目次
1. スーツとジャケットは同じ意味?

はじめに、スーツとジャケットはそれぞれ同じ意味なのかという疑問から解決していこう。実はスーツとジャケットは、もとは同じ意味だったとされている。スーツの上着をテーラードジャケットと呼ぶのは、その名残である。しかし時代が変わり、より気軽に着られることを目指し、ジャケットがカジュアル向きに進化。スーツとは異なる生地を使い、色や形もカジュアル路線に変化していった。結果、スーツとジャケットを区別する必要が生じたという経緯があるのだ。
ただし例外もあり、アメリカやイギリスなどの英語圏の国では、スーツもジャケットも区別されず、どちらもテーラードジャケットと呼ぶ。カジュアルなジャケットに関しては、スポーツジャケットと呼んで区別しているそうだ。
2. スーツとジャケットの違い

本項では、スーツとジャケットの違いを、6つのポイントに分けて解説していこう。似た者同士ではあるが、それぞれの違いを理解しよう。
着丈
まず、スーツとジャケットでは着丈の長さが異なる。スーツの着丈は、上着を着た状態でお尻が隠れるくらいの長さが特徴である。対してジャケットの着丈は、お尻がすべて隠れない程度の着丈が普通なので、着てみると丈が短めに感じるかもしれない。同じサイズで比較すると、スーツの方がジャケットよりも約2~3cmほど着丈が長く作られるのが一般的だ。スーツとジャケットの判断が難しい場合、実際に袖を通してみると見分けが付きやすい。
ポケット
スーツやジャケットには、それぞれ胸の部分や両サイドにポケットが付いているのが普通だが、実はそのポケットの状態でも違いがある。まず、スーツは表面の生地に切り込みが入った形でポケットが付いていることに対し、ジャケットはポケットが外側から縫い付けられているのだ。
またスーツの場合は、両サイドのポケットにフラップと呼ばれる上蓋が付いているが、ジャケットの場合はフラップがない種類も多い。ジャケットのポケットはスーツとは異なり、デザインの一部として認識されており、使えなくなっているポケットもあるなど、実用的なものではないと覚えておこう。
肩パット
肩パットには、スーツスタイルにおいて美しいシルエットを作る効果があり、現在でも多くのスーツに用いられているが、ジャケットの場合、肩パットが入っていないものが主流となる。肩パットが入っていないことにより堅苦しさがなくなり、よりカジュアルな雰囲気で着用できるのだ。
生地
スーツとジャケットを大まかに見分ける方法として、生地のツヤの有無を見るという方法がある。スーツに使われる生地はウーステッドと呼ばれるもので、スーツ以外で使われることはほとんどないとされる。素材が薄く、表面にツヤが出ることが特徴だ。ジャケットに使われる生地は綿や麻を代表とする起毛素材のため、表面にツヤが見えることはないのである。
上下セットかどうか
スーツは基本的には上下セットで販売されることが多いが、ジャケットの場合は単品で販売されることがほとんどである。まれに揃いのパンツとセットアップという形で販売されることもあるが、上下セットかどうかという点は、それぞれを見分けるよいヒントになるはずだ。
利用シーン
利用シーンの違いからも、スーツとジャケットを見分けられる。一般的に、スーツはビジネスシーンをはじめ、冠婚葬祭など公式な場所で着ることが多い。しかしジャケットはプライベートで普段着としても着れるので、カジュアルなパーティのシーンなどで重宝するだろう。
3. スーツはジャケット代わりに使える?

ここまでの解説で、スーツはフォーマルなシーン、ジャケットはカジュアルなシーンに向いているということを、知ってもらった。では、スーツをジャケット代わりに着ることはできるのだろうか。
ジャケット代わりに使えるスーツの特徴
実はスーツの種類によっては、ジャケット代わりに着れるものもある。スーツでもカジュアル寄りの作りかという点がポイントだ。まず、光沢のない生地を使っているかということ、そしてチェックなど、カジュアルなイメージの色柄であることが挙げられる。セットアップで着れなくなったスーツの有効活用法として、覚えておこう。
ジャケット代わりにスーツを着たコーデ例
ジャケット代わりにスーツを着たコーデ例として、やはりツヤのあるスーツではカジュアルなスラックスとは合わせにくい。しかし、ツヤのないバーズアイなどの織り柄のスーツであれば、ややフォーマルなジャケパンスタイルに仕上がる。少々上級テクニックではあるが、上下のバランスをよく確認して、いろいろな組み合わせを試してみよう。
4. スーツやジャケットの正しい畳み方

最後に、スーツやジャケットの正しい畳み方について解説する。間違えた畳み方で保管したり持ち運んだりすると、スーツやジャケットにシワが入ってしまい、だらしない印象になってしまう。そうならないよう、正しい畳み方はしっかり頭に入れておきたい。
まず、スーツやジャケットの両肩に内側から手を入れて、それぞれの縫い目を合わせるように、半分に折る。そのまま片手に持ち替えたら、もう片方の手で全体を裏返す。倒れた上襟を直してシワを伸ばし、左右の前立て、背中の中心も揃える。中心に腕を添えて半分に畳んで、ズレを調整したら完成だ。
結論
スーツとジャケットは、意識しなかったら同じような見た目でも、実際はこれだけの違いがあったのである。それぞれの違いをよく理解しておけば、シーン別の着こなしがよりやりやすくなる。スーツとジャケットを上手く使い分けて、ワンランク上の大人の魅力を演出してみよう。