目次
1. スーツのボタンの留め方にはマナーがある

はじめに、スーツのボタンマナーについての基本から解説していこう。スーツのボタンの留め方には正式なルールがあることを、しっかり押さえておきたい。
一番下のボタンを留めない理由
スーツの一番下にあるボタンを留めている方をときおり見かけるが、実は一番下のボタンは飾りボタンであることをご存じだろうか。男性の場合、上着やベストも含め、ボタンの数に関わらず、フォーマルウェアの一番下のボタンは留めないのがルールだ。これをアンボタンマナーとも呼び、スーツスタイルの基本として認知されている。
ここまではなんとなくわかっていても、その理由までは意外と知られていないものだ。一番下のボタンを留めない理由とは、留めることで前スソのラインが台無しになり、生地にシワができてしまうからである。一番下のボタンは、あくまでデザイン上のアクセサリーととらえ、間違えて留めないように注意しておこう。
ちなみにスーツの一番下のボタンは、1900年代前半では留めることが普通だったとされている。しかし当時のスーツはフロントボタンの位置が全体的に高く、一番下のボタンを留めても、見た目に問題がないデザインが一般的だったことが挙げられる。その後時代やトレンドが変わり、一番下のボタンを外してスーツを着ることが一般的となったが、現在でも当時の名残として、一番下のボタンはデザインとして残されているのである。
2. スーツのボタン数による留め方の違い

スーツのボタン数は、必ず決まった数が付いているわけではない。スーツの種類によってボタン数は異なり、留め方もそれぞれ異なるのだ。大人の豆知識として、頭に入れておこう。
1つボタンの場合
1つボタンのスーツは、礼服によく見られるスタイルである。この場合はボタンを外さず、しっかり留めるのが正解だ。
2つボタンの場合
2つボタンのスーツは、フォーマル・カジュアルを問わず、最も標準的なスタイルといえるだろう。上のボタンだけを留め、下のボタンを外して着るのがマナーである。
3つボタンの場合
3つボタンのスーツは、一番上のボタンが襟の折り返し部分に隠れた段返り仕様であれば、真ん中のボタンだけを留めればOK。この場合一番下のボタンだけでなく、一番上のボタンもデザインとして付いていることがほとんどだ。ただし、一番上のボタンが隠れていない、Vゾーンの狭いスタイルのスーツの場合は、一番上も留めるのが正解である。
4つボタンの場合
4つボタンのスーツは、右側の2つのボタンは飾りなので、左側の上のボタンだけを留めればOK。この場合、下のボタンを留めてもマナー違反ではないが、あえて外しておけば、着慣れた雰囲気を演出できる。右前の内側にもボタンが付いているが、これは右前の身頃がずれないようにするための役割があるので、留めておこう。
6つボタンの場合
6つボタンのスーツは、左側3つのボタンと、右側の一番上のボタンは飾りなので、中1つのボタンを留めるか、中下2つのボタンを留めればよい。リラックスした雰囲気で着るために、右下のボタン1つだけを留めて、Vゾーンを広く見せるというテクニックもある。
3. 状況別のスーツのボタンの留め方

スーツのボタンの留め方は、状況別で異なる場合もある。ボタンの留め方ひとつでも覚えておくべきポイントが多いが、思わぬ失礼がないように、マナーはしっかり確認しておいて損はないだろう。
ベスト着用の場合
スーツと合わせて、ベストを着る方もいるだろう。ジャケット・ベスト・パンツを組み合わせたスーツスタイルはスリーピースと呼ばれ、英国調の装いで人気の高い着こなしである。スリーピースの場合、スーツのボタンはすべて外しておくのが基本。留めてもマナー違反ではないが、着ぶくれして見えることがあるので、あまりおすすめできない。ベストのボタンも同じく、一番下のボタンは外しておくのがマナーであることは忘れずに。
座ったり立ったりする場合
スーツを着て椅子に座る場合は、スーツのスタイルやボタン数に関係なく、ボタンはすべて開けるのがマナー。ボタンを留めたまま椅子に座ると、全体的に上側に引っ張られた不格好なシルエットになるだけでなく、スーツのシワやヨレの直接的な原因になる可能性もあるので注意したい。椅子から立ち上がる際は、スーツのスタイルごとのボタンマナーを守り、速やかにボタンを留め直そう。
冠婚葬祭の場合
冠婚葬祭の場合は、基本的にはビジネスシーンと同じく、ボタンマナーを守ってスーツのボタンを留めるのが正解。これは普通のスーツに限らず、結婚式の礼服や、葬儀の喪服でも同じである。
面接の場合
面接の場合も同じく、ボタンマナー通りにスーツのボタンを留め、面接に臨むのが基本である。面接官はこのようなマナーをチェックしていることもあるので、とくに間違いがないように注意したい。また面接の場合は例外として、緊張感がないと思われないために、スーツのボタンを留めたまま着席してもOK。
結論
これまでスーツのボタンマナーを知っていても、詳しくは知らなかったという方は少なくないだろう。スーツのボタン数をはじめ、スーツを着るシーンが変わるだけでもボタンマナーは異なる。常にマナーやルールを守り、スーツを着こなしてほしい。