そもそもパラベンとは何か?
パラベンとは防腐剤の一種で、化粧品では「プロピルパラベン」、医薬部外品では「パラヒドロキシ安息香酸エステル」という名前で表示されている。いくつか種類があるのだが、よく使われている種類はメチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベンなどだ。一般的には有毒性が低い防腐剤として知られており、食品や化粧品などに幅広く使われている。
パラベンはいつから使われているのか?
パラベンは1924年に発見され、1934年にスイスの薬局方(医薬品に関する品質が記載されている資料)に採用された。以降、さまざまな国で使用されるようになり、1986年からは日本でも正しい表示規制の下、広く使われるようになる。
現在は、パラベンの安全性は認められているものの、薬事法で「皮膚障害を起こす恐れのある物質」と定められており、製品への表示義務は必須となっている。
現在は、パラベンの安全性は認められているものの、薬事法で「皮膚障害を起こす恐れのある物質」と定められており、製品への表示義務は必須となっている。
パラベンの用途は何か?
防腐剤の主な役割には、微生物を増殖を防ぐ「静菌作用」と微生物をやっつける「殺菌作用」がある。このうちパラベンは静菌作用のある防腐剤である。化粧品などが製造される過程や消費者が保管している間に、製品の変質などを防止するために配合されているのだ。言い換えれば、化粧品や食品などを長期保存するためにパラベンが使われているといえる。
2. パラベンが使われている代表的なもの

パラベンは主に食品や化粧品、医薬品などに使われている。それぞれどのような目的で使われているのか確認してみよう。
食品
日本ではエチルパラベンやブチルパラベンなどが醤油、ソース類、お酢、清涼飲料水、果物・野菜の表面などの保存料(食品添加物)として使われる。食品ごとの使用量は食品衛生法によって決められており、たとえば、醤油には1Lあたり0.25gまで、お酢には0.1gまでとなっている。なお、食品衛生法で定められているもの以外への使用は禁止されている。
化粧品
パラベンはスキンケア用品やメイクアップ用品、ボディケア用品、洗顔料などさまざまな化粧品に使用されている。薬事法と厚生労働省によって施行された化粧品基準によって、化粧品に使えるパラベンの上限量は100gあたり1gまでと決められている。1%まで使用できるとは決められているものの、実際には0.1~0.5%程度であり、わずかな量しか使われていない。
医薬品
パラベンは古くから医薬品に用いられており、日本でもパラベンの使用が認められている。さまざまな種類の微生物に効果があって、白色・無臭であること、さらには有毒性も低いことから飲み薬や塗り薬、目薬など幅広い薬に使われている。場合によっては防腐剤の効果を高めるために、パラベンと別の防腐剤が一緒に使われることもある。
3. 防腐剤にパラベンが使われる理由

パラベンが食品、化粧品、医薬品などに使われている大きな理由は、静菌効果、安全性、使いやすさのいずれにおいても優れているからだ。とくに、安全性に関しては気になるところだが、研究によれば皮膚に塗った場合にアレルギー反応を起こすことは認められるものの、その発生率は1000人に2~3人程度であり非常に少ないものとなっている。
むしろ化粧品や医薬品などは長期間の保存・使用をすることが多いため、その間に製品の変質が起こるほうが問題となる。変質が起きてしまうと、本来の効果が期待できなくなるだけでなく、病気の原因になってしまう可能性すらある。そのため、パラベンなどの防腐剤を使うことは、消費者が安全に製品を使うために重要なことだといえるのだ。
むしろ化粧品や医薬品などは長期間の保存・使用をすることが多いため、その間に製品の変質が起こるほうが問題となる。変質が起きてしまうと、本来の効果が期待できなくなるだけでなく、病気の原因になってしまう可能性すらある。そのため、パラベンなどの防腐剤を使うことは、消費者が安全に製品を使うために重要なことだといえるのだ。
4. パラベンは乳がんなどの原因になる?

パラベンは安全な防腐剤であるが、2004年にイギリスで「乳がん患者のがん組織の中からパラベンが検出された」という報告が発表された。また、2012年にもイギリスで「対象となる乳がん患者40名からパラベンが検出された」とする研究が発表されている。
しかし、多くの研究者はこれらの研究方法に問題があると反論しており、現在では基本的にパラベンが乳がんのリスクになる可能性はないといわれている。日本でも問題がないとされているため、パラベンに対しては必要以上に不安感を持たなくてもいいのかもしれない。
しかし、多くの研究者はこれらの研究方法に問題があると反論しており、現在では基本的にパラベンが乳がんのリスクになる可能性はないといわれている。日本でも問題がないとされているため、パラベンに対しては必要以上に不安感を持たなくてもいいのかもしれない。
結論
パラベンはもっともよく使われている防腐剤の一つであり、製品のパッケージに記載されているのを目にすることも多いだろう。しかし、パラベンが使われている理由は、あくまでも製品を安全に使えるようにするためだ。もちろん使用による悪影響はないとはいい切れないのだが、それでも安全性は高い防腐剤であることは正しく理解しておこう。