1. ストレッチの種類を知って効果的に効かせる
ストレッチを効果的に効かせるには、ストレッチの種類別効果や目的を知っておくことが重要だ。ストレッチの詳しい種類を解説する前に、まずはストレッチとはどんな運動なのかを確認しよう。
そもそもストレッチとは?
ストレッチとは、筋や関節を伸ばしながら筋肉の柔軟性を高める運動だ。固まった筋肉の緊張がほぐれ、血流が改善することがストレッチの基本的な作用である。ウォーミングアップ(怪我の予防)やリハビリなどに用いられるほか、疲労回復、コリの緩和、リラックスなどの目的でも行われる。
筋トレとの違いは?
ストレッチの目的が筋肉を柔らかくすることであるのに対し、筋トレは、筋肉を成長させたり、筋肉の持久力や瞬発力を高めたりするために行われる。2つの目的は異なるものだ。
ただ、筋トレの前後にストレッチをすることで、筋トレのパフォーマンスを上げる・疲労回復を早めるなどの効果も期待でき、2つを組み合わせて行う場合もある。
ただ、筋トレの前後にストレッチをすることで、筋トレのパフォーマンスを上げる・疲労回復を早めるなどの効果も期待でき、2つを組み合わせて行う場合もある。
2. ストレッチは大きく分けて2種類
ここからは、本題であるストレッチの種類を解説しよう。冒頭で述べたように、静止して行う静的ストレッチ(スタティックストレッチ)と動きながら行う動的ストレッチ(バリスティックストレッチ/ダイナミックストレッチ)の、大きく2種類に分けることができる。
静的ストレッチ(スタティックストレッチ)
静的ストレッチは、一定のポーズを保ち筋肉をゆっくりと伸ばす方法だ。勢いや反動をつけず静止したままじっくり伸ばす、いわゆる一般的なストレッチである。運動後のクールダウンや柔軟性の向上、疲労やコリの改善、ストレス解消などの目的で行うのが基本だ。故障のリスクが少ないのもメリットである。
動的ストレッチ(バリスティックストレッチ/ダイナミックストレッチ)
動きながら行うストレッチを動的ストレッチと呼び、主に運動前のウォーミングアップなどに用いられる。動的ストレッチは、さらにバリスティックストレッチとダイナミックストレッチの2種類に分けられる。
- バリスティックストレッチ...反動を利用してリズミカルに筋肉を伸ばす方法だ。テンポよく行うアキレス腱伸ばしなどがイメージしやすい。ただ急激に筋肉を伸ばすため、筋肉に負担がかかりやすい面もある。
- ダイナミックストレッチ...身体を動かしながら筋肉を伸ばす方法で、ラジオ体操などもダイナミックストレッチの一種だ。特徴は、伸ばす筋肉と反対の作用をもつ筋肉(拮抗筋)を収縮させる動作や、実際の運動に似た動作を取り入れている点である。
2種類のタイミングを間違うと逆効果なことも
たとえば、運動前の静的ストレッチにはケガを予防する効果はほぼないと分かってきた。静的ストレッチで筋肉の柔軟性が高まりすぎると、かえって目指すべきパフォーマンスができなくなることもあるという。運動前には筋肉を目覚めさせる動的ストレッチを選ぶべきなのだ。
逆に就寝前などに動的ストレッチを行えば、心拍数が上がり寝つきが悪くなってしまうため、リラックス効果のある静的ストレッチが最適だ。2種類のストレッチを使い分けることが、ストレッチの効果を最大限に得るコツだと覚えておこう。
逆に就寝前などに動的ストレッチを行えば、心拍数が上がり寝つきが悪くなってしまうため、リラックス効果のある静的ストレッチが最適だ。2種類のストレッチを使い分けることが、ストレッチの効果を最大限に得るコツだと覚えておこう。
3. 種類別おすすめストレッチ[静止のストレッチ]
ストレッチの種類を説明したところで、次は種類別におすすめストレッチを紹介しよう。まずは簡単な静的ストレッチを3種類紹介する。
下半身のストレッチ
- 背筋を伸ばして椅子に座り、片方の足を前に伸ばす
- 伸ばした足のかかとを床につけたまま、つま先をぐっと反らす
- 背筋を伸ばした状態で上半身を前に倒す
- 太ももの裏側の伸びを感じながら20~30秒キープ
太ももの裏側の筋肉(ハムストリング)を伸ばすストレッチで、下半身全体の疲労回復にも効果的だ。上半身を倒すとき背中が丸まらないよう注意しよう。
首のストレッチ
- 背筋を伸ばし、右手を頭の上から左側頭部に回す
- 右手で軽く左側頭部を押しながら首をゆっくり右に倒す
- 左右を入れ替え同様に行う
- 後頭部で両手を組み、頭を前に倒して首の後ろ側を伸ばす
- 手を下ろし、頭を後ろに倒して首の前側を伸ばす
首の左右・前後を伸ばすストレッチだ。各方向15秒ずつ2セットが目安である。首のストレッチは肩こりや頭痛の予防にもつながるので、定期的にほぐすのがおすすめだ。
腕のストレッチ
- 左腕を斜め下方向に伸ばし、手のひらを下に向ける
- 左手の指先を右手で包み込み、下に引きながら腕の外側を伸ばす
- 続いて左手首を反らし、左手の指先を手のひら側から右手で包み込む
- 手前側に引きながら腕の内側を伸ばす
前腕の外側と内側を伸ばすストレッチで、指の疲労にも効果的である。各10秒×3セットが目安だ。パソコン作業や腕を使うスポーツの疲労回復に向いている。
4. 種類別おすすめストレッチ[動きのあるストレッチ]
続いては3種類の動的ストレッチを紹介する。動的ストレッチにもさまざまな種類が存在し、筋トレやヨガのポーズの中に動的ストレッチの要素が入っているものもある。無理はせず、自分の目的に合った種類のストレッチを選んでみてほしい。
ワイドスクワット
- 足を肩幅より大きく広げ、つま先を45度の角度で外側に向ける
- 胸を張り、膝を外に広げながらゆっくりと腰を落とす
- 太ももが床と並行になるくらいまで下ろしたら、元に戻す
- 10回×3セット行う
通常よりも足幅を広くして行うワイドスクワットは、股関節周りの筋肉をほぐし、股関節の可動域を広げる効果がある。膝を外側に向けてしっかり沈み込み、股関節周りを伸ばそう。もちろん筋トレとして太ももやお尻にも効く。
ダウンドッグ
- 両手と両膝を床につけ四つん這いの姿勢になる
- つま先を立て、両手と両足に均等に体重を乗せながらお尻を上げていく
- 全身で三角形の体勢をとったら、手足で床を押しながら背中や脇・腕などを伸ばす
- 次にかかとを床につけひざの裏を伸ばす
- そのまま3~5呼吸キープして、元の姿勢に戻る
ヨガのポーズであるダウンドッグは、肩周りから背中、腰、脚の裏側など背面全体のストレッチ効果がある。全身の筋肉が刺激でき、血行促進や疲労回復効果も高い。ただ初心者には難しいポーズなので、できる範囲でゆっくり取り組んでみよう。
ラジオ体操
ラジオ体操は全身の筋肉をまんべんなく使う動的ストレッチの一種だ。ストレッチ効果を高めるには、ただ順番通りに動くのではなく、リズミカルに大きく身体を動かすことが大切。流れを思い出しながらチャレンジしてみてはいかがだろう。
ちなみに第1より第2のほうが運動強度が高いので、よりカロリーを多く消費したいなら第2まで通して行うのがおすすめだ。
ちなみに第1より第2のほうが運動強度が高いので、よりカロリーを多く消費したいなら第2まで通して行うのがおすすめだ。
結論
2種類のストレッチの違いについて大まかにご理解いただけただろうか。大切なのは、2種類を適切なタイミングで行うことだ。静的ストレッチはゆっくりと心身をリラックスさせたいときに、動的ストレッチは運動前などアクティブに動くための準備として、ぜひ使い分けてみてほしい。