1. 結婚式におけるスーツの着こなしマナー
結婚式に出席する際の服装は、スーツなら何でもよいというわけではない。新郎新婦との関係性や会場の雰囲気などによって、相応しい服装をチョイスすることが必要だ。まずは礼服の種類やシーン別の着こなしマナーを解説しよう。
礼服の種類
礼服のなかでも最も格式が高い正礼装は、ジャケットの裾の後ろが長いモーニングコートである。主に新郎新婦の父親が着用する。次いで準礼装と呼ばれるのが、昼の式ではディレクターズスーツ、夜の式ではタキシードだ。ディレクターズスーツは多少カジュアルに式を執り行いたい場合などに父親や親族、主賓などが着用するのが一般的だ。タキシードはスピーチを行う場合や主賓として招かれた際に着用するが、最近では昼の正礼装として着こなしてもよいとされる。
一般のゲストとして結婚式に出席する際は、略礼装であるブラックスーツが基本だ。これはビジネス用の黒スーツではなく、礼服用に作られたスーツのことを指す。冠婚葬祭すべてで活用できるため、礼服の中でも最も着る機会が多いのがブラックスーツといえるだろう。
スーツは黒以外はマナー違反?
黒以外のスーツがマナー違反にならないケースもある。近年では結婚式における着こなしもカジュアル化しており、レストランでの披露宴などの場合、ダークネイビーやダークグレーのビジネススーツでの出席もマナー違反ではないとされている。若い年代などはカジュアルな会場でブラックスーツを着用すると浮いてしまうこともあるため、TPOを考えて選ぶとよいだろう。ただし、ダークな色味で無地または控えめな柄のスーツであることが望ましい。
シーン別で見るスーツの選び方
それではシーン別にどんなスーツを選べばよいのか、実際の着こなし方も見ていこう。
親族の結婚式の場合
兄弟や親戚の結婚式などに親族として出席する場合は、ある程度フォーマルさが求められるためブラックスーツが相応しいとされる。白シャツに白かシルバーのネクタイ、白いポケットチーフを合わせたオーソドックスな着こなしがよいだろう。
上司の結婚式の場合
上司の結婚式では、会場の場所や上司との年齢差などを考慮してスーツを選ぶのがよいとされる。由緒ある式場などで盛大に行う場合や、上司の立場が高いなどの場合はブラックスーツで出席するのが無難である。歳の近い上司やカジュアルな会場であればダークスーツもOKだが、白ネクタイなどでしっかりフォーマル感を演出することも意識しよう。
友達の結婚式の場合
友達や同僚の結婚式であれば、ネイビーやグレーのダークスーツで出席しても構わないというのが最近の風潮だ。控えめなチェックやストライプなら、柄入りのスーツもよいとされる。ネクタイやポケットチーフにカラフルな色や柄物を用いるなど、多少遊び心を取り入れるのもおすすめだ。
2. 結婚式におけるスーツの着こなし方
結婚式におけるスーツの着こなしでは、シャツやネクタイの選び方にもマナーがある。スーツにどんなアイテムを合わせるべきかも紹介しよう。
シャツの選び方
結婚式でスーツと合わせるシャツは無地の白シャツが基本だ。襟の形はビジネスでも使うレギュラーカラーやワイドカラーが定番である。カジュアルな式や友人の結婚式であれば、薄いブルー・ピンクなど色付きシャツ、控えめに柄が入ったシャツでもOKだ。ウィングカラーなどオシャレな襟もよいだろう。ただ、襟先がボタンで留められたボタンダウンシャツはくだけた印象となるので避けたほうがよい。
ネクタイの選び方
結婚式におけるネクタイは白かシルバーが基本で、光沢があるタイプがおすすめとされる。ストライプや小紋などの柄入りも、派手すぎなければ問題はない。カジュアルな式であれば、パステルカラーやゴールド系のネクタイで華やかさを演出するのもよい方法だ。
ネクタイピンの選び方
結婚式のスーツスタイルでネクタイピンは必須ではないが、着こなしをオシャレに見せてくれるアイテムだ。食事の際などにネクタイを固定させておく実用性もある。シルバーやゴールドを基本に、パールやブラックオニキスなど装飾があるタイプを装着してもよい。
ポケットチーフの選び方
ポケットチーフは、白の無地でシルクか麻素材が基本となる。ただ色のあるネクタイを締める場合、ネクタイの色と同系色にしても統一感が出てよいだろう。たたみ方は3つ山のスリーピークスが最もフォーマル度が高くなる。
靴の選び方
結婚式で履く靴は黒の革靴で、デザインはストレートチップまたはプレーントゥが基本だ。なかでも紐を通す土台の部分が内側に縫い込まれた内羽根式の革靴であれば、どんな式にも活用できるので便利である。カジュアルな式の場合はダークブラウンの革靴もOKだ。
3. 結婚式のスーツ着こなしコーデ例
フォーマルな結婚式であればスーツの着こなし方はある程度は定まってくるが、カジュアルな式ほどコーデの幅も広くなり悩むところだ。ここでは他人と差をつけるワンランク上の着こなし例を紹介しよう。
オシャレなコーデ例
友人の結婚式などでダークスーツをオシャレに見せたいときにおすすめなのが、ベストを取り入れることだ。1枚追加するだけで、一気にハレの場に相応しい豪華な雰囲気になるだろう。初心者であれば、ネイビースーツ×ネイビーベストなど同系色で合わせるとコーデもまとまりやすい。また光沢感が強めのスーツやシャドーストライプ柄のスーツで、生地にさりげなく変化をつけてみるのもオシャレである。
カジュアルコーデ例
レストランやカフェなどのカジュアルな式であれば、ネクタイの色をシャンパンゴールドや赤など派手な色にすると胸元が華やかに見える。ポケットチーフも同系色で合わせ、ふわっとしたパフドスタイルで指すとよりゴージャスだ。チェックやストライプのスーツで、個性をアピールするのもよいだろう。また、柔らかい雰囲気になるダークブラウンの革靴もカジュアルウェディングにはおすすめだ。その場合はベルトもブラウンで合わせよう。
二次会コーデ例
結婚式の二次会ではジャケパンスタイルという選択肢もあるため、テーラードジャケットとスラックスで軽快に決めるのもよいだろう。シャツやネクタイも、ビジネスシーンでは取り入れにくい派手めな色柄を選ぶとアクセントになる。スーツスタイルの場合は、あえてベージュ系などをチョイスしてみると上級者に見えるだろう。自由度の高い二次会だからこそ、普段は身に付けないようなアイテムに挑戦してみるのがおすすめだ。
結論
結婚式のスーツの着こなしには細かいマナーが存在するが、とくに若い年代ではカジュアル化が進んでいるという。しかし格式が高い会場などではそれなりのフォーマル感も必要だ。基本知識を踏まえつつ、シーンごとに柔軟に着こなしを考えるのがよいといえるだろう。もちろんドレスコードがある場合はそれに従おう。ただし新郎新婦より目立つ服装はNGなので、華美になりすぎないことも大切だ。