目次
1. 亜鉛ってどんな栄養素?

亜鉛は体内に約2g存在するミネラルの一種で、健康を維持するために必要な栄養素だ。全身の細胞内に存在する亜鉛は、体内の免疫システムの働きをサポートし、ウイルスや細菌など異物の侵入を防御する働きや創傷治癒、正常な味覚、嗅覚維持にも重要である。亜鉛の必要摂取量は、きちんと食事をしていれば問題なく摂取可能だが、不足すると成長障害や味覚障害、免疫機能障害などを引き起こす可能性があるので注意が必要だ。(※1)(※2)
亜鉛が筋トレにおすすめの理由
骨格筋や骨、皮膚など全身の細胞内に存在する亜鉛は、新しく細胞を作り替えるときに必要な栄養素であり、たんぱく質の合成に関係する酵素の材料として体内の重要な仕組みに関係している。(※3)筋トレを行うとき、体内に十分な亜鉛があれば、傷ついた筋組織の修復や新陳代謝が円滑に進められ、筋トレ効果を実感しやすくなるのだ。亜鉛が不足した状態で筋トレすると、エネルギーが作り出せず、疲れている状態で筋組織の回復も遅れるため、筋トレ効果が出にくくなる。
2. 亜鉛の1日あたりの摂取量

十分な筋トレ効果を得るために、亜鉛をたくさん摂取した方がよいと考える方もいるだろうが、それは逆効果である。ここでは、亜鉛の1日あたりの摂取量が何gなのか説明していこう。
成人男性の推奨量は「11mg/日」となっている(※4)
亜鉛は筋トレにおすすめの栄養素だが、過剰に摂取しすぎると身体に悪影響を及ぼす場合があるので注意が必要である。成人男性が1日あたりに摂取する亜鉛の推奨量は11mg、安全な上限値は40mgまでとされているのだ。亜鉛の過剰摂取は、吐き気や食欲不振などの体調不良を引き起こし、さらに長期で続けると銅欠乏症や免疫低下、HDLコレステロールの減少など深刻な症状につながる可能性がある。1度にたくさん摂っても筋トレ効果は変わらないため、1日の摂取量を正しく守ることが重要だ。
3. 亜鉛を多く含む食品を紹介

ここでは、筋トレ効果を生む亜鉛を多く含む食品にはどのようなものがあるのか説明していこう。
その1.かき(牡蠣)
海のミルクと呼ばれ、乳白色の身とさまざまな栄養素をバランスよく含んでいるかき(牡蠣)は、とくに亜鉛の含有量が多い食品として有名である。1食あたりを60gとしたとき、亜鉛は8.4mg含まれており、100gの場合では14mgと1日の摂取推奨量を超えるほど豊富に含まれているのだ。(※5)
その2.肉類
亜鉛は肉類にも多く含まれ、とくに牛ヒレや牛モモ、牛タンに多く含まれている。(※5)また亜鉛には、肉類などたんぱく質を多く含む食品と同時に摂取することで、筋肉や臓器など身体を構成する成分であるたんぱく質の合成を促す効果があるのだ。(※3)筋トレで身体をたくさん動かす方や健康的な身体を手に入れたい方は、積極的に摂取してほしい食材の一つである。
その3.穀物
すべての細胞に存在している亜鉛は、スパゲッティやオートミールなどの植物性たんぱく質を含む穀物類にも多く含まれているのだ。1食あたりを100gとしたとき、スパゲッティでは1.5mg、オートミールで2.1mgの亜鉛が含まれ、いろいろな食べ方やアレンジが楽しめる。(※5)(※6)
4. 亜鉛を上手に摂るためのポイント

最後に、体内に亜鉛を上手に摂り込むためのポイントについて説明しよう。
その1.発汗で失われやすい
亜鉛は汗の中に多く含まれるため、たとえ積極的に亜鉛を摂取してもスポーツや筋トレなどで発汗量が多ければ多いほど体外に流れ出てしまうのである。日常的に発汗量が多い方や筋トレでハードな運動をする方は、発汗量が多くなると体内の亜鉛も失われやすく、不足しないように多めに亜鉛を摂取するなど気をつけるとよい。
その2.サプリメントなどを使う
亜鉛の摂取方法としては日々の食事から摂り込むことが基本だが、亜鉛は筋トレ効果だけでなく体調維持にも役立つため、適量を守ったサプリメント摂取は有効である。ただしサプリメントで亜鉛を摂取する場合は、筋トレなどで失われた分を補う程度とし、過剰に摂取しないよう心がけることも重要だ。
結論
効果的に筋トレを行うには、失われる亜鉛を補いながら行うことが望ましい。しかし、亜鉛は不足することも過剰になることも身体に悪い影響を与えるので、亜鉛を多く含む食品やサプリメントは適量を守りながら、上手に補うようにしよう。
(参考文献)
(※1)厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年度)P329 亜鉛
(※2)(※3)厚生労働省 eヘルスネット
(※4)厚生労働省 厚生労働省eJIM | 亜鉛 | サプリメント・ビタミン・ミネラル | 一般の方へ | 「統合医療」情報発信サイト
(※5)国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所|「健康食品」の安全性・有効性情報
(※6)文部科学省 食品成分データベース オートミール