目次
1. ランニングで膝に痛み...ランナー膝の症状とは?

ランニング中、とくに体重の5倍程度の負荷がかかる下り坂の着地のときに、膝に痛みが生じることが多い。代表的な症状をみていこう。
ランナー膝(腸脛靱帯炎:ちょうけいじんたいえん)
ランニングによる膝の痛みの代表的な症状が腸脛靱帯炎、いわゆるランナー膝だ。足を酷使すると膝の外側にズキズキと痛みを感じる。原因は限界を超えて走りすぎ、シューズ・ウェアが合わない、無理なフォームで走り続けたことなどがあるだろう。
鵞足炎(がそくえん)
鵞足は、太ももの内側から膝内側にかけて伸びる3つの筋肉のこと。膝の曲げ伸ばしを過度に行ったことが原因で膝の内側にズキズキと痛みを感じる。
膝蓋靭帯炎(しつがいじんたいえん)
ランニングやジャンプを繰り返し長時間行ったことが原因で発生する膝蓋靭帯炎は、膝の下側にうずくような痛みを感じる症状だ。
膝蓋大腿関節障害(しつがいだいたいかんせつしょうがい)
ランニング中の膝の曲げ伸ばしのとき、膝の皿(膝蓋骨)に繰り返しストレスがかかり、膝蓋骨の周りに炎症が起こり、膝蓋骨の裏と大腿骨の軟骨が削れ、可動域の制限や痛みが現れる。膝への負担がかかる動きのときに膝の前(膝蓋骨の周りや奥)に感じる痛み。膝へのストレス、繰り返しの膝の屈伸、体重増加や筋力低下などが原因といわれる。
変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)
膝関節の軟骨がすり減って関節が変形し、膝の内側や外側に痛みや炎症を感じる症状のこと。初期は膝にこわばりや鈍痛を感じ、進行すると正座や階段の上り下りが困難になり、日常生活に影響が出てくることがある。肥満、加齢による筋力の衰えや過度の関節運動によって軟骨が摩耗したことが原因と考えられている。
2. ランニングで膝の痛みが生じたときにはトレーニングをいったん中止しよう

ランニング中に膝の痛みを感じたら、トレーニングをいったん中止して休むことが大切だ。安静にしてアイシングで患部の炎症を抑えよう。患部周辺の靭帯や筋肉をゆっくりと伸ばすストレッチも効果的だ。痛みを感じたままランニングや筋トレなどの膝に負荷のかかるトレーニングを続けると、膝の痛みを悪化させてしまう可能性がある。ランニングを長く続けるためには、無理は禁物だ。
3. ランニングで生じた膝の痛みを緩和する方法

ランニングで生じた膝の痛みに効果的な3つのストレッチを紹介しよう。ただし整形外科で関節の軟骨がすり減る「変形性膝関節症」との診断を受けている場合は、自己流のストレッチは行わず専門の医師に相談してほしい。
膝の外側の痛みには
- 両足をそろえて立ち、片足を大きく引き軸足とクロスさせる。
- 足の甲を床に付け、両手を軸足の膝に重ねて後ろ脚に体重をかけ30秒キープする。
- 反対側も同様に行おう。
膝の内側の痛みには
- 床に両膝を付け、片足を真横に伸ばす。
- 足の内側を床につけ30秒キープしよう。
- 反対側も同様に行う。
膝の皿周辺の痛みには
ランニングで生じた膝の皿周辺、とくに皿の下あたりの痛みを解消するストレッチを紹介する。
- 脚を伸ばして座り、片方の膝を曲げる。
- 両手を身体の後方へつき痛みが出ないよう徐々に後ろに身体を倒し30秒キープしよう。
- 反対側も同様に繰り返そう。
4. 膝に痛みが生じてからランニングを再開するまでにやっておくべきこと

膝の痛みを感じてからランニングを再開するまでにやっておくべき対策を3つ紹介しよう。
下半身(大腿四頭筋)トレーニング
ランニングによる膝の痛みを防ぐため、太もも前面の大腿四頭筋を鍛えるとよい。スクワットなどの筋トレをしておこう。
ストレッチ
ランニングの前に、太もも内側の内転筋、膝の内側の腸脛靭帯、大腿四頭筋を中心にストレッチを行って柔軟性を保つと、膝の痛みを防ぐ効果が期待できる。
テーピング
膝を安定させるテーピングを行うと、膝にかかる負担を軽減することができるだろう。両サイドから膝を支えるパターン、膝前面に真っすぐ貼る膝の動きをよくするパターンなど自分に合ったテーピングを試してみよう。
5. ランニングによる 膝の痛みが引かないときは?整形外科で診察してもらおう

ランニングによる膝の痛みを感じたら休息を取り、アイシングや膝裏のストレッチなどを試してみよう。しかし、数日経っても治らないときは、整形外科を受診したほうがいいだろう。ランニング中の膝の痛みが続くときに、マッサージや整体でごまかすことも避けた方がよい。ランニングで感じる痛みが膝の外側なのか、内側なのか、どのような治療が必要なのかをスポーツ障害として病院の整形外科で適切に判断してもらうと安心だ。
結論
ランニングの膝の痛みはさまざまな種類があるが、無理をしないこと、適切な対策が大切だ。膝に違和感があったら、専門家に判断を仰ぐことをおすすめする。スポーツ障害に気をつけて、健康的にランニングを楽しんでほしい。