1. そもそもパワーリフティングってどんな競技?

まずは、パワーリフティングの基本的な競技内容について紹介しよう。
バーベルの合計拳上重量を競うスポーツ
パワーリフティングとは、バーベルを使った3種目(スクワット、ベンチプレスおよびデッドリフト)の合計挙上重量を競うスポーツだ。よく混同される言葉に「ウエイトリフティング」があるが、こちらはスナッチとクリーン&ジャークという2種目の合計挙上重量を競う。パワーリフティングでは、種目ごとにバーベルの使い方が異なるのに対し、ウエイトリフティングでは、2種目ともにバーベルを頭上に掲げるという点で違いがある。
スクワットとベンチプレスおよびデッドリフトの3種目
パワーリフティングの種目は、スクワット、ベンチプレスおよびデッドリフトの3種目だ。スクワットは、バーベルを肩にかついで直立した姿勢から、大腿の上面が膝よりも低くなる位置までしゃがみ、また立ち上がる種目である。ベンチプレスは、ベンチの上に仰向けになり、胸につけたバーベルを挙上し、元に戻す種目だ。また、デッドリフトは、床のバーベルを引き上げて直立する種目だ。それぞれ3回ずつ試技を行い、3名の審判によって成否が審査される。各種目で成功した最も大きい重量の合計により、順位が決定される。
厳しいルールとレギュレーションのある究極の筋肉バトル
パワーリフティングと聞くと、ジムで行うウエイトトレーニングを想像するかもしれない。しかし、パワーリフティングはれっきとしたスポーツである。したがって、そこには厳格なルールやレギュレーションが存在する。単にバーベルを持ち上げたり、引き上げたりするだけでは不十分なのだ。パワーリフティングは、肉体のポテンシャルを最大限に引き出し、意識的に発揮する究極の筋肉バトルなのである。
2. パワーリフティングに階級はある?

パワーリフティングには、他のスポーツ同様、区分や階級が存在する。まず、着用する服装によって大きな2つの区分がある。フルギアは、パフォーマンスの向上が期待できる反発素材などを着用できるが、ノーギアは、このようなスーパースーツやベンチシャツを着用できない。フルギアとノーギアの区分内でもさらに、体重によって決定される階級と、年齢によって区分される年齢区分がある。ここでは、体重による階級と、年齢区分について紹介しよう。
階級は男子8階級・女子7階級
パワーリフティングの体重による区分は、男女別に規定されている。男子は、59kg、66kg、74kg、83kg、93kg、105kg、120kg、120kg超の8階級だ。女子は、47kg、52kg、57kg、63kg、72kg、84kg、84kg超の7階級である。大会当日の計量によって階級が決定するため、競技者には、競技直前の苛酷な減量が求められることが多い。なお、年齢区分のサブジュニアやジュニアでは、男子53kg級、女子43kg級が追加される。
年齢区分は男女共通の7区分
パワーリフティングの年齢区分には、満14歳以上オープンの一般に加え、カレンダーイヤーによって6つの区分がある。満14歳からカレンダーイヤー18歳がサブジュニア、19歳から23歳がジュニアで、40歳以上49歳以下、50歳以上59歳以下、60歳以上69歳以下、70歳以上がそれぞれマスターズ1~4の区分となっている。
3. パワーリフティングの開催時期はいつ?

ここでは、パワーリフティングの大会の開催時期について紹介しよう。世界でもメジャーなスポーツであるパワーリフティングは、実にさまざまな大会が開催されている。
東京パラリンピックで2021年8月末に開催される
こんにちにおいて、最も注目すべきは、やはり東京パラリンピックだ。パラリンピックでは、1964年の東京大会から、パラ・パワーリフティングが正式種目として採用されている。パラ・パワーリフティングとは、障がいによって立位でのウエイトリフティングが困難な選手向けに、専用のベンチプレス台を使用したベンチプレス競技のことである。2021年の8月26日から、体重別の競技が順次行われる予定だ。パワーリフティングは、現時点でオリンピックの正式種目ではないため、パラリンピックへの注目が集まることになるだろう。
国際大会選考を兼ねた国内大会も順次開催
日本国内においては、国際大会の選考を兼ねた大会が順次行われている。1972年に設立された日本パワーリフティング協会が主催するものが主だ。たとえば、4月には全日本男子・女子パワーリフティング選手権大会が、5月には全日本実業団ベンチプレス選手権大会が開催予定である。また、7月には全日本ベンチプレス選手権大会が、8月には全日本高等学校パワーリフティング選手権大会が開催予定であるなど、年間を通してさまざまな大会が催されている。
結論
パワーリフティングは、ジムで行うウエイトトレーニングとは異なり、厳格なルールとレギュレーションに則ったスポーツだ。3種目の合計挙上重量で順位が決まるため、単に筋肉を鍛えるだけではなく、競技としてのトレーニングも必要となる。いわば、究極の筋肉バトルなのだ。