1. 略礼服とは冠婚葬祭で使う礼服の一種

略礼服(読み方:りゃくれいふく)は、礼服のなかで最もカジュアルな位置づけにあり、略礼装とも呼ばれる。まずは礼服の格式や、それぞれを着用すべき場面について知っておこう。
礼服の3つの格式(正礼服・準礼服・略礼服)
冠婚葬祭で着用する礼服は、正礼服・準礼服・略礼服の3つの格式に分かれている。最も格式が高い正礼服はモーニングコート・燕尾服・タキシードなど、続く準礼服は主にディレクターズスーツ(黒ジャケットとグレーストライプのスラックス)というスタイルを指している。最もカジュアルな略礼服では、ブラックスーツを着用するのが一般的である。参加する式典の格式や自分の立場によって、相応しい礼服を選ぶのがマナーだ。
略礼服はすべての冠婚葬祭に着て行ける
略式とされてはいるが、略礼服のブラックスーツは現在ではほとんどすべての冠婚葬祭で着用が可能だ。そのため、良質なブラックスーツさえ一着持っていればさまざまなシーンで着回しがきく。結婚式や二次会のゲストはもちろん、主賓クラスで招かれた場合にブラックスーツを着用しても問題はない。
また、お葬式にもブラックスーツで参列するのが一般的であり、遺族側が正礼服や準礼服ではなく略礼服のブラックスーツで出席することも多い。
また、お葬式にもブラックスーツで参列するのが一般的であり、遺族側が正礼服や準礼服ではなく略礼服のブラックスーツで出席することも多い。
2. 略礼服とスーツの違いとは?

では、略礼服として黒いビジネススーツを着用しても構わないのだろうか?じつは、礼服のブラックスーツとビジネス用のブラックスーツでは生地の質やデザインが違うため、2つを同じものとして扱うのはNGだ。
略礼服とビジネススーツは基本的に違うもの!
礼服用のブラックスーツの生地は光沢のない深い黒色をしており、黒が濃いほど格式が高いとされている。しかしビジネススーツの生地は光沢があり、光にあたると色が薄く見えるものがほとんどだ。また、襟のデザインやシルエットにも若干の違いがある。お葬式などに喪服として黒いビジネススーツを着て行くと、その違いは一目瞭然なのだ。大人の男性であれば、マナーとして略礼服とビジネススーツを使い分けるのが望ましい。
お通夜やカジュアルな結婚式ならビジネススーツも可
お通夜は、そもそも亡くなった当日に行うものなので、「急いで駆け付けた」という意味で平服(ビジネス用の黒スーツやダークスーツなど)で出席してもマナー違反ではない。また、カジュアルな結婚式や二次会などであればビジネススーツで出席しても問題はないだろう。
3. 略礼服はダブルを選ぶべき?

略礼服を選ぶとき、シングルとダブルどちらがよいかも迷うポイントだ。ダブルのスーツには重厚感があり、年配の方が好んで着ることから格が高いと思われがちだが、実際は礼服のシングルとダブルに格の違いはない。自分の好みで選んでOKだ。
お腹周りが気になる方はダブルの略礼服がおすすめ
ボタンが2列になっているダブルは、お腹周りをカバーする効果があり、恰幅のよい体型に似合う傾向があるという。逆に痩せている方がダブルを切ると貧弱に見えてしまうこともある。最近はどんな体型でも似合いやすいシングルの略礼服が主流ではあるが、お腹周りが気になる方はあえてダブルの略礼服をチョイスしてみてもよいのではないだろうか。
4. 略礼服のネクタイやベルト選び

略礼服のブラックスーツは、合わせるネクタイやベルトを変えれば慶事にも弔事にも着用できる。それぞれの場合の小物の選び方についても解説しておこう。
弔事の略礼服のコーディネート
葬儀や告別式などの弔事では、ネクタイや靴、靴下、ベルトまで黒で統一するのがマナーだ。靴は内羽根式(紐を通す部分が内側に縫い込まれているタイプ)のプレーントゥかストレートチップ、ベルトは装飾のないシンプルなもので、革製が望ましい。ワイシャツは白無地を合わせよう。
慶事の略礼服のコーディネート
結婚式や祝賀パーティなどの慶事では、シルバーグレーなど、明るい色のネクタイやチーフを合わせて華やかな印象を出そう。靴やベルトは弔事と同じものを使ってもよいが、ブラウン系で揃えてもOKだ。
結論
略礼服の基本知識や着こなし方をご理解いただけただろうか。略礼服としてブラックスーツを一着持っていれば、急なお葬式からフォーマルな結婚式にまで幅広く対応できる。いざというときにTPOに合わせた略礼服をビシッと着こなすためにも、時間があるときに似合うスーツを選んでおくことが肝心だ。