1. フォームローラーとは?
フォームローラーの効果を解説する前に、フォームローラーとは何かについて簡単に紹介しよう。フォームローラーとは、筋膜リリースに用いる器具の総称だ。筋膜とは、筋肉や血管などを包み、全身に張り巡らされた膜のこと。筋膜は柔らかいため、萎縮や癒着が起こりやすく、結果として筋肉のコリやこわばりにつながることがある。
フォームローラーは、このような筋膜の異常を修正する「筋膜リリース」に効果的な器具だ。フォームローラーを身体に押しけたり転がしたりすることで、筋膜を正常な状態に戻し、全身にさまざまな効果をもたらすのである。フォームローラーには、円柱や棒、球などの形状があるうえ、素材や硬さもさまざまであり、複数の部位に応用して使用できる。
2. フォームローラーに期待できる効果
フォームローラーは、筋膜を正常な状態に戻すのに効果的な器具だ。では、フォームローラーで筋膜リリースすることには、どのような効果があるのだろうか。
効果1.筋肉の柔軟性がアップする
フォームローラーには、筋肉の柔軟性をアップさせる効果が期待できる。筋膜には、包んでいる各組織を摩擦から守り、筋繊維の力を伝達する働きがある。筋膜が萎縮したり癒着したり、あるいはねじれたりすると、筋膜の働きが阻害され、筋肉自体も凝り固まってしまうのだ。フォームローラーを用いて、筋膜を正常な状態に戻すことで、筋肉も本来の柔軟性を取り戻せる可能性がある。
効果2.関節の可動域が広がる
フォームローラーの効果として、関節の可動域が広がることも期待できる。筋膜に異常があると、関節の動きが阻害され、可動域が狭まることがある。筋膜は全身に張り巡らされているため、一部分のねじれや癒着が波及し、思わぬ部位への不調を引き起こす場合もある。フォームローラーの筋膜リリースによって、筋膜が正常になり、関節が本来の可動域を取り戻す可能性がある。凝り固まっている感覚がある方なら、可動域が広がったと感じることもあるだろう。
3. フォームローラーの効果的な使い方
フォームローラーの使い方は簡単だ。基本的には、気になる部位にあてて転がしたり、滑らせたりするだけである。しかしながら、フォームローラーの効果を十分に得るためには、いくつかのポイントがある。ここでは、フォームローラーの効果的な使用方法を紹介しよう。
使い方1.トレーニング前後に行う
フォームローラーを使うタイミングは、トレーニング前後が効果的だ。フォームローラーで筋肉の柔軟性や、関節の可動域を確保することで、パフォーマンスを向上したり、怪我を防いだりできる可能性があるからだ。ストレッチや軽いジョギングなどのウォームアップ・クールダウンと併用してみよう。
使い方2.「1か所1分」を目安に行う
フォームローラーは、使いすぎると逆効果になる可能性もある。1部分を長時間刺激するのは避け、1か所につき1分程度に留めるのがおすすめだ。その際、フォームローラーをゴロゴロと素早く動かすのではなく、丁寧にゆっくりと施術しよう。
使い方3.気持ちいいくらいの強さで行う
フォームローラーの効果を最大化するには、時間と同様に、力加減も重要だ。端的に言えば、痛気持ちいい程度が最適と言えるだろう。力をかけすぎると、筋膜リリースに効果が無いばかりか、筋肉を余計にこわばらせたり、青あざにつながったりする場合もある。1回で極端な効果を求めるのではなく、習慣化するのもよいだろう。
4. 効果がない場合に考えられる理由
筋膜リリースによって、筋肉の柔軟性や関節の可動域を取り戻す効果が期待できるフォームローラー。しかし、使ってみたものの、いまいち効果が感じられないという方もいるのではないだろうか。ここでは、フォームローラーは効果がないと感じる場合、見直すべきポイントを紹介しよう。
理由1.間違った方法でストレッチしている
フォームローラーの効果を感じられない場合、使い方が間違っている可能性がある。ツボ押しのように、痛みを感じる部分を探し、ゴリゴリと押し付けていないだろうか。あるいは、美顔ローラーのように、コロコロと素早く転がしていないだろうか。フォームローラーの目的は、あくまでも筋膜の癒着をはがし、正常な状態に戻すことだ。ツボ押しやマッサージではないため、特定の部分に圧力をかけるのは誤りである。自分のストレッチの仕方が間違っていないか、今一度確認してみよう。
理由2.合っていないローラーを使っている
フォームローラーの効果が薄いと感じるなら、ローラーの種類が部位に合っていない可能性もある。フォームローラーには、円柱や棒、球など、様々な形状がある。また、材質や硬さも製品によって異なる。全身には大きめのローラーを、細かい部位にはストレッチボールを使うなど、適切に使い分けてみよう。
結論
フォームローラーは、筋膜リリースによって、筋肉の柔軟性や関節の可動域を取り戻す効果が期待できるアイテムだ。転がすだけで施術できる手軽さがあるものの、効果を感じるにはややコツがいる。正しい使い方やフォームを覚え、セルフメンテナンスに役立ててほしい。