1. 筋肉収縮のメカニズムとは?

筋肉が収縮するメカニズムは、まだはっきりと解明されていない。しかし、最も有力なのは「滑り説」と呼ばれるものである。ここでは、筋肉の構造について解説したあとに、滑り説について見ていこう。
筋肉の構造
滑り説を解説する前に、筋肉の構造について理解する必要がある。筋肉は、ひものような筋線維が何本も集まってできている。この筋繊維は、さらに細い筋原線維を何百本も束ねたものだ。加えて、筋原線維をさらに拡大すると、アクチンフィラメントとミオシンフィラメントという2種類の線維でできている。筋肉が緩んでいる時、アクチンフィラメントとミオシンフィラメントは端の部分だけ重なり合った状態になっている。
滑り説
脳から出た「筋肉を収縮しろ」という命令が筋肉細胞に伝わると、筋肉にある筋小胞体という場所からカルシウムイオンが放出される。すると、端の部分だけ重なっていたアクチンフィラメントとミオシンフィラメントの重なりが深くなる。そのため、筋肉全体は短く収縮した状態になるのだ。この動きが筋肉を収縮させるメカニズムである。
2. 筋肉弛緩のメカニズムとは?

筋肉の収縮とセットになっているのが弛緩である。弛緩のメカニズムを解説する。
弛緩のメカニズム
脳から出ていた「収縮しろ」という命令がストップすると、カルシウムイオンが筋小胞体に取り込まれる。すると、アクチンフィラメントとミオシンフィラメントの重なりはゆるくなる。これが筋肉の弛緩だ。
収縮と弛緩の関係
筋肉は縮んだりゆるんだりすることはできても、自ら伸びることはできない。では、どのように筋肉は伸びているのだろうか。実は、反対の方向に動く筋肉が収縮することで、筋肉は伸びることが可能になっているのだ。
たとえば、腕を曲げる動作をするのであれば、腕の前側にある上腕二頭筋が収縮し、後ろ側にある上腕三頭筋が弛緩する。逆に、腕を伸ばす時は、上腕二頭筋が弛緩して上腕三頭筋が収縮するのだ。このように前後左右の筋肉が関係し合って、人間の身体は動いているのである。
たとえば、腕を曲げる動作をするのであれば、腕の前側にある上腕二頭筋が収縮し、後ろ側にある上腕三頭筋が弛緩する。逆に、腕を伸ばす時は、上腕二頭筋が弛緩して上腕三頭筋が収縮するのだ。このように前後左右の筋肉が関係し合って、人間の身体は動いているのである。
3. 筋肉収縮の中でも等尺性筋収縮に注目!トレーニング方法も

安全にトレーニングしたい方に注目してほしいのが等尺性筋収縮だ。別名アイソメトリックトレーニングとも呼ばれている。ここでは、等尺性筋収縮について解説していく。さらに、等尺性筋収縮を使ったトレーニングメニューも紹介するので、ぜひ取り入れてほしい。
等尺性筋収縮とは?
等尺性筋収縮とは、関節の角度を変えずに筋肉を収縮させる動作のことだ。たとえば、壁に固定された手すりを下から握り、上に持ち上げようとしたとする。手すりは動かないため、強く持ち上げようとするほど腕に負担がかかるだろう。この時、筋肉に力は入っているが、関節は動いていない。この動作が等尺性筋収縮なのだ。
等尺性筋収縮を利用したトレーニングのメリット
等尺性筋収縮を利用したトレーニングのメリットは、2つある。1つ目は、どこでも手軽に行えることだ。とくに機材は必要なく、狭い場所でもトレーニングが可能である。さらに、トレーニングの時間が短く済むのも嬉しいポイントだ。
もう1つは、安全にトレーニングができる点だ。本人の筋力以上に負荷をかけることはできず、動きも伴わないのでケガのリスクが少ない。初心者の方やリハビリ中の方にも取り入れやすいメニューである。
もう1つは、安全にトレーニングができる点だ。本人の筋力以上に負荷をかけることはできず、動きも伴わないのでケガのリスクが少ない。初心者の方やリハビリ中の方にも取り入れやすいメニューである。
等尺性筋収縮を利用したトレーニング方法・プッシュアップ
ここからは、具体的なトレーニング方法を見ていこう。最初に紹介するのは、胸や腕、お腹を鍛えることができるメニューだ。
- 安定した壁の近くで、両手を床につけ足を伸ばして腕立て伏せの体勢をとる。
- 壁に両足をつき、両肘を90度に曲げる。胸を床ギリギリまで近づけよう。
- 胸からかかとまでがまっすぐになるように30秒キープする。
30秒を2セット行うと効果的だ。
アイソメトリックトレーニング方法・クランチ
お腹の筋肉を鍛えたい方にはクランチがおすすめだ。やり方を見ていこう。
- 仰向けに寝転がり、手足を大の字に広げる。
- 上半身と両脚を床から浮かせ、腰だけでバランスをとる。
- 動かないで30秒キープする。
30秒を2セット行う。
結論
筋肉が動くメカニズムについて解説した。筋肉は収縮と弛緩をくり返しながら稼働している。普段何気なくしている動作も、身体の中ではいろいろなことが起こっているのだ。収縮と弛緩のメカニズムを考えながらトレーニングを行えば、いつもより筋肉を意識しながら鍛えることが可能だろう。