1. フルーツビールの製法と特徴

ひとくちにフルーツビールといってもその種類はさまざまだ。
ただ単純に香りをつけただけのビールではない。
ただ単純に香りをつけただけのビールではない。
発酵後に果汁を入れるタイプ
ほぼ完成した状態のビールに果汁を入れ、貯蔵タンクで熟成させる手法のフルーツビール。日本で作られているのはこのタイプが多く、発酵後に加えることから果物の味と香りが変わりにくい。アルコール度数も5%以下と低めに仕上がるので、ビールが苦手でもジュースのように飲めてしまう。
発酵前に果汁を入れて醸造するタイプ
より複雑になる製法で、ビールの「もと」である麦汁に果物を加え、そこから発酵させたフルーツビール。これは、本来ホップと麦汁だけで作り出す苦みと甘みに、果物の皮による苦みと甘みや、酸味も加わって仕上がりの調整が難しい。発酵の過程で果物の糖分をビール酵母が食べてしまうので、後から果汁を加えたタイプと比べてジュースのような甘みは少ない。果実の香りと風味はしっかり残るのに味はビール、という特徴がある。男性やビール好きの人におすすめのタイプだ。
2. フルーツビールの種類

今ではたくさんのフルーツビールがある。よく使われるフルーツにはどのような物があるのだろうか?
定番はベリー系や柑橘系
古くからの定番はストロベリー・ラズベリー・カシス・チェリーなどだ。果実を漬け込んで熟成させたり、黒ビール仕立てで甘さを抑えたりと工夫がされている。レモン・ライム・グレープフルーツなどの柑橘系も人気だ。甘みが苦手な人でも、香りが爽やかなので飲みやすい。
ちょっと珍しいフルーツ
豊かな香りを楽しむなら桃・りんごなどがおすすめだ。香りの強いバナナ・メロンなどのフルーツも近年人気である。ココナッツ・パイナップル・マンゴーなど、南国系も女性に大人気だ。食事のシチュエーションや料理の種類によって選ぶ幅も広がる。
3. 国内外の美味しいフルーツビール

それでは、人気のフルーツビールを具体的にご紹介しよう。
以前は海外産がほとんどだったが、最近は国産にも大注目だ。
以前は海外産がほとんどだったが、最近は国産にも大注目だ。
王道はベルギービール
大きな酒屋や百貨店にはまず置いてある定番フルーツビールなら「リンデマンス」だろう。ベルギーの有名なメーカーで、野生酵母を使ったランビック製法による強い酸味が特徴だ。このすっぱさがフルーツと相性抜群。フランボワーズ・カシス・アップル・クリーク(チェリー)・ペシェ(桃)がある。「ヒューガルデン」も入手しやすいビールで、ベリー系のミックス果汁を加えたヒューガルデン・ロゼが代表だ。プレーンなヒューガルデン・ホワイトもオレンジピールによる爽やかな柑橘系の香りが楽しめる。
国産ビールは郷土色が強い
日本で有名なフルーツビール製造所といえば神奈川県厚木市の「サンクトガーレン」だ。果汁の後添加ではなく、発酵前から入れて醸造する製法の本格フルーツビールを作っている。神奈川産オレンジを使った「湘南ゴールド」は3年連続日本一に輝いている。手切りのパイナップルを惜しみなく使った「パイナップルエール」も大人気だ。東北では盛岡にある「ベアレン製造所」が有名。ドイツビールの醸造を基本に、陸前高田の柚子を使った「岩手ゆずウィット」、「山ぶどうラードラ―」、なんとかぼちゃの「パンプキンウィード」もある。
結論
カクテルのように楽しめる甘いものから、本格醸造による甘さ控えめのものまで、実にいろいろなフルーツビールがある。国産は期間限定で地元のフルーツを使うことが多い。ぶどう、りんご、柚子、かぼす、びわなどのフルーツビールを見つけたらぜひチャレンジしてみよう。