目次
1. ウイスキーの「トワイスアップ」とはどんな飲み方?

さっそくウイスキーの飲み方のひとつである「トワイスアップ」について解説していこう。
トワイスアップとは?
ウイスキーと常温水を1:1で混ぜたもの
ごくシンプルに「ウイスキーと常温水を1:1で混ぜる」という飲み方(割り方)がトワイスアップである。
ストレートよりもアルコールが薄め
氷や水を加えないストレートは、ウイスキー本来の風味やアルコールをしっかり感じられる飲み方だ。だがアルコール度数40度程度と非常に高いため、苦手な方もいるだろう。トワイスアップは加水するためアルコール度数が低くなる。ストレートが苦手な方も飲みやすいだろう。
ウイスキー本来の風味はしっかり残る
氷などを入れて冷やしてしまうと、ウイスキー本来の風味がやや薄くなってしまうことがある。だが常温水を使用するトワイスアップは、ウイスキー本来の味わいや香りが損なわれにくい飲み方である。
使用する水は「蒸留水」や「軟水」がおすすめ
日本で手に入るミネラルウォーターの多くは軟水であるため、そこまで神経質になることはないかもしれないが、中には硬水のミネラルウォーターも販売されている。トワイスアップを作る際は、ウイスキーの風味に影響を与えにくい蒸留水または軟水のミネラルウォーターを使うようにしよう。
ウイスキーの風味を感じやすいアルコール度数は25度前後
ウイスキーはアルコール度数40~50度ほどのものが一般的である。この強いアルコール感は、ときにウイスキーのもつ繊細な香りを打ち消してしまうことがある。そんなウイスキーの風味をもっとも敏感に感じ取れるのはアルコール度数25度前後といわれている。まさに、トワイスアップにすることでちょうどその程度まで薄まり、ウイスキー本来の風味を楽しむことができるといわれている。
トワイスアップはプロが用いることもある飲み方
トワイスアップは、プロのブレンダーがテイスティングの際に用いることもあるという。プロも認める奥深い飲み方で、ぜひグラスから立ち上る香りをじっくり堪能してもらいたい。できればチューリップ型の脚付きグラス(テイスティンググラス)に注ぎ、静かに揺すって香りを立たせながら楽しんでみよう。季節によっては少し冷やした水を使用してトワイスアップを作ってみてもよい。
2. トワイスアップと水割りの違いとは?

水で割ることから「水割りと同じなのではないか」と感じる方もいるだろう。だがトワイスアップと水割りには決定的な違いがある。
氷とミネラルウォーターで薄めたものが水割り
水割りは主にウイスキーのアルコール度数を低く抑えると同時に、氷を加えてひんやり&クリアな味わいを楽しむための飲み方である。またトワイスアップがウイスキーと常温水を1:1の割合で混ぜるのに対し、水割りはとくに決まった割合がない。お好みで自由にアルコール度数を調整できるのである。
水割りは日本独自の飲み方
水割りは、日本のウイスキー黎明期に生まれた独自の飲み方といわれている。したがって海外では一般的な飲み方ではない。一方トワイスアップは海外でも親しまれている飲み方だ。
3. トワイスアップの作り方とウイスキーを美味しく飲むためのポイント

トワイスアップはご家庭でも簡単に作ることができる。ただし美味しく飲むためにはちょっとしたコツが要るので覚えておこう。
トワイスアップの作り方
- テイスティンググラスにウイスキーを少量注ぐ
- ウイスキーから立ち上る香りを確認する
- ウイスキーと同量の常温水を注ぎ入れる
- 静かに揺すり、香りを立たせながら味わう
こうでなければならないというルールはないが、まずはウイスキーを少量注ぎ、ウイスキー本来の香りを確認したり楽しんだりしよう。そののち、同量の水を加えて揺すりながら香りを立てて味わってほしい。
トワイスアップでウイスキーを美味しく飲むためのポイント
ウイスキー選びは「香り」を重視する
トワイスアップはウイスキー本来の香りを楽しむ飲み方のひとつである。したがって水を加えたときに香りのバランスが崩れてしまうウイスキーではなく、香りが「膨らむ」ウイスキーを使用するのがおすすめだ。具体的な銘柄は後ほど紹介するが、味よりも香り重視で選ぶとよい点は覚えておこう。
軟水のミネラルウォーターを使用する
先に述べたとおり、ウイスキーの風味に影響を与えることがある硬水ではなく、蒸留水または軟水のミネラルウォーターを使用しよう。
飲み口の形が閉じているグラスを使用する
ウイスキーの香りをグラスにできるだけ長くとどまらせるためにも、テイスティンググラスのように口が狭くなっているタイプのグラスを使おう。
4. トワイスアップにおすすめのウイスキー3銘柄

トワイスアップにおすすめのウイスキーを紹介する。
5大ウイスキーの中でも「スコッチウイスキー」がおすすめ
ウイスキーは産地によりさまざまだが、メジャーなものは大きく5つに分けられる。国産の「ジャパニーズウイスキー」、イギリス北部にあるスコットランド生まれの「スコッチウイスキー」、バーボンで有名な「アメリカンウイスキー」、そしてアイルランドの「アイリッシュウイスキー」、カナダの「カナディアンウイスキー」だ。これらは世界5大ウイスキーと称され、高い評価を受けている。
トワイスアップには香りに特徴があるウイスキーが合う。とくにおすすめなのはスコッチウイスキーである。トワイスアップにすることで、代名詞ともいえるスモーキーなピートの香り、そしてその奥にある豊かな味わいがいつも以上に繊細に感じ取れることだろう。
トワイスアップには香りに特徴があるウイスキーが合う。とくにおすすめなのはスコッチウイスキーである。トワイスアップにすることで、代名詞ともいえるスモーキーなピートの香り、そしてその奥にある豊かな味わいがいつも以上に繊細に感じ取れることだろう。
調和の取れた「ジャパニーズウイスキー」もおすすめ
華やかで複雑な香りを持ちつつも、きちんと調和のとれた味わいのジャパニーズウイスキーもおすすめだ。普段は気づかないほのかな甘さや酸味など、ウイスキーの隠れた魅力を発見できるかもしれない。
トワイスアップにおすすめのウイスキー3銘柄
グレンモーレンジィ オリジナル
トワイスアップにすることで樽香が膨らむウイスキーだ。爽やかで上品な甘さがあり、初心者の方にも飲みやすい。
フロム・ザ・バレル
アルコール度数51度、重厚な味わいと深いコク、芳醇な味と香りなどトワイスアップにはまさにうってつけの銘柄である。
シングルモルト ウイスキー グレンフィディック12年
ほのかに甘くフルーティーな香りが特徴の銘柄で、初心者の方も飲みやすい。シングルモルトとしては世界初のウイスキーだ。
5. トワイスアップはウイスキー以外のお酒でも試せる飲み方

トワイスアップという飲み方はウイスキー以外に用いてもOKだ。そもそもお酒は嗜好品ゆえ、どの飲み方がOK、NGということはない。自分の好きなように楽しんでみよう。
焼酎をトワイスアップで飲む
たとえば焼酎などはいかがだろうか?蒸留の過程で最初に気化し、冷えて流れ出る初留取りのように、アルコール度数が高めの焼酎などはトワイスアップが合うかもしれない。あるいは、ウイスキーさながらに樽熟成を経てボトリングされた焼酎なども、同量の水で飲むトワイスアップにすることでより味わいやすくなるだろう。
日本酒をトワイスアップで飲む
日本酒をトワイスアップで楽しむのもおすすめだ。用意するものや作り方などはウイスキーと同じである。アルコール度数が高い日本酒でも、ほんの少し薄めるだけで飲みやすくなり日本酒の香りも立つ。使う日本酒は生原酒や生酛(きもと)造りなど、ややクセが強めの銘柄のほうが力負けしないのでおすすめである。逆に、大吟醸など爽やかでフルーティな飲み口のものはあまり合わないかもしれない。
結論
ウイスキーと常温水を1:1で混ぜるトワイスアップは、ウイスキーが持つ本来の味や香りをより繊細に感じ取ることができる飲み方である。口元にゆっくりとグラスを傾け、ウイスキーの濃厚な甘みや豊かな香りをぜひ存分に堪能してもらいたい。