1. ウォーキングの平均速度はどれくらい?

ウォーキングの速度を考えるにあたり、まずは日常生活における速度を知っておこう。一般的には、通常時の平均速度は時速4~5kmだとされている。
通常時の平均時速は4~5km
運動としてのウォーキングではなく、日常生活における歩行速度は、平均時速4~5kmだ。この数値が使われている例として、不動産情報における「駅徒歩3分」のような表示があげられる。全国の不動産業者は取り決めにより、分速80m、すなわち時速4.8kmを基準にしているのだ。通勤時など、特別な意識をせず日常的に歩いた場合、時速は4~5kmである。
平均速度は加齢とともに低下する
なお、通常歩行時の平均速度は、加齢とともに低下することが知られている。たとえば、男性の30代前半の平均時速は約5.7kmだが、40代前半では約4.9km、50代後半では約4.3kmと、年齢が上がるにしたがって平均速度は低下する(※1)。
平均時速より速く歩けているかをチェック
歩行速度が落ちると、日常的な動作や移動の範囲が狭まり、ロコモティブシンドロームの初期症状となる。ウォーキングの速度を検討する前に、自分が年代別の平均速度よりも速く歩けているかどうかをチェックしてみよう。日常的な歩行速度が上がれば、運動としてのウォーキングの速度もあがり、運動効果が高まるはずだ。
2. ウォーキングの効果を高める速度の目安

日常的な歩行の平均速度が分かったところで、運動としてのウォーキングの速度について考えてみよう。一般的にイメージされるように、ウォーキングでは、日常的な歩行よりも速く歩くことが前提となる。では、ウォーキングに適した速度はどのくらいなのだろうか。
ウォーキングの理想的な速度は時速7km
結論としては、効果の高い理想的なウォーキングの速度は時速7kmとされている。これは、1963年にイタリアの生理学者が発表した理論が根拠だ。この理論では、時速8kmを境に、歩く場合と走る場合のエネルギー消費量が入れかわることを提唱している。
通常であれば、歩くよりも走る方がエネルギー消費量は多いように思える。しかし実際には、移動速度が同一で、時速8kmよりも速い場合、走るよりも歩く方がエネルギー消費量は多いのだ。逆に言えば、時速8kmよりも遅い速度の場合には、歩くよりも走る方がエネルギー消費量は多くなる。
通常であれば、歩くよりも走る方がエネルギー消費量は多いように思える。しかし実際には、移動速度が同一で、時速8kmよりも速い場合、走るよりも歩く方がエネルギー消費量は多いのだ。逆に言えば、時速8kmよりも遅い速度の場合には、歩くよりも走る方がエネルギー消費量は多くなる。
時速7kmは走りだしたくなるぎりぎりの速度
理想的なウォーキングの速度は8kmであるとわかった。もちろん、時速8kmのウォーキングも高い効果が得られる。しかし一般的には、時速7kmを超えると、人は歩くのではなく走りだしてしまうのだ。そもそも歩くとは、常にどちらかの足が接地する移動をさし、走るとは、両足が宙に浮く瞬間がある移動をさす。つまり、速く歩いているつもりでも、実際には走っているということが起こるのである。
この境界が、時速7kmなのだ。時速7kmのウォーキングは、ランニングに近いエネルギー消費量がありながらも、自然に走り出さないぎりぎりの速度だ。効果の高いウォーキングをしたい場合、無理のない範囲で時速7kmを目標にするのがよいだろう。
この境界が、時速7kmなのだ。時速7kmのウォーキングは、ランニングに近いエネルギー消費量がありながらも、自然に走り出さないぎりぎりの速度だ。効果の高いウォーキングをしたい場合、無理のない範囲で時速7kmを目標にするのがよいだろう。
3. ウォーキング速度の計算方法

時速7kmのウォーキングは、1時間に7kmを歩くことになる。しかし、習慣的に1時間のウォーキングを行うのは難しい場合もあるだろう。そこで、すでに行っている既定のルートで時速7kmを測る、1時間未満のウォーキングで速度を計算する方法を紹介しよう。
スマホアプリを活用する
最も手軽なウォーキング速度の計算方法は、スマホアプリを活用することだ。ウォーキング専用のアプリが数多くリリースされており、さまざまな用途に活用可能である。速度計は、歩数計とならぶ標準的な機能として、多くのアプリに搭載されている。
中には、GPS機能を使ってかなり正確に速度を計測できたり、アナウンス機能でウォーキング中に速度を教えてくれたりするものもある。事前にルートを設定しておけば、目安となる地点や時間を確認するのも容易だ。記録も残るので、距離や速度の目標も立てやすいだろう。
中には、GPS機能を使ってかなり正確に速度を計測できたり、アナウンス機能でウォーキング中に速度を教えてくれたりするものもある。事前にルートを設定しておけば、目安となる地点や時間を確認するのも容易だ。記録も残るので、距離や速度の目標も立てやすいだろう。
地図を活用する
ウォーキングの速度を手作業で計算するなら、地図と時計があればよい。紙の地図でもよいが、より正確に計算したいならウェブ上やアプリ上の地図がよいだろう。時計は腕時計や、ストップウォッチがおすすめだ。
まず、ウォーキングで歩くコースを地図上でトレースし、距離を測る。この距離(km)を、かかった時間(h)で割れば、時速が割り出せる。地域によっては、自治体や体育館、運動公園のウェブサイトにウォーキングルートが掲載されている場合もあるので、チェックしてみよう。
まず、ウォーキングで歩くコースを地図上でトレースし、距離を測る。この距離(km)を、かかった時間(h)で割れば、時速が割り出せる。地域によっては、自治体や体育館、運動公園のウェブサイトにウォーキングルートが掲載されている場合もあるので、チェックしてみよう。
結論
ウォーキングは、すぐにでも始められる手軽な運動である一方、速度や距離、正しい歩き方など、少しの工夫と意識で効果に差がでやすい運動だ。今回紹介した理想的なウォーキング速度は、あくまでも一般論である。正しい知識を身につけ、自分に合ったペースでウォーキングを楽しんでほしい。
※1:阿久津邦夫(1975)歩行の科学、不昧堂出版、東京