1. リキュールの発祥と歴史

リキュールは、紀元前古代ギリシャの医者である「ヒポクラテス」がワインに薬草を溶かして作った薬酒が起源とされている。ヨーロッパにペスト菌が伝染し、黒死病が蔓延した際に、スピリッツに薬草を溶かして作られた「エリクシル」は貴重な薬品として扱われた。
現在のように嗜好品として利用されるようになったのは、15世紀に入ってからである。その後、日本にリキュールが入ってきたのは豊臣秀吉の時代であり、「利休酒」といわれたのがリキュールであると推測されている。
日本の文献にリキュールが登場するのは、1853年の黒船来航時である。明治時代になるとヨーロッパ文化のシンボルとしてもてはやされ、港町のホテルバーや東京銀座で開店したバーなどで飲まれるようになったのである。
2. リキュールの定義について

蒸留酒であるスピリッツに、香草や果物などの香味を付与したり、砂糖やシロップなどで甘みを加えたり、着色したものがリキュールである。「混成酒」に分類されるが、混成酒には醸造酒をベースにしたものと蒸留酒をベースにしたものがあり、単純にリキュール=混成酒ではない。
日本の酒税法では、「リキュールとは、酒類と糖類そのほかの物品(酒類を含む)を原料とした酒類で、エキス分が2%以上のものをいう。ただし、清酒、合成精酒、焼酎、みりん、ビール、果実種類、ウイスキー類、および発泡酒に該当するものは除かれる」と定められている。
3. フルーツ系リキュールの紹介

カシスやピーチ、メロンなどのフルーツ系リキュールは、多くのカクテルで使われており、もっとも身近なリキュールである。
カシスオレンジ
定番であり女性からの人気が高い飲み方である。甘いカシスリキュールをオレンジジュースの酸っぱさでアクセントをつけており、非常に飲みやすい飲み方だ。目安となる分量は、カシスリキュール1:オレンジジュース4である。
ファジーネーブル
ピーチリキュールの定番の飲み方は、オレンジジュースを使った飲み方である。ピーチリキュールの甘みとオレンジジュースの酸味のバランスがよく、ジュースのように飲める。分量の目安は、ピーチリキュール1:オレンジジュース3である。
ミドリ・ミルク
簡単に作ることができるメロンリキュールの飲み方で、メロンリキュールを牛乳で割るだけである。メロンの甘く芳醇な香りをミルクがまろやかに包む、女子ウケのよいおすすめの飲み方だ。目安の分量は、メロンリキュール1:牛乳4である。
4. 香草系リキュールの紹介

カンパリやイエーガーマスターなどの香草系リキュールは、古くから薬用として利用されてきたリキュールの起源である。
カンパリオレンジ
カンパリをジュースで割るだけで、さわやかな苦味が特徴のシンプルなカクテルである。分量の目安はカンパリ1:オレンジジュース3である。
スプモーニ
スプモーニとはイタリア語で「泡立てる」という意味。カンパリの苦味とほのかな甘み、グレープフルーツのさわやかな酸味をトニックウォーターで割ることにより、爽快な飲み口のカクテルになる。分量の目安は、カンパリ20ml、グレープフルーツジュース30ml、トニックウォーター100mlである。
イエーガートニック
ドイツで生まれたハーブリキュールであるイエーガーマイスターを手軽に味わうなら、トニックウォーターで割るのがおすすめ。ほろ苦くさわやかな風味で食前酒としても楽しめる。分量の目安は、イエーガーマイスター1:トニックウォーター3である。
結論
薬酒が起源のリキュールは、蒸留酒であるスピリッツに香草や果物などで香りを付けたり、甘みを加えたお酒である。現在では薬用を起源とする香草系のほかに、フルーツ系リキュールも数多くあり、さまざまな飲み方で親しまれている。リキュールにジュースなどを混ぜるだけの飲み方も多いため、自宅でも手軽に楽しむことができ、女性にも人気のお酒だ。