目次
1. 足汗とは?足蹠多汗症との違い

一般的に足は、身体の中でも汗腺が多く「汗をかきやすい部位」として知られている。しかし、そんな足ではあるが、日常生活に支障が出るほど汗をかいている場合は「足蹠多汗症」という病気の可能性も考えられる。そこでまずは、一般的な足汗と足蹠多汗症について解説する。
足汗|生理的な現象による発汗
足汗とは、足にかく汗のこと。鼻汗・脇汗・手汗などと同じで、身体の特定の部位にかく汗を指す言葉のひとつといえる。足は汗が分泌する「汗腺」が多い部位であり、運動や緊張などさまざまな理由で汗をかく。多い日は1日に両足で200ml程度(コップ1杯分)の汗をかくとされている。
足蹠多汗症|生活に支障をきたすほどの足汗
足蹠多汗症(そくせきたかんしょう)とは、生理的な現象とは関係なく、足裏に異常なほどの汗をかいてしまう病気のこと。多汗症の一種であり、手のひらの多汗症(手掌多汗症)と合わせて掌蹠多汗症とも呼ばれる。日常生活に支障をきたすこともあり、医療機関での治療が必要になる場合もある。
2. 足蹠多汗症の主な症状や原因とは?

足蹠多汗症は幼少期・思春期の頃に発症する病気であり、気温や運動、緊張などに関係なく足の裏に大量の汗をかいてしまう。原因は明確にはなっていないものの、発汗を促す交感神経が興奮しやすい可能性が指摘されている。なお、日中の汗の量は多いが、睡眠中の発汗は止まるという特徴がある。
足蹠多汗症に見られる代表的な症状
・足の裏に多量の発汗が見られる(したたり落ちる場合もある)
・足は絶えず湿っていて指先が冷たく紫色になっていることがある
・あせもができてしまい、表皮がめくれてしまうことがある
・カビや細菌などによる感染を引き起こしやすい傾向がある
・足は絶えず湿っていて指先が冷たく紫色になっていることがある
・あせもができてしまい、表皮がめくれてしまうことがある
・カビや細菌などによる感染を引き起こしやすい傾向がある
3. 足蹠多汗症の診断基準と重症度判定

足蹠多汗症の一般的な診断基準と重症度判定などは『原発性局所多汗症診療ガイドライン 2015 年改訂版』に詳しく記載されている。ここでは診断基準と重症度判定それぞれについて確認しよう。
診断基準|足蹠多汗症かどうかを判断する
ガイドラインでは「局所的に過剰な発汗が明らかな原因がないまま6か月以上認められ、以下の6症状のうち2項目以上に当てはまる場合を足蹠多汗症のような局所多汗症と診断する」としている。もし心当たりがあるなら医療機関を受診してみよう。
【足蹠多汗症の一般的な診断項目】
・最初に症状がでるのが 25 歳以下であること
・対称性に発汗がみられること
・睡眠中は発汗が止まっていること
・1 週間に 1 回以上多汗のエピソードがあること
・家族歴がみられること
・それらによって日常生活に支障をきたすこと
・対称性に発汗がみられること
・睡眠中は発汗が止まっていること
・1 週間に 1 回以上多汗のエピソードがあること
・家族歴がみられること
・それらによって日常生活に支障をきたすこと
重症度判定|どれくらい重症かを判定する
局所多汗症の重症度判定は「HDSS分類(多汗症疾患重症度評価度)」で行うことが多い。これによると4段階ある重症度のうち(3)と(4)の場合を「重症」としている。また、ヨード紙などを使った「発汗量測定法」による重症度の判定方法もある。
【足蹠多汗症の一般的な重症度項目】
(1)発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない
(2)発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある
(3)発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
(4)発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある
(2)発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある
(3)発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
(4)発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある
4. 足蹠多汗症の場合の基本的な治療方法

足蹠多汗症の治療方法はいくつかあるが、前述のガイドラインによると、足蹠多汗症の場合は「塩化アルミニウムの単純外用/密封療法」が第一選択、「ボツリヌス毒素局注療法」が第二選択となっている。このほか、イオントフォレーシス、内服治療、神経ブロック注射などを提案されることもあるようだ。それぞれに特徴があるため、担当医とよく相談のうえ治療を受けるようにしよう。
5. 足汗のトラブルは皮膚科に相談しよう

足汗のことで悩んでいる場合は、基本的に皮膚科に相談するのがおすすめだ。また、多汗症に関する専門診療を行っている医療機関を受診するのも良いだろう。「気温や運動に関係なく足汗をたくさんかく」「普段から靴の中や靴下が汗で湿っている」「足汗だけでなく手汗もひどい」などの困り事・悩み事がある場合は、無理せずに医療機関へ相談してみると良いだろう。
結論
足汗は、運動や緊張など生理的な現象でかくことが多い。しかし、これらの原因とは関係なく、いつでも足汗が多い場合は「足蹠多汗症」などの病気が疑われる可能性もある。もし足汗で日常生活に支障が出ているのであれば、我慢せずに皮膚科などに相談してみよう。
(参考文献)
- ※:日本皮膚科学会ガイドライン『原発性局所多汗症診療ガイドライン 2015 年改訂版』
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/genpatuseikyokusyotaknsyouguideline2015.pdf - ※:公益社団法人日本皮膚科学会「汗の病気―多汗症と無汗症―」
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa32/