目次
1. まずは肩甲骨のことを知ろう

肩甲骨とは背中の肩部分の左右に位置する、羽のような三角形状の大きな骨のことだ。具体的にどういった役割を担っているのだろうか?
肩甲骨の役割
腕を上下に動かしたりまわしたりする動きをサポートする役割を担っている。肩甲骨の動きは背中に手をまわしてみると感じることができる。胴体とつながっているイメージだが実際につながっているのは鎖骨のみであり、そのほかは筋肉によって支えられている。そのため、何らかの原因で肩甲骨を支える筋肉が収縮したりこり固まったりすると、肩甲骨そのものの動きも悪くなってしまうことがある。
2. 肩甲骨が固まってしまう原因

たとえば次のような方は肩甲骨が固まりやすいとされている。すぐにできるセルフチェックのやり方も紹介するので、一緒に確認してみてほしい。
筋肉量が少ない
筋肉量が少ないと肩甲骨にかかる負担が増えたり、正しい位置で支えられなったりすることがある。その結果、肩甲骨が硬くなることがある。
運動不足ぎみ
血行が悪くなると筋肉がこり固まりやすくなる。肩甲骨がつながっている筋肉が固まることで柔軟性が低下し、可動域が狭くなると、悪循環でさらに固まってしまうことがある。
長時間のデスクワーク、PCやスマホの操作時間が長い
前かがみの姿勢をとる時間が長い方、あるいはゲームなどに集中して筋肉が緊張している状態が長く続く方などは、肩甲骨およびその周辺の筋肉に負担がかかり、固まってしまうことがある。
肩甲骨の柔らかさをセルフチェックしてみよう
背中側に腕をまわして、指先を上に向けるように両手のひらを合わせて(合掌して)みよう。手のひらが全体がつかない方は肩甲骨が固まっているおそれがある。もうひとつ、左右いずれかの手を肩側から背中へ伸ばし、もう一方を腰側から背中に伸ばす。ちょうど背中の真ん中あたりで指先同士が触れられれば(組めればなおよし)肩甲骨が柔らかい。逆に届かない方は固まっていると考えよう。
3. 肩甲骨はがしで得られる嬉しい効果とは

硬くなった肩甲骨には「肩甲骨はがし」がおすすめだ。どういった効果が得られるのかをまとめたので見ていこう。
肩こりを和らげる効果
肩こりの症状は、肩甲骨まわりの筋肉にあらわれることが多い。肩甲骨はがしで僧帽筋や肩甲挙筋などをしっかりほぐすことにより、肩こりの軽減効果が期待できる。
姿勢の改善効果、背中や腰の痛みの改善効果
デスクワークなどで前かがみになることが多い方はとくに、背中や肩が丸まり猫背あるいは巻き肩といったクセがついてしまうことがある。肩甲骨が広がった状態のまま固まってしまうと、上述の肩こりや背中・腰などの痛みを招くことがある。肩甲骨はがしをすることで正しい位置に矯正することによって姿勢の改善効果、ひいては肩こりや背中・腰の痛みの予防効果が期待できる。
脂肪燃焼効果
肩甲骨はがしには脂肪燃焼効果も期待できる。肩甲骨まわりに多く存在する褐色脂肪細胞の動きを活性化させることで、体温の上昇や脂肪の代謝アップといった効果が得られるためだ。
血行改善効果
肩甲骨はがしの効果が期待できる箇所は肩や背中だけではない。継続的に取り組むことで全身の血行が促進され、人によっては身体の調子が徐々に整ってくるということもあるだろう。血行改善には、睡眠の質を高めたり冷えを解消したりする効果も期待できるので、身体の不調が続いている方はぜひ、肩甲骨はがしを取り入れてみてほしい。
4. 肩甲骨はがしの簡単なやり方と効果を得るためのコツ

肩甲骨はがしといっても、実際に骨をはがしたり関節を外したりするわけではない。肩甲骨はがしとは、あくまで肩甲骨まわりの筋肉をほぐすストレッチやエクササイズのことだ。ちょっとしたスキマ時間できる簡単な肩甲骨はがしのやり方を紹介しよう。
肩まわし
- 手を肩に当てる
- 肘を外側に向け、円を描くようにゆっくり腕を5回まわす
- 反対まわりに5回まわす
肩まわしは肩甲骨はがしの中でもオーソドックスなストレッチだ。肘だけをまわすのではなく、肩全体をまわすことを意識するとより効果的である。
胸を開くストレッチ
- 腕を下ろしたまま背中側で手を組む
- 肩甲骨を引き寄せるイメージで胸を開く
- そのまま30秒姿勢をキープし、ゆっくり元の状態に戻していく
胸を開くストレッチは、無理のない範囲で腕を上げていくと効果的に肩甲骨まわりを刺激することができる。継続すれば血流改善効果によってこり固まった筋肉が徐々にほぐれていくのを実感できるはずだ。
布団の上でできる肩甲骨はがし
- 体育座りの姿勢で後ろに寝転がる
- 腕で両足を抱え、左右にゆっくり身体を揺らす
横になった状態でできる肩甲骨はがしはリラックスしながらできる。就寝前のストレッチに最適といえるだろう。
しっかり効果を得るためのコツ
急がずじっくり、ゆっくりストレッチすることが大切だ。また筋トレでも同じことがいえるのだが、実際に肩甲骨およびその周辺の筋肉が「動いている」ことを意識(イメージ)することも忘れないようにしよう。
5. 肩甲骨はがしをする際の注意点

肩甲骨はがしの効果を高めたいからと、無理やり腕を伸ばしたり肩を勢いよくまわしたりするのはNGだ。筋肉や靭帯を傷めるおそれがある。肩甲骨はがしをする際は「痛みのない範囲」で「無理をせず」におこなうのがポイントだ。痛みやしびれを感じたらストレッチを中断し、身体をしっかり休ませてあげよう。
結論
肩甲骨はがしにはさまざまな嬉しい効果がある。今回紹介した以外にも肩甲骨はがしのやり方はたくさんあるので、自分がやりやすい方法、継続していけそうな方法をぜひ見つけてほしい。肩甲骨付近の筋肉を鍛えるトレーニングを取り入れれば、肩こり解消や血行促進のさらなる効果が期待できるのでおすすめだ。