目次
1. 「礼服」「喪服」「スーツ」の違いとは?
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はじめに、礼服・喪服・スーツの、それぞれの違いから解説する。まずは基本からしっかり押さえておこう。
礼服と喪服の違い
礼服とは、主に冠婚葬祭で着用するスーツの総称を指す。つまり、喪服は礼服の一種ということになるが、喪服の場合はシーンが限定され、葬儀や法要で着用する服装のことを表すのだ。礼服と喪服は、広義では同じ種類とされるものの、言葉の意味自体は大きく異なることを覚えておきたい。
喪服とスーツの違い
続いて、喪服とスーツの違いだが、こちらは見分け方にポイントがある。まず喪服の場合、深みのある黒色が特徴だが、一般的なブラックスーツの場合、少しグレーがかった黒色となっている。また、喪服はスーツとは異なり、生地に光沢がないことも大きな特徴だ。これらの違いは光の当たり方などにより、はっきりとわかるので、併用が推奨されない理由がわかるだろう。喪服は頻繁に着用するものではないことを考慮して、多少の体型の変化にも対応できるように、スーツに比べてゆったりとしたシルエットになっていることも、知っておこう。
2. 葬儀で着用する喪服の種類

葬儀で着用する喪服の種類は、すべてが同じではない。葬儀に参列する立場によって、ふさわしい喪服の種類があることも覚えておこう。
正喪服(モーニングコート)
正喪服とは、モーニングコートとも呼ばれ、最も格式高い礼装とされる種類である。喪主をはじめ、3親等以内の親族が着用する。ジャケットとベストは黒で統一して、スラックスは黒、またはグレーのストライプが入ったものを合わせる。
準喪服(ブラックスーツ)
準喪服とは、葬儀において最も一般的な、フォーマルなブラックスーツである。前述の通り、一般的なブラックスーツとは異なり、漆黒に近い深みのある黒色で、光沢がないことが特徴だ。一般の参列者だけでなく、喪主や親族が着用する場合もある。
略喪服(地味な色のスーツ)
略喪服とは、平服とも呼ばれる種類であり、具体的には黒や濃紺などの、地味なダークスーツが基本となる。急きょ行われる葬儀で、喪服が用意できない場合や、三回忌以降の年忌法要で着用される。こちらはビジネススーツでも代用できるが、スーツの色味には十分気をつけよう。
3. 喪服用ブラックスーツの選び方

本項では、喪服用ブラックスーツの選び方について解説する。色やデザイン、サイズをもとにして、自分にあった喪服を選ぶようにしたい。
黒色の濃さ
喪服用ブラックスーツ選びにおいて、ビジネススーツにはない、黒色の濃さは重要なポイントになる。喪服では、黒色が濃く、深い色味になるほどフォーマルになるため、できるだけ黒色の濃い種類を選ぼう。
トレンドに左右されないデザイン
喪服は一般的なスーツに比べて着用する機会が少ないので、保管状態がよければ、購入から10年経っていたとしても、問題なく着用できる。1着を長く使っていくためにも、トレンドに左右されないデザインを手にとるようにしたい。喪服選びでは個性を重視するよりも、できるだけシンプルな作りにこだわることが大切だ。また、どの季節でも使いやすいことを考え、最初は春・秋・冬に対応した、スリーシーズン用の喪服を選んでおくことをおすすめしたい。
自分の体型に合ったサイズ
自分の体型に合ったサイズを選ぶことは、喪服に限らず、どのスーツにも共通する点である。近年のスーツスタイルでは、スリムな種類もトレンドとして注目されているが、喪服は1着を長く使うものなので、なるべくゆったりと着用できる、大きめのサイズの種類を選ぶことを忘れずに。ここであまりにスリムな種類を選んでしまうと、次の年にはもう入らないというケースもあるので、注意しておこう。
4. 喪服用ブラックスーツ以外の服装マナー

ここまで喪服用ブラックスーツに関する、さまざまなポイントを解説してきたが、最後に喪服用ブラックスーツ以外の服装マナーも解説していこう。正しい喪服選びができていても、ほかの服装が適していないと、マナー違反になってしまうので、よく確認しておきたい。
無地の白いシャツ
喪服に合わせるシャツは、無地の白いシャツが基本である。白いシャツでも、ボタンダウンやデザインシャツはNG。カジュアルなシャツでは、相手によい印象を与えられないので、注意しよう。襟型は、レギュラーカラー、もしくはワイドカラーのどちらかを選べばよい。
漆黒のネクタイ
葬儀で着用するネクタイは、光沢のない漆黒のネクタイと決まっている。一見では目立たなくても、ストライプ柄などが入っているとマナー違反になるので注意。また装飾品として、ネクタイピンを付けるのも控えたほうがよいとされている。
靴は黒の内羽根ストレートチップ
靴は革靴が基本だが、とくに冠婚葬祭で使いやすい、黒の内羽根ストレートチップがあると便利だろう。用意できない場合は、なるべく落ち着いたデザインで、光沢を抑えた靴を選ぶようにしたい。
無地の黒や紺のコート
冬場など寒い季節の葬儀ではコートが必要になるが、こちらも同様に、無地の黒や濃紺の種類を選ぶのが基本だ。毛皮素材は、動物の殺生を連想させるため、フェイクファーも含めて、葬儀では着用しないのがマナーである。
結論
喪服とスーツは、それぞれ似ていても、実際はまったく異なるものであることを知ってもらった。急なタイミングに備えておくためにも、スーツとは別で喪服も揃えておくのが、大人の常識といえるだろう。喪服選びの際は、本記事の内容も参考に、自分に合ったものを選んでもらいたい。