1. アルコール分解速度の目安は?

アルコールの処理にかかる時間は、個人差があるので断定的には明言できない。高齢者ほど分解速度は遅くなると考えられているが、反対に飲んですぐに分解が始まり、比較的早いタイミングで頭痛などの症状が出る人もいる。
さらに、アルコールの分解速度は酒の種類によって異なる。
- ビール 500mlで3時間
- 焼酎 30mlで1時間
- 日本酒 180mlで4.5時間
- 赤ワイン 120mlで2時間
- ウイスキー 60mlで3時間
あくまでこれは目安であり、飲む量によっても変わる。飲み会など、1杯のグラスで終わらない場合は、さらに長くなると覚えておこう。自己判断で酒が抜けたと決めつけてしまうと、車や自転車の運転で違反になってしまうので要注意だ。
2. アルコール分解速度の算出方法

アルコールの分解速度は、なんと自分で計算することも可能である。算出に必要なものは次の2点だ。
- 身体が1時間に処理できるアルコールの量
- 飲んだ酒の純アルコール量
身体が1時間に処理できるアルコールの量は、自分の体重に0.1を掛けて算出する。つまり、体重60kgの人であれば、1時間に処理できるアルコールの量は6gとなる。
飲んだ酒の純アルコール量は、次の計算式で算出できる。酒の量(ml)×アルコール度数(%)× 0.8(アルコール比重)= 純アルコール量(g)
例として、アルコール5%のビールを500ml飲んだ場合は、500×(5÷100)×0.8となり、純アルコール量は20gだ。
例として、アルコール5%のビールを500ml飲んだ場合は、500×(5÷100)×0.8となり、純アルコール量は20gだ。
次に、アルコール分解速度を求めるには、[純アルコール量÷1時間に処理できるアルコール量]で求める。上記の例でいくと、体重60kgの人が5%のビールを500ml飲んだ場合のアルコール分解速度は、20÷6=3.33...であり、3時間20分ほどかかることがわかる。あくまでも目安であり、肝臓の処理能力や体調によって変わってくる。アルコール度数の高い酒を飲む場合は、分解に時間がかかるので、飲みすぎないように気を付けよう。
3. アルコールの吸収と分解の仕組みとは?

飲んだアルコールは、どのように身体へ吸収されているのだろうか。アルコール吸収のメカニズムを詳しくみてみよう。
- 胃腸での吸収
まず、飲んだアルコールの20%は胃から、残りは小腸上部から吸収される。胃から吸収されるよりも、腸から吸収されるほうがスピードは速い。消化管内でのアルコール吸収速度は速く、アルコールを摂取したあと1〜2時間ほどでほぼ吸収されてしまう。
- 門脈から臓器へ
胃や腸で吸収されたアルコールは、大きな静脈である門脈に入り、肝臓へ。その後全身の臓器に流れていく。アルコールは水によく溶ける性質を持っているため、臓器にはよく浸透する。しかし、油脂には溶けにくい性質を持つため、脂肪細胞への広がりはゆっくりだ。
- アルコールの分解
摂取されたアルコールは、汗や尿などへ直接排出されるものもあるが、数%程度にとどまる。大部分が肝臓における分解によって処理される。
まず、アルコールはADHという脱水素酵素によって「アセトアルデヒド」という有毒な物質に酸化される。その後、アセトアルデヒドはALDH2によって「酢酸」に酸化され、最終的には炭酸ガスと水に分解されるというのが主なメカニズムだ。
アルコールの体内消失速度は肝臓の大きさにも左右されるため、一般的には身体の大きな男性は、女性よりもアルコールが抜けるのが速い。また、年齢や遺伝による体質、脳のアルコール感受性なども影響するため、分解速度については明言できない部分が多い。
結論
自分のアルコールの分解速度は、1時間に処理できるアルコール量を体重から割り出し、飲んだ酒の純アルコール量を計算すると算出できる。ただし、あくまでも机上の計算であり、個人の体質やその日の体調によって大きく左右される。参考程度に覚えておこう。どの程度飲んでも大丈夫かは、自分が一番わかっていることだ。酒の時間を楽しいものにするためにも、節度ある飲酒を心がけよう。