1. カゼインプロテインの基本
カゼインプロテインはホエイプロテインと同じく牛乳を原料として作られている。しかしプロテインとして一般的なのはホエイプロテインであり、カゼインはいささかマイナーな存在だ。まずは、カゼインとは何なのかという点から解説していこう。
カゼインとは?
牛乳に含まれるタンパク質は、約80%の「カゼイン」と約20%の「ホエイ」の2種類に分けられる。ホエイは水溶性のため体内に素早く吸収されるが、カゼインは不溶性で体内への吸収スピードが遅いのが特徴だ。またカゼインは酸により固まる性質があり、ヨーグルトやチーズなどの乳製品はこのカゼインの凝固性を利用して作られている。
カゼインプロテインとは?
牛乳由来のカゼインを原材料として作られているのがカゼインプロテインだ。ホエイに比べ数は少ないが、カゼインを主成分としたプロテインももちろん存在する。カゼインプロテインのメリットは「吸収スピードの遅さ」であり、後述するが、目的やタイミングによってはホエイよりカゼインを選んだほうが効果的となる。両方の特徴を知り併用するのもよい。この先では、カゼインプロテインの特徴についてさらに詳しく説明していこう。
2. カゼインプロテインの特徴
乳タンパク質の成分中80%を占めるカゼインが原材料のカゼインプロテイン。どんな特徴や機能性があるのかを詳しく見ていこう。
その1.ホエイに比べて吸収スピードが遅い
ホエイプロテインは摂取してからおよそ2時間で体内に吸収されるが、カゼインプロテインは、7~8時間ほどかけてゆっくりと体内に吸収される。デメリットのようにも思えるが、吸収が遅いことで、血中のアミノ酸が長時間にわたり高い濃度で維持されるという恩恵が得られる。スタミナや満足感の持続にもつながるため、カゼインプロテインは持久力が必要な運動中やダイエット中の栄養補給などにも適している。
その2.アミノ酸のバランスが優れている
牛乳由来のカゼインは、動物性タンパク質であり栄養価が高いのも特徴だ。とくに体内では作り出せない必須アミノ酸がバランスよく含まれ、カゼイン・ホエイ共にいわゆる「アミノ酸スコア100」という良質なタンパク質を摂取できる。
大豆由来のソイプロテインには必須アミノ酸が不足していることもあるため、アミノ酸バランスを考えるならカゼイン・ホエイがおすすめだ。またカゼインにはカルシウムと鉄の吸収を助ける働きもあり、貧血などの予防にも一役買ってくれる。
3. カゼインプロテインの正しい飲み方
続いて、カゼインプロテインの正しい飲み方と飲むタイミングについて解説しよう。
カゼインプロテインの飲み方
カゼインプロテインは、ホエイやソイプロテインと同じく規定量を水などに溶かし、シェーカーなどでよく混ぜてから飲めばOKだ。腹持ちをよくしたければ、牛乳や豆乳に溶かして飲むのがおすすめである。好みによってジュースやスポーツドリンクなどに溶かしてもよい。ただし作り置きをすると傷みやすくなるので、飲む直前に作るのが基本である。
カゼインプロテインには、分子が大きく吸収が遅い「カゼインミセル」と、水に溶けやすく比較的吸収も早い「カゼイネート」の2種類がある。腹持ち重視ならカゼインミセル、溶けやすさ重視ならカゼイネートと飲み分けるのもおすすめだ。
カゼインプロテインを飲むタイミング
長時間にわたって身体にタンパク質を供給してくれるカゼインプロテインは、前述のとおり、トレーニングの休息日や就寝前のタンパク質補給にもってこいだ。満足感が長く持続するため、ダイエット中の間食や、スタミナが必要な運動中の摂取にも向いている。
そのぶん、カゼインプロテインは吸収の早いホエイプロテインのように筋トレ直後のタンパク質チャージには適さない。トレーニング後のゴールデンタイムにはホエイ、休息日にはカゼインとうまく使い分けるのが正解だ。ひとつに2種類の成分を含んだプロテイン製品もあるので、時間差吸収を狙って活用してもよいだろう。
4. おすすめのカゼインプロテイン3選
最後に、おすすめのカゼインプロテインを3種類紹介しよう。
おすすめ1.Myprotein「スロー リリース カゼイン」
プロテインやサプリ、スポーツウェアを販売するイギリスのブランド・マイプロテイン。スロー リリース カゼイン(旧商品名:カゼインミセル)は、1回分あたり約23gの良質なタンパク質を含み、就寝前の栄養補給や休息日の身体づくりにぴったりの製品。ノンフレーバー、チョコ、バニラ、ストロベリーの4種から選べ、カロリーは1回分で105kcalだ。就寝前に飲む場合は30分前がおすすめである。
おすすめ2.NICHIGA「カゼイン ミセル プロテイン」
ドイツ発のカゼインプロテインで、食品安全の国際規格であるISO22000を取得している。1回分あたりのたんぱく質含有量は約16.4gとやや低めだが、他の商品と比べコスパのよさで支持を集める。公式サイトでは定期便割引も行っている。プレーン味1種類だが、飲みやすいという口コミも多く、初心者にも向いている。1回分は72kcal。
おすすめ3.バルクスポーツ「ビッグカゼイン」
国産ブランドがよいという方なら、バルクスポーツのビッグカゼインもおすすめだ。ナチュラル味だと、1回分あたり約24.3gとタンパク質を高含有している。他フレーバーのキャラメル・マンゴー・チョコでも約22gと高水準である。カロリーは、プレーン味が107kcal、他が110kcalと若干差があるので、考慮して選ぶとよいだろう。
結論
カゼインプロテインの特徴やメリットをお分かりいただけただろうか。吸収の速さではなく、ゆっくりと吸収されるゆえの持続性・腹持ちのよさがカゼインプロテインの持ち味だ。その特性を理解して、身体づくりやダイエット、栄養補給などに役立ててみてはいかかがろう。ホエイプロテインと組み合わせて利用するのもおすすめである。