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迎え酒は効果がないどころかリスクに!二日酔いの正しい治し方とは?

迎え酒は効果がないどころかリスクに!二日酔いの正しい治し方とは?

投稿者:ライター 渡辺恵司(わたなべけいじ)

鉛筆アイコン 2021年8月25日

「迎え酒」という言葉を聞いたことがある方も多いだろう。あるいは実践しているという方もいるかもしれない。いわゆる「二日酔いを解消するために飲む酒」だが、その効果は怪しいどころか逆効果とまでいわれている。迎え酒について詳しく解説するとともに、二日酔いの正しい治し方も紹介する。

  

1. 迎え酒とは?

最初に、迎え酒について簡単に解説する。

二日酔いの朝からまた飲む酒のこと

迎え酒とは、二日酔いによる頭痛や吐き気などの症状を和らげるため、飲みすぎた日の翌朝から飲む酒のことである。

江戸時代から続く慣習だった?

あくまで「らしい」がベースだが、迎え酒は江戸時代にはすでにあった慣習といわれている。そこから昭和の中期頃までは、一部で二日酔いに効果があると信じられていたようだ。

2. 迎え酒は二日酔いにとって逆効果

二日酔い特有の頭痛や吐き気、むかつきなど不快な症状を和らげる効果があるとされてきた迎え酒だが、実際には逆効果ということがわかってきている。だが人によっては、迎え酒で実際に二日酔いの症状が楽になることはあるという。果たして本当なのだろうか?

二日酔いが治ったように感じるだけ

残念ながら、迎え酒で二日酔いが治ることはない。あくまで楽になったように感じるだけである。アルコールが残った状態の身体にさらにアルコールを足すことで、再度酔いが回り感覚が麻痺する。それにより頭痛や吐き気、むかつきなどが感じにくくなる=楽になったように感じる、というだけのことだ。

そもそも二日酔いの原因とは?

摂取したアルコールは、肝臓で分解される過程で毒性の強いアセトアルデヒドとなり、酢酸に変わる。酢酸は血液にのって体中を巡り、呼気や汗、尿などとともに排出される。このアセトアルデヒドから酢酸への分解がスムーズであれば二日酔いは起こりにくいが、滞ると毒性の強いアセトアルデヒドが体内に留まり続け、二日酔いの症状が現れる。

3. 迎え酒を習慣にするリスクとは?

結局、迎え酒をしても二日酔いが治るわけではない。しかも楽になったように感じるのは、酔いが回っている間の一時的なものである。迎え酒を習慣にするリスクのほうが大きいことを知っておかなければならない。

二日酔いが長引く原因となる

上述のように、毒性の強いアセトアルデヒドが酢酸に変わらず体内に留まることで二日酔いの症状が出る。その状態でさらにアルコールを摂取してしまうのが迎え酒だ。迎え酒で摂取したアルコールは肝臓でアセトアルデヒドとなり、そのまま体内に蓄積していく。迎え酒をすることで、実際には二日酔いが長引くことになるわけだ。感覚が麻痺して一時的に楽になったとしても、問題が(より深刻な状態で)先送りされただけであり、根本的解決にはまったくならないのである。

沈黙の臓器「肝臓」に大きな負担をかけてしまう

アルコールの分解を担う臓器の代表である肝臓は、沈黙の臓器と呼ばれている。ダメージを受けても痛みなどを感じにくく、症状が現れる頃にはすでに重篤な状態であるというケースも多い。迎え酒だけに限ったことではないが、アルコールの過剰摂取は長い目で見て健康に大きなリスクをもたらすことを、今一度「肝に」銘じておこう。

アルコール依存症を招くおそれがある

二日酔いを迎え酒で治そうとする習慣が身についてしまうと、やがてアルコールが手放せない「アルコール依存症」を招くおそれがある。無意識のうちに迎え酒をしてしまう方、毎晩のようにお酒を飲む方、摂取量が多い(増えている)方などは、自覚して気を付けないと身体に大きな負担を強いることになるのである。

4. 迎え酒が習慣の方は注意!アルコール依存症の進行プロセスとは?

アルコール依存症は、ある日突然やってくるのではなく、長い期間をかけてじわじわ進行するとされている。具体的にどういった症状や兆候が見られるようになるのかを簡単にまとめたので確認していこう。

初期段階

  • お酒をほぼ毎日のように飲む習慣がある
  • お酒を飲んでいないと心が落ち着かない
  • お酒を飲む量が増えている など

中期段階

  • ますます飲酒量が増えている
  • 寝つきが悪くなり、寝汗もかくようになる
  • 仕事中のイージーミスが増える など

末期段階

  • 仕事や食事よりも何よりもお酒を飲むことを優先する
  • お酒が切れると激しくイライラしたり、身体が震えたりする
  • お酒が切れると得体の知れぬ不安に襲われる など
アルコール依存症の進行プロセスについては人によってやや異なるかもしれないが、たとえばこのようなところがひとつの目安になるだろう。迎え酒が直ちにアルコール依存症を招くとはいわないが、やはり習慣的な飲酒やお酒の過剰摂取など、心当たりがある方はぜひこの機会に見直してほしい。

5. 二日酔いに効果的な、迎え酒以外の方法は?

二日酔いを治す手段としての迎え酒は誤りであることが分かった。では、どうすれば身体に負担をかけることなく二日酔いの不快な症状を治すことができるのだろうか?基本的には次の二つをおさえておこう。

水分補給

飲み過ぎた方にお冷やをすすめることは理にかなっている。アルコールの過剰摂取で起こりやすいのが脱水症状だ。酔い潰れて脱水症状になっているのに気付かず、そのうえ水分補給すらしないのは大変危険である。飲み過ぎた翌朝などに気分が悪いと感じたら、まず水をこまめに、飲むことを心がけるとよい。

栄養補給

水を飲んだあとは栄養を少しずつ補おう。主に必要なのは糖とビタミンCだ。アルコールを摂り過ぎると低血糖になりやすく、これがフラフラする原因にもなる。そのため、ブドウ糖を摂取して効率よく血糖値をあげるとよい。またアセドアルデヒドの分解を促すには、ビタミンCが役立つといわれている。水やブドウ糖とともにビタミンCも補給しよう。果物のほかジュースやサプリなどでも手軽に補給できるので、自分にとって摂取しやすいタイプを選ぼう。

頭痛や胃のむかつきがひどいときは頭痛薬や胃薬を

朝目覚めたときに頭痛がひどかったり、胃のむかつきや吐き気などが激しいときは、水分補給や栄養補給とあわせて、頭痛薬や胃薬を飲んで症状を落ち着かせることも大切だ。

6. 迎え酒は二日酔いの解消に意味がないことを再認識しよう

迎え酒に関する基礎知識と、二日酔いに逆効果である理由、アルコール依存症の進行プロセスや二日酔いの正しい治し方などについて解説してきた。お酒による症状をお酒で治すことができないことなど、普通に考えれば分かるという方も多いだろう。だが一度迎え酒をして楽になった感覚を体験した方は、つい迎え酒をしてしまうことがあるかもしれない。残念ながら二日酔いを解消する効果はないことを、これを機に今一度再認識しよう。

結論

迎え酒をしても二日酔いが治らないどころか、身体を壊すリスクがあることはしっかり覚えておこう。二日酔いにはお酒ではなく水と栄養を摂ることが大切だ。少しでも早く元気な身体を取り戻すことはもちろん、できれば飲みすぎない、悪酔いしない程度のたしなみ方を身につけたいところだ。
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  • 公開日:

    2020年4月20日

  • 更新日:

    2021年8月25日

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