1. ウイスキーフロートとは

フロートとは「浮かべる」という意味から派生した言葉だが、ウイスキーフロートは、ウイスキーのアイスクリームのせではない。ウイスキーの「層」を浮かべるという意味合いのカクテルなのである。
■ウイスキーと水で作るカクテル
では、ウイスキーフロートは何で作られているのかというと、材料はなんとウイスキーと水だけだ。グラスに水とウイスキーを入れるだけ。それだけ聞くとただのウイスキーの水割りではないかと思うだろう。しかしフロートというだけあり、ただの水割りとは異なる。
■グラデーションが特徴
ウイスキーフロートの大きな特徴は、ウイスキーと水で作られる美しいグラデーションだ。グラスの底から中間部にかけては透明で上は琥珀色となり、まさに水の上にウイスキーが浮かんでいるような状態である。このような層ができる理由は、水とウイスキーの比重の違いにある。水の比重が1であるのに対しウイスキーの比重は0.92とわずかに軽いため、上手に注ぐときれいに分離するのである。
■3種類の味を一杯で楽しめる!?
見ための特徴に加え、味に関してもウイスキーフロートには水割りとは違った特徴がある。それは、水とウイスキーが分離していることにより味が3段階に分かれるということ。まず、最初はウイスキーが浮いている部分を口にするためほぼストレートを飲んでいる状態となる。しかし、グラスを傾けるうちに自然とウイスキーと水が混ざり合うため中間部分は水割りを飲んでいる状態に。そして最後は限りなく水に近い状態である。最後に水を口にすることで後口をすっきりとさせ、次の酒へと進みやすくする役割があるそうだ。このように、1杯でストレート・水割り・水という3種類の味を楽しめるのがウイスキーフロートの魅力なのである。
2. ウイスキーフロートの作り方・飲み方

ウイスキーフロートを作る際は、ウイスキー:水の割合が3:7~4:6ほどになるようにするとよい。高さのあるタンブラーを使うと作りやすい。
■水にウイスキーを優しく注ぐ
グラスの6分目ほどまで水を入れ、ウイスキーを注ぐ。このとき、水面とグラスの接点にマドラーやバースプーンの先端を当ててウイスキーをゆっくりと伝わせながら注ぐのがポイントだ。できるだけ水面を揺らさないように静かに優しく注ぐとウイスキーが水に浮きやすくなる。
■氷は入れないほうが作りやすい
ウイスキーフロートには氷を入れても入れなくてもよいが、初めて作る際には入れないほうがよい。なぜなら、氷が水に浮いてくるため層がきれいにできにくくなるからだ。作り慣れてきたら氷を入れてもきれいな層を作れるようになるだろう。
■グラスを揺すらず味わいの違いを楽しもう
飲む際にグラスを揺すってしまうと、せっかくできた層が混ざりただの水割りになってしまう。ウイスキーフロートは味わいの違いを楽しむのが醍醐味のため、混ぜずにできるだけ層のままで楽しみたい。
3. さまざまなウイスキーフロートのアレンジ

基本的にはウイスキーと水で作るウイスキーフロートだが、ほかの割りもので作ることも可能だ。水で作るウイスキーフロートが成功したら、アレンジを試してみてはいかがだろう。
■炭酸水でハイボール風に
炭酸水をゆっくりグラスに注ぎ、泡が落ち着いたところにウイスキーを注ぐ。または、薄いハイボールを作ってからウイスキーを注ぐという方法もある。また、炭酸水の代わりにコーラやジンジャーエールを使用しても美味しい。
■レモンジュース
ウイスキーはレモンとの相性がよい。レモンジュースと炭酸水を混ぜたものを使ったウイスキーフロートはレモン色と琥珀色のグラデーションが美しい。
結論
ウイスキーフロートは、いかにきれいな層を作るかがポイントだ。1杯で3つの楽しみ方ができるというのも、お得感があるのではないだろうか。作り方の難易度はやや高いが、材料はウイスキーと水のみとシンプルなので、ぜひチャレンジしてほしいカクテルである。