目次
1. カルニチンとは?

カルニチンとは、必須アミノ酸のメチオニンとリジンによって肝臓で作られている物質で、体内のほとんどの組織に存在している。(※1)(※2)もともと肉に含まれていたことから、肉を意味するラテン語の「carnus」に由来してカルニチンと名付けられたのだ。カルニチンという名称は、L-カルチニンやプロピオニル‐L-カルチニン、アセチル‐L-カルチニンなどのさまざまな物質の総称である。
最近では脂肪酸の燃焼効果が期待できるとし、健康食品の成分として広く知られている。(※3)カルニチンを摂取して適度な運動を取り入れると、さらに効率よく脂肪酸を燃焼でき、肥満予防に効果があるとされているのだ。(※4)ほかにも、体重減少やBMI減少などの効果が期待できるといわれている。(※4)(※5)
L-カルニチンとD-カルニチンの違い
アミノ酸には右手と左手のような関係のL体とD体があり、カルニチンにもL-カルニチンとD-カルニチンが存在するのだ。L-カルニチンは心筋や骨格筋などに存在し、栄養成分の代謝に大きく関わっている。(※1)体内で利用されるL-カルニチンに対してD-カルニチンは活性がないとされており、L-カルニチンの働きを阻害すると考えられているのだ。(※1)(※6)
2. カルニチンの主な働き

カルニチンはどのような働きをするのだろうか。ここでは、主な働きを説明していこう。
脂肪酸の燃焼をサポートする
カルニチンは体内で脂肪酸を燃焼するミトコンドリアへ脂肪を運搬し、脂肪酸の燃焼をサポートしている。(※2)このことから、カルニチンを摂取することで脂肪酸の燃焼を促し、運動時のエネルギー生産をあげたり、筋肉疲労を軽減したりするなどの効果が見込まれるのだ。(※7)
健康食品に効果があるかは不明
カルニチンは長い間薬として服用されてきたので安全性は確認されているが、健康食品としての効果については多くの疑問が残っている。脂肪酸の燃焼によるダイエット効果が認められるかどうかは、信頼できる情報がないのだ。
3. カルニチンを効率よく摂る方法

本項では、脂肪酸の燃焼効果が期待できるカルニチンを効率よく摂る方法を説明していこう。
その1.牛肉や羊肉などから摂る
脂肪酸の燃焼効果があるとされているカルニチンは、野菜や魚介類にはあまり含まれておらず、肉類に多く含まれている。(※2)とくに多くのカルニチンを含んでいる牛肉や羊肉の赤身部分から摂るのがおすすめだ。(※8)
その2.サプリメントから摂る
サプリメントからカルニチンを摂る方法も効率的だ。肉類を食べられないけれどカルニチンの効果を出したいという方におすすめである。
4. カルニチンの摂り過ぎにも注意する

脂肪酸の燃焼など嬉しい効果が見込めるカルニチンだが、摂り過ぎには注意が必要だ。日本人の場合は1日あたり200mgのカルニチンが必要だとされており、厚生労働省は1日あたり約1,000mgを摂取量の目安にしている。(※1)体内で生成されるカルニチンは安全性が高いとされているが、新たに目安以上の量を摂取した場合、脂肪酸の燃焼などの効果ではなく、吐き気や嘔吐、頭痛、痙攣などの副作用を起こす場合があるのだ。(※2)食事でカルニチンを過剰摂取するのは難しいが、サプリメントを活用する場合は正しく摂取して効果を得よう。
結論
カルニチンには脂肪酸の燃焼効果があることがわかった。ダイエットの際に積極的に摂取したいと思う方も多いだろうが、健康食品に効果があるかどうかは疑問が残っており、過剰摂取はさまざまな副作用を招く可能性がある。1日に必要な量を守って摂取してほしい。
(参考文献)
※1独立行政法人国立健康・栄養研究所
※2※3厚生労働省
※4田中消化器科クリニック
※5日本静脈経腸栄養学会
※6福岡工業大学工学部生命環境科学科
※7協和発酵バイオの健康成分研究所
※8医療法人 紀映会 レディースクリニック北浜