耳掃除をしないと耳垢が溜まるって本当？正しい知識を身につけよう

耳掃除をしないと、耳垢が溜まって耳が聞こえにくくなると思っている人もいるが、実際にそんなことが起こることはほとんどないそうだ。耳垢は肌のターンオーバー（生まれ変わり）と同じ仕組みで、時間が経つと身体の外へ排出されるといわれている。耳掃除をしないまま過ごしても、耳垢はあごの動きや外耳道の中にある毛の流れに沿って、大抵自然と外に押し出されていく。そのため耳の状態が健康であれば、基本的に耳掃除をする必要性はないとされている。

一方、湿性耳垢や外耳道（耳穴から鼓膜までの道）が狭い場合は耳垢が溜まりやすいため、定期的に耳掃除をしたほうがいいこともあるが、間違った方法で耳掃除をすると、耳垢が耳の奥に溜まって耳が聞こえにくくなってしまうことがある。湿性耳垢や外耳道が狭いことで耳垢栓塞（じこうせんそく）が気になる場合は、自己流で耳掃除をしないで、一度耳鼻科を受診するようにしてもらいたい。（※1）

耳にかゆみを感じる時は、耳の中で炎症が起こっている可能性がある。しかし、耳掃除をしないことが原因で耳の炎症が起こることはほとんどない。逆に耳の炎症は耳掃除のしすぎで起こることが多く、とくに綿棒や耳かきを耳の奥まで入れたり、強い刺激を与えたりすると、外耳道が傷ついて炎症が起こりやすくなってしまう。また、イヤホンや補聴器を頻繁に使っていると、耳垢が外耳道に溜まってしまい、炎症を起こしてかゆみを感じやすくなるようだ。

前述の通り、耳掃除をしないまま過ごしても、耳の健康に悪影響が出ることはほとんどない。ただ、エチケットの一環で耳掃除をしておきたいのであれば、2週間～1ヵ月に1回を目途に耳のお手入れを行うのがおすすめだ。お手入れといっても、耳かきで耳の奥の汚れをかき出すのではなく、綿棒で軽く耳の入り口を拭き取るだけでよい。ケア方法を間違えると炎症を引き起こしてしまうので、十分注意しながら行っていこう。

また、耳の奥の汚れがどうしても気になる場合は、耳鼻科で耳垢を取ることも選択肢のひとつだろう。耳鼻科で耳垢を取るのは決して珍しいことではない。実際に耳掃除目的だけで耳鼻科に通う方も大勢いるので、自分で耳掃除をしない人はぜひ耳鼻科を利用するのもいいかもしれない。