1. そもそも糖質制限とは何か?

糖質制限が皮下脂肪の減少に役立つかどうかを説明する前に、まずは糖質と糖質制限の基本について理解しておこう。この基本を理解しておくことで、糖質制限による皮下脂肪の効果がわかりやすくなるはずだ。
糖質とは?
糖質とは簡単にいうと「炭水化物から食物繊維を取り除いたもの」である。糖質にはブドウ糖、果糖、ショ糖、オリゴ糖、デンプンなどの種類があり、いずれも人間が活動するためのエネルギー源となる。しかも、同じエネルギーである脂質に比べて、消化・吸収に優れているのが特徴だ。また、糖質には脂肪の燃焼をサポートする働きもある。
糖質の過剰摂取の問題
糖質は人間が活動するために必要なエネルギーだが、過剰に摂ると体脂肪として体内に蓄積されてしまう。男性の場合は、内臓脂肪としてつくことが多いが、余った脂肪は皮下脂肪として溜まることもある。内臓脂肪に比べると皮下脂肪は落ちにくい性質があるため、適切な食事量や運動量で皮下脂肪が付かないように注意することが重要である。
糖質制限とは?
糖質制限とは食品による糖質の摂取量をコントロールして、血糖値を上げないようにする方法だ。食事管理によって血糖値の上昇を抑えると、食後に「インスリン」という糖質の吸収を促すホルモンの分泌が緩やかになる。これにより糖質が体内に蓄積されるのを防ぐ効果が期待できる。なお、血糖値を上げないためには食べる順番も気をつけたほうがよい。
2. 皮下脂肪を落とすのに糖質制限は有効なのか?

結論からいうと、皮下脂肪を落とすのに糖質制限はあまりおすすめできないといわれている。もちろん糖質を減らせば痩せやすくはなるのだが、炭水化物の摂取量が減ると便通が悪くなったり、糖質を過度に制限してしまうと脂肪の燃焼効率が下がったりするなどの問題があるからだ。このような糖質制限によるデメリットについて理解しておこう。
炭水化物の制限が肥満の原因になる
糖質制限に取り組もうと思い、炭水化物自体を抜いたりする人は少なくない。しかし、炭水化物の摂取量が少なくなると、糖質だけでなく食物繊維の摂取量も減ってしまう。食物繊維の摂取量が減ると便秘につながり、体内に脂肪が溜まりやすくなってしまうという。炭水化物を抜く糖質制限ではかえって肥満につながる可能性があるので注意しよう。
糖質が減りすぎると脂肪燃焼効率が落ちる
糖質は人間が活動するためのエネルギー源であるため、極端に糖質を減らしてしまうと日々の活動にさまざまな支障が出てくる。たとえば、疲れが溜まりやすくなったり、集中力が切れやすくなったりする。また、体内の脂質を使うためにも糖質が必要になるため、糖質が足りないと脂肪燃焼効率は悪くなる。その結果、皮下脂肪も落ちにくくなってしまう。
糖質制限よりも有酸素運動のほうが役立つ
皮下脂肪を効率よく燃焼したいなら、糖質制限よりも有酸素運動に取り組むほうがいい。有酸素運動を20分以上継続して取り組むと体内の脂肪がエネルギーとして使われ始める。そのため、内臓脂肪や皮下脂肪を落とすことができる。食事制限で落とせる脂肪は主に内臓脂肪なので、皮下脂肪を落としたいなら有酸素運動を行うようにしよう。
3. 皮下脂肪をつけないための糖質制限のやり方

糖質制限は皮下脂肪を落とすことにはあまり効果は期待できない。しかし、糖質の摂りすぎは肥満と関係があるため、糖質をコントロールすることは皮下脂肪がつくのを防止することに役立つ。以下のような方法で糖質制限を行って肥満予防に努めよう。
ステップ1.長期的な目標を立てる
デメリットのところでも説明したとおり、極端な糖質制限を行うと身体に悪影響が出てしまう可能性がある。悪影響を避けるためには、時間をかけて糖質制限ダイエットに取り組むことが重要だ。カロリー制限と異なり、糖質制限の場合は具体的に「いつまでに何kg痩せる」という目標が立てにくい。短期間で急激に行うのはよくないと覚えておこう。
ステップ2.糖質の摂取目安を決める
糖質制限には炭水化物抜きダイエット、アトキンス・ダイエット、ロカボダイエットなどいくつかの種類がある。これらは主に1日の糖質制限量の程度が異なる。厚生労働省が定めている「栄養素等表示基準値」によれば1日の炭水化物の摂取量は320gが目安となっているため、この数値よりも下回るくらいの緩やかな糖質制限から始めるといいだろう。
ステップ3.食品を置き換えて糖質をコントロールする
実際に糖質制限を始めるなら、食べる総量は減らさずに「糖質の多い食品から糖質が少ない食品へ置き換える」という方法を行うとよい。一般的に糖質が多いとされる食品は白米、麺類、パンなどである。一方、肉類や魚類、卵などのタンパク質のほか、葉野菜やキノコ類なども糖質が少ない。中でも、食物繊維を補うためにキノコ類はしっかりと食べよう。
結論
皮下脂肪を落としたいなら、糖質制限のような食事管理に取り組みつつ有酸素運動や筋力トレーニングを行うほうがよい。しかし、糖質の摂りすぎは肥満につながるため、皮下脂肪をつきにくくしたいなら糖質制限に取り組むのはいいかもしれない。極端な糖質制限は身体に悪影響を与える可能性があるので、無理のない範囲で緩やかに糖質制限を行おう。