目次
1. スーツの寿命は何年?

スーツの寿命は、夏用スーツで3~4年、冬用スーツで4~5年程度とされている。しかしこれはあくまで目安であり、スーツの着用頻度や生地の種類、お手入れの有無などによって多少の変化があると覚えておきたい。
生地によって寿命が変わる
生地の種類によってスーツの寿命が変わると述べたが、この点について理解しておこう。ウールなどの天然素材を使ったスーツの場合、見た目がよく快適な着心地が得られる反面、デリケートな生地のため、長持ちさせるためには日々のお手入れが必須となる。
ポリエステルなどの化学繊維を使ったスーツの場合、丈夫でお手入れも簡単で、比較的寿命が長いことが特徴だが、天然素材を使ったスーツに比べると、どうしても安っぽく見えてしまうことがデメリットといえるだろう。
2. スーツの寿命を判断するポイント

本項では、スーツの寿命を判断するポイントを一挙紹介していこう。スーツの買い替えを見極めるための、参考にしてもらいたい。
テカリ
スーツの特定の箇所に摩擦や圧力などの負荷がかかると、生地にテカリが発生することがある。スーツのテカリは、生地表面の繊維の凹凸が、負荷によってつぶれてしまうことが原因で起こる。ブラッシングやスチームアイロンをかけても改善されないなら、寿命のサインといえるだろう。
毛玉や毛羽立ち
スーツの生地表面に毛玉や毛羽立ちが目立つ場合も、寿命を判断するためのわかりやすい目安になる。毛玉や毛羽立ちもテカリ同様、生地にかかる負荷が原因とされているので、スーツを着る前によく確認しておくべきポイントだ。生地の傷みがさらに進行すると、最終的に生地の破れや、裾や袖口の擦り切れが起こり、着れない状態になってしまうので注意しよう。
シワ
スーツのシワ戻りが悪くなったと感じる場合も要注意。まだスーツが新しいうちは、シワが入っても時間が経てば自然に戻るものだが、スーツの生地の傷みが進行すると、シワ戻りが悪くなることが特徴だ。
縫い目のほつれ
生地に負担がかかるということは、同様に縫い目にも負担がかかるといえる。スーツのジャケットの背中や脇下、パンツの内もも部分など、縫い目がほつれやすい部分はよく確認しておきたい。軽いほつれであれば修復可能だが、同じ箇所を何度も縫い直すことは、スーツの寿命を早める原因にもなると覚えておこう。
膝や肘の抜け
膝や肘の抜けとは、スーツの破れが原因で抜けるという意味ではない。これはスーツを長時間着たり、連続で着ることによって起きやすく、関節部分に負荷がかかることで生地がたるみ、脱いでもその部分だけ飛び出したような状態になることを指す。いわゆる型崩れの一種だが、膝や肘の抜けがあると全体のシルエットが悪くなり、印象を下げる原因にもなってしまうので、よく意識しておきたいポイントだ。
変色
スーツの生地は、紫外線や汗などが原因で、変色が起こることがある。いくらクローゼットに収納してあっても、紫外線による部分変色が起こる可能性も考えられるので、定期的に場所を変えるなど、対策が必要だ。また、汗をかいた日はスーツを絞ったタオルでたたき、陰干しでしっかり湿気を飛ばすことを習慣付けよう。
3. スーツの寿命を早める原因

スーツの寿命を早めることには、原因があることも知っておきたい。意識していないと見落としやすいポイントなので、当てはまっていないか、よく確認しておこう。
同じスーツを連日着用する
日々の通勤に着慣れたスーツを選ぶのは自然なことだが、実はスーツは毎日同じものを着続けると、生地の消耗を早める原因になってしまうのだ。スーツの理想的な着回し方は、3着程度のローテーションで、1回着たら2日ほど休ませるのがおすすめ。生地を休ませることで、湿気が蒸発してシワが伸び、スーツの寿命を延ばすことにつながるのである。
頻繁にクリーニングに出す
クリーニングに出すほどスーツにとってよいと勘違いされやすい。しかし、実は頻繁にクリーニングに出すのは、スーツの寿命を早める大きな原因となる。スーツのクリーニング頻度は季節ごとに1~2回、よく汗をかく時期で2週間に1回程度が最適とされている。クリーニングに頼りすぎず、日頃のお手入れでカバーすることを心がけたい。
高温でのアイロンがけ
高温でのアイロンがけは、生地を傷めてしまうので、設定温度には十分注意しておこう。生地別の設定温度の目安は、ウールで140~160℃、麻や綿で180~200℃、ポリエステルなどの化学繊維で110~130℃となっている。アイロンの設定温度は低すぎず高すぎず、この温度の範囲内を意識して行いたい。
毎日のお手入れをしていない
帰宅後にスーツを脱いだ後、椅子やソファにかけっぱなしという方はいるだろうか。スーツは着用後のお手入れが寿命を延ばすポイントなので、スーツを脱いだらまずブラッシングを行い、ハンガーにかけて収納するなど、毎日のお手入れを忘れないようにしよう。
4. スーツの寿命を延ばすコツ

最後に、スーツの寿命を延ばすコツについて解説する。少しのポイントを意識するだけでも、スーツの寿命を延ばすことに関係するので、積極的に実践したい。
ブラッシングする
スーツ着用後のブラッシングは、ホコリや汚れを落とすだけでなく、繊維の流れを整え、美しい見た目を保つことにもつながる。ブラッシングの方法は、まずスーツ全体のホコリを落とすようにかけていこう。とくに汚れが溜まりやすい襟や肩部分、ポケットなどは、縫い目に沿ってかけていけばOK。1日数分の習慣として、忘れずに行おう。
正しく保管する
スーツを正しく保管することは、寿命を延ばすための基本である。クローゼットに収納する際は、風通りをよくするために服と服の間にある程度の間隔を空け、型崩れを防ぐためにも、必ず厚みのあるスーツ用のハンガーにかけて収納することを心がけたい。
傷めないように意識する
日常の何気ない動作が、実はスーツを傷めてしまう原因になることは珍しくない。椅子に座る際や、電車のつり革をつかむ際など、さまざまな動作によってスーツの生地は伸縮を繰り返す。なるべくスーツへの負担を軽減させるためにも、負荷がかかる姿勢をとる際はジャケットのフロントボタンを外すなど、工夫してみよう。
結論
スーツは数年で寿命が訪れるものだが、スーツの寿命を早める原因もあれば、長持ちさせる方法もあることを理解してもらえただろう。スーツの寿命を判断するポイントを参考に、日頃から意識してもらいたい。買い替えのタイミングを見極めたうえ、スーツを長くよい状態で着ていけるようにしよう。