目次
1. タンパク質と摂取量の基本

タンパク質不足の影響や予防法を知る前に、タンパク質不足とはどのような状態なのか理解しておこう。
タンパク質とは?
そもそもタンパク質とは、人間や動物、植物を構成する主要な成分だ。筋肉や皮膚、臓器や毛髪などを構成すると同時に、ホルモンや酵素などの素でもある。人の身体について言えば、水分の次に割合が高いのがタンパク質であり、生きる上で必要不可欠な栄養素である。
成人男性の1日あたりのタンパク質推奨量
タンパク質が不足しないためには、1日あたりどの程度を摂取すべきなのだろうか。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、男性の場合、30~64歳で65g、65歳以上で60g以上が推奨されている(※1)。これを下回るとただちにタンパク質不足になる訳ではないが、最低でも50gは摂取するのがよいだろう。
2. タンパク質不足による悪影響

タンパク質不足は、身体にさまざまな影響を引き起こす。ここでは、タンパク質不足による悪影響についてみていこう。
その1.筋肉量が減る可能性がある
タンパク質不足に陥ると、筋肉が減少する可能性がある。摂取量が少ないことから、既に体内にあるタンパク質、すなわち筋肉を分解し、エネルギー源とするからだ。ダイエットなどの目的で食事量を減らしているつもりでも、タンパク質不足で筋肉量が減少し、結果的に基礎代謝を下げることにつながる場合もある。
その2.抵抗力が弱まる可能性がある
タンパク質不足は、抵抗力の低下を招く場合がある。タンパク質は通常、体内で新陳代謝を繰り返し、新たな細胞を作り続けている。タンパク質が不足すると、新たな免疫細胞が作られず、抵抗力を下げる可能性があるのだ。さらに、タンパク質で構成される皮膚や粘膜が弱くなることで、細菌やウイルスの侵入が簡単になることも一因である。
3. 必要なタンパク質はどれくらい?
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タンパク質不足を起こさないためには、タンパク質をどの程度摂取すべきなのだろうか。必要なタンパク質の量は、体重や身体活動レベルなど、身体の状態や条件によって異なる。ここでは、ごく一般的な指標を紹介しよう。
筋力トレーニングをしていない人
まずは、筋力トレーニングをしていない、一般的な人についてみていこう。タンパク質不足にならず、十分なタンパク質を摂取するためには、体重1kgあたり0.8~0.9g/日の摂取が必要だといわれている。
筋力トレーニングをしている人
続いて、筋力トレーニングを積極的に行っている人についてみていこう。この場合、タンパク質不足にならない摂取目安量は跳ね上がり、体重1kgあたり2g/日程度が目安となる。ももちろん、筋力トレーニングの頻度や強度によっては、やや少なめでも問題ない場合もある。自分のタンパク質摂取目安を正確に知りたい場合には、ジムのトレーナーや、医療の専門機関に相談するのがよいだろう。
4. 効率よくタンパク質を摂る方法

タンパク質不足にならないためには、意識的に、また効率的にタンパク質を摂取する必要がある。ここでは、効率よくタンパク質を摂る方法を紹介しよう。
その1.肉・魚・豆類を食べる
タンパク質不足にならないために、まずは食事に気をつけたいものだ。タンパク質の含有量が多い食品には、肉類や魚類、豆類などがあげられる。また、牛乳やチーズなどの乳製品、卵類にもタンパク質は多く含まれている。日々の食事に、これらの食品を意識的に取り入れ、タンパク質不足を防ごう。
その2.サプリメントで補う
生活が不規則だったり、食事に配慮するのが難しい場合には、サプリメントを用いるのも手段の1つだ。粉末状のプロテインを飲むほか、サプリメントとしての栄養補助食品を食べることで、手軽にタンパク質を補給できるだろう。
5. タンパク質の過剰摂取の問題点

タンパク質不足は、身体にさまざまな悪影響を引き起こす。タンパク質不足にならないために、食生活に配慮することは重要だが、摂りすぎには注意が必要だ。ここでは、タンパク質不足の逆、すなわち過剰摂取による問題点を解説しよう。
その1.カロリーオーバー
タンパク質の過剰摂取は、知らず知らずのうちにカロリーオーバーを引き起こすことがある。タンパク質を豊富に含む食品は、総じてカロリーが高いものが多いためだ。タンパク質を多く摂取しているつもりが、実は単に食べ過ぎているだけという場合もあるだろう。カロリーオーバーを防ぐには、調理法を工夫したり、脂肪分の低い食品を選んだりするのがよいだろう。
その2.腸内環境の悪化
タンパク質の過剰摂取は、腸内環境を悪化させることもある。タンパク質は、悪玉菌を増やすことにつながるからだ。あくまでも栄養バランスを整え、タンパク質以外の栄養素もしっかりと摂取しよう。
結論
タンパク質は、身体をつくり、また生命を維持するために必要不可欠な栄養素だ。タンパク質不足は、身体にさまざまな悪影響を及ぼす可能性がある一方で、過剰摂取も禁物だ。必要に応じてサプリメントなども活用しながら、総合的な栄養バランスを整えるのが一番である。
(参考文献)
※1出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)