目次
1. 炭水化物の基本をおさらい

炭水化物抜きダイエットについて考える前に、まずは炭水化物とは何かを見ていこう。炭水化物とは炭素と水素の化合物であり、消化されることでエネルギーになる栄養素である。炭水化物が不足するとエネルギーが足りなくなり、疲れやすくなったり集中力が低下したりしてしまう。逆に摂取しすぎると中性脂肪になり、生活習慣病や肥満の原因となる(※1)。炭水化物をたくさん摂ることが多く中性脂肪が気になる方は、炭水化物抜きダイエットを考えてみるとよいだろう。
2. 炭水化物抜きと糖質制限の違い

糖質と炭水化物。同一に考えがちな両者だが、炭水化物は体内でエネルギー源となる糖質と、体内で消化できない食物繊維に大きく分けられる(※1)ため、似て非なるものだ。それでは、炭水化物抜きダイエットと糖質を制限するダイエットではどう違うのだろうか。詳しく解説していこう。
炭水化物抜きダイエットとは?
その名の通り、炭水化物を含む食べ物を抜くダイエット方法である。炭水化物は主にごはんやパンなどの主食に多く含まれているため、主食の代わりをタンパク質や脂質で補うことになる。1日3回取る食事のうち、1回炭水化物を抜くだけでも減量の効果が見込めるのがメリットだ。ただし、主食を食べないことがストレスになったり、減らしすぎることで低血糖になるリスクが高まったりするデメリットもあるため、注意をしよう。
糖質制限ダイエットとは?
炭水化物のなかでも糖質を制限するダイエット方法だが、実は炭水化物抜きダイエットとの明確な違いはないのが現状だ。ただ、炭水化物抜きダイエットに比べて糖質制限ダイエットのほうが、糖質量の制限が厳しい傾向にあるとされる。
糖質制限ダイエットという言葉が生まれたのは、食物繊維と糖質を区別するためだといわれている。炭水化物を抜くと、同時に炭水化物に含まれる食物繊維の摂取もできなくなってしまう。しかし食物繊維は、ダイエットにおいて重要な腸内環境を整える作用などがあることからも、積極的に摂取したい成分である。そこで、食物繊維はきちんと摂取して糖質のみを抑えることが望ましい、ということを分かりやすくするために使われはじめた言葉が「糖質制限ダイエット」なのだ。
3. 成人男性の炭水化物の目標量

ここからは、成人男性が1日に摂取すべき炭水化物量を見ていく。炭水化物抜きダイエットにおける炭水化物摂取量の目安にしてほしい。
1日のエネルギーの50~65%を目安にする
成人男性(18~69歳)の1日のエネルギー摂取量は2,000~2,400kcal程度(※2)だ。身体の動かし方などによって変わってはくるが、摂取カロリーのうち50~65%程度が炭水化物摂取量の目安とされている(※3)。
糖質制限中の糖質摂取量は、130g以下を目安にするとよいだろう。130gはゆるめの制限なので、スタンダードに制限したい場合は100g以下、ハードな制限を行う場合には70g以下が目安量だ。
炭水化物抜きダイエットをするからといって、炭水化物を全く食べないわけではない。ゆるめの炭水化物抜きダイエットをすると考えると、1日3食として1食あたりの炭水化物量は40gとなる。これはごはんにすると茶碗3分の2杯、食パン5枚切り1枚程度。こう聞くと、炭水化物抜きダイエットをすることはそれほど難しくないように感じるのではないだろうか。
4. 炭水化物抜きダイエットの注意点

最後に、炭水化物抜きダイエットをするうえでの注意点についてまとめる。
その1.極端に炭水化物を減らさない
炭水化物は主食であり、たんぱく質・脂質と並んで身体にとって重要な栄養素の1つだ(※4)。炭水化物を極端に減らしすぎてしまうと、低血糖や便秘を引き起こす可能性がある。とくに低血糖になると頭痛や目のかすみ、ふらつき、手足の震えなどの症状がでる場合も。さらに判断力の低下や慢性的な眠気、イライラ、無気力など精神面にも影響がでる恐れがある。先ほどの目安量を参考にし、炭水化物を摂取するようにしよう。
その2.ほかのダイエットと併用しない
油やバター、脂身の肉などの脂質を制限するダイエット方法もあるが、併用してしまうとエネルギーが足りなくなり、極端に炭水化物を減らした時と同様に身体の不調が起こる可能性がある。
もしほかのダイエット方法を取り入れたい場合は、一定期間炭水化物抜きダイエットをしたら次は脂質制限ダイエット、というように順番に行うことをおすすめしたい。ダイエットの停滞期を避けられるだけでなく、自分に向いたダイエットを見つけることもできるので一石二鳥だ。
結論
炭水化物抜きダイエットは、極端にやりすぎなければ効率よく体重を減らすことができるダイエット方法だ。最近ではコンビニの商品や外食のメニューでも炭水化物を抑えた食品があるので、気軽に挑戦できるのではないだろうか。
(参考文献)
※1※4出典:e-ヘルスネット(厚生労働省)「炭水化物 / 糖質」
※2出典:農林水産省「一日に必要なエネルギー量と摂取の目安」
※3出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」