目次
1. 有酸素運動とは?

有酸素運動とはどんな運動なのか、ご存じだろうか。厚生労働省のe-ヘルスケアネット(※1)によると、有酸素運動とは、筋肉にかかる負荷が比較的軽い、酸素を使う運動のことだ。筋肉を動かすエネルギーとなるのは、体内の脂肪や糖質などである。有酸素運動を続けて20分程度が経過すると、脂肪をメインのエネルギー源とすることも特徴だ。
代表的なのは、ジョギングや水泳、サイクリング、エアロビクスなど。ある程度の時間、比較的軽い負荷をかける運動が有酸素運動にあたる。
無酸素運動とは?
厚生労働省のe-ヘルスケアネット(※2)によると、無酸素運動とは、大きな力を短時間に発揮する強度の高い運動のことだ。筋肉を動かすエネルギーを供給する際に酸素を使わないことから、有酸素運動とは区別される。また、エネルギー源のメインが糖質であることも特徴だ。
代表的なのは、短距離走やスクワット、筋トレなどである。
2. 有酸素運動のメリットとは?

有酸素運動とは、どのようなメリットがある運動なのだろうか。2つの主なメリットを以下にまとめた。
その1.脂肪燃焼効果が期待できる
有酸素運動には脂肪が使われるため、血中の中性脂肪やLDLコレステロールの減少だけでなく、脂肪燃焼効果が期待できる(※1)。脂肪を減らして筋肉をつけたい人やダイエットしたい人には、うれしい効果だといえるだろう。
その2.生活習慣病の予防にも役立つ
有酸素運動は、生活習慣病の予防にも有効的だ。
公益財団法人長寿科学振興財団(※3)によると、有酸素運動によって脂肪を燃焼させることで、内臓脂肪を減少させられるそうだ。内臓脂肪は、高血圧や高血糖、脂質異常、動脈硬化などの原因になりかねない。つまり、内臓脂肪を減らすことは、これらの生活習慣病を予防することにつながるのだ。
3. 運動不足の人でも取り組みやすい有酸素運動

運動不足の人でも取り組みやすい有酸素運動とはどのようなものだろうか。身体活動の強さを表す単位である「METs(メッツ)」も一緒にご紹介。安静時を1としたときに何倍のエネルギー消費があるかを示している。
その1.ウォーキング
ウォーキングは、すぐにでも始められる有酸素運動である。国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所(※4)によると、平らで固い地面を4km/hでウォーキングする際の身体活動の強さは、3METs程度だ。
健康のためのウォーキングは、フォームを意識することが大切。公益財団法人長寿科学振興財団(※5)は、頭を高くして背筋を伸ばし視線を前へ向けるのが正しいウォーキング方法であるとしている。また、肘を曲げて腕を振ること、後ろ足のつま先を踏み込むように前方に重心移動をすることも重要とのことだ。
その2.なわとび
短い時間で効率よくエネルギーを消費したいときにおすすめなのが、なわとびだ。子どもの頃は必ずといっていいほど行うなわとびだが、大人になってからは行ったことがないという人も多いだろう。しかし、なわとびはふくらはぎや太ももなどの下半身だけでなく腹筋など全身の筋肉を使うため、大人のトレーニングメニューとしても人気がある。
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所(※4)によると、なわとびの身体活動の強さは12.3METs。脂肪を燃焼させたいのであれば、有酸素運動を20分程度以上続けることが必要である。
そのため、休憩を多く挟む必要があるような難しい跳び方だけをするのは、おすすめできない。とくに運動不足の人は、基本の両足跳びから始めるとよいだろう。両足跳びは、下半身の負担が少ないため長時間続けやすいはずだ。
その3.ヨガ
ヨガは、マットが1枚あれば手軽にできる有酸素運動だ。国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所(※4)によると、身体活動の強さは2.5~4.0METs。この幅は、ハタヨガやパワーヨガなど種類によるものだ。
ヨガスタジオなどに行くのももちろんアリだが、人目を気にせずやりたいなら自宅でやるのがおすすめ。YouTubeなどには多くの動画がアップされているため、ぜひチェックしてほしい。
4. 有酸素運動に取り組むときのポイント

有酸素運動は、ただがむしゃらにやればよいというものではない。取り組むときのポイントを見ていこう。
その1.「FITT」を意識して取り組む
「FITT」とは、Frequency(頻度)・Intensity(強度)・Time or duration(持続時間)・Type of exercise(運動の種類)を指す。厚生労働省e-ヘルスネット(※6)によると、運動不足の人は、1日20~30分、週3~5日の有酸素運動がアメリカスポーツ医学会の指針で推奨されているとのこと。ただし、運動の効果は、健康状態や体力などにより異なる。そのため、自分の状態に合わせてFITTを設定するとよいだろう。
その2.筋トレの後に有酸素運動を行う
筋肉は落としたくないけれど脂肪は落としたいという場合には、筋トレの後に有酸素運動を行うのがおすすめだ。その理由は、筋トレをすると成長ホルモンが分泌されるから。成長ホルモンの分泌により、血糖値が上昇、そして身体の脂肪が分解されることで遊離脂肪酸が血中に放出。つまり、成長ホルモンがしっかり分泌されているときに有酸素運動をすることは、脂肪燃焼により効果的であるといえる。
結論
よく耳にする有酸素運動だが、実際にはどんなものなのかいままでわからなかったという人も多いのでは?ここでは、有酸素運動とは何か、メリットやポイントなどをご紹介した。日頃から運動不足を感じている人は、まずはウォーキングやヨガなどから始めてみよう。
(参考文献)
※1出典:厚生労働省e-ヘルスネット「エアロビクス / 有酸素性運動」
※2出典:厚生労働省e-ヘルスネット「アネロビクス / 無酸素性運動」
※3出典:公益財団法人長寿科学振興財団「トレーニング:有酸素運動とは」
※4出典:国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所「改訂版 『身体活動のメッツ(METs)表』」
※5出典:公益財団法人長寿科学振興財団「ウォーキングの効果と方法」
※6出典::厚生労働省e-ヘルスネット「運動処方」