1. ピークドラペルとは?
ピークドラペルとは、ジャケットの襟(ラペル)の下側のパーツが上に向かって尖っている襟型のことだ。剣のような鋭さを表して剣衿(けんえり)と呼ばれることもある。もともとフォーマルスーツやダブルジャケットに採用されているデザインだが、最近はシングルのスーツやジャケットにもピークドラペルが用いられるようになり、普段使いできるアイテムとして広まりつつある。ちょっとしたデザインの違いだが、ジャケットスタイルを華やかに見せてくれるのがピークドラペルなのだ。
2. ノッチドラペルとの違いは?
ピークドラペルと、一般的な襟型であるノッチドラペルとの違いを見ていこう。
その1.デザイン
ノッチドラペルとはジャケットの一般的な襟型のことで、襟にV字型の切れ込みが入っているデザインだ。ピークドラペルのように下襟の尖りはなく、なだらかなカットになっている。日常的に着るスーツやジャケットのほとんどの襟はノッチドラペルなので、誰でも一度は目にしたことがあるだろう。
その2.与える印象
ノッチドラペルには控えめで落ち着いた印象があり、カジュアル・フォーマルを問わずどんなシーンでも着用することができる。対して華やかでオシャレな印象になるピークドラペルは、いつもより少しゴージャスな雰囲気にしたいときなどに着用するのが基本だ。ビジネスシーンなどでは尖ったデザインが個性的・派手といった印象を与えてしまうこともあるため注意も必要である。
3. ピークドラペルが似合うジャケット
ほとんどのジャケットがノッチドラペルなのに対し、ピークドラペルが用いられているジャケットには特別感がある。ピークドラペルはどんなジャケットに似合うのだろうか。
その1.フォーマルスーツ
ピークドラペルは、本来タキシードやモーニングコートなどのフォーマルスーツに使われるデザインだ。尖った襟が胸元を引き立てて見せてくれるため、結婚式やパーティなど華やかな場に相応しいとされている。ピークドラペルを使ったブラックスーツは、フォーマルシーンの着こなしで他人と差をつけるのにもおすすめだ。またフォーマルスーツにダブルボタンが多いことから、ダブルスーツにもピークドラペルが装備されているのが一般的である。
その2.シングルスーツ
基本的にダブルスーツに用いられるピークドラペルだが、最近ではシングルのスーツやジャケットにピークドラペルを採用するケースも増えている。これはシングルピークと呼ばれ、ノッチドラペルとは違った魅力を演出できるとして近年人気が上昇中だ。いつものスーツスタイルを少しドレスアップさせたいときには、シングルピークを選んでみるのもひとつの手である。
4. ピークドラペルの着こなしポイント
ピークドラペルのスーツやジャケットを上手に着こなすためのポイントも紹介しよう。
その1.適したシーンに着用する
個性的な印象になるピークドラペルは、適したシーンに着用することで魅力を発揮する。たとえば結婚式や二次会などのお祝いの場や、さまざまなパーティ、ディナーなどの際にピークドラペルを選ぶことで、いつもと違ったゴージャスな雰囲気を演出できるだろう。
逆にお葬式などのお悔やみの席では、ピークドラペルの着用は失礼になりかねないため控えたほうがよい。ただ、ピークドラペルが標準装備されているダブルスーツであれば、弔事の席に着用しても問題はない。ビジネスシーンにおいては、固い職種の場合は避けたほうが無難だが、ある程度オシャレが許される職場であれば着用しても構わないだろう。
その2.身体に合うサイズにする
肩幅や着丈などのサイズが合っていないと、ピークドラペルのスタイリッシュな雰囲気は台無しになってしまう。サイズは細かくチェックして、身体に合うものを選ぶようにしよう。せっかくピークドラペルのジャケットを購入するのなら、専門店で採寸してもらったり、オーダーメイドで仕立ててもらうのもおすすめだ。
その3.無地のスーツがおすすめ
もともと華やかな印象があるピークドラペルのスーツやジャケットは、無地を選んだ方が着回しやすい。柄物スーツで襟がピークドラペルといった場合、派手すぎる印象を与えてしまうこともあるためだ。バランスを考えて、無地で地味な色味のアイテムを選んでおくとさまざまなシーンで活躍するだろう。
結論
尖った下襟が特徴のピークドラペルは、襟元をさりげなくオシャレに見せたいときに最適だ。あまり派手な雰囲気にしたくないなら、尖りが控えめなセミピークドラペルというデザインもあるので検討してみてほしい。いつものジャケットスタイルに飽きてしまったら、ネクタイやシャツを変えるのではなくピークドラペルを選んで新鮮味をプラスしてみてはいかがだろう。