1. 獺祭の由来、蔵の歴史

獺祭の蔵元は山口県にある「旭酒造」だ。日本だけでなく世界的に有名な日本酒となった獺祭が作られた蔵元は、もともとは小さな地酒蔵だったそうだ。
■旭酒造の歴史
旭酒造が創業をはじめたのは1948年。当時はほかの地酒蔵と変わらない小さな蔵元だった。その後も長い間、とくに旭酒造が目立った業績をあげることはなかった。獺祭を作ったのは三代目社長の桜井博志氏だが、社長となった当時は焼酎ブームのため日本酒の売り上げは全盛期のわずか1/3にまで落ちてしまっていた。ほかの清酒メーカーとともに旭酒造にとって苦しい時期だったが、この焼酎ブームによる売り上げ低下こそが獺祭誕生のきっかけを作ったともいえるのだ。
■高価な純米大吟醸・獺祭の誕生
桜井氏は売り上げを取り戻すためにさまざまな手法を使うが、根本的な解決には至らなかった。そこでついに、それまで主力商品として作ってきた普通酒を捨て、高価な純米大吟醸のみを製造するまさに勝負ともいえる決心をしたのだ。「酔えればいい・売れればいい酒ではなく、味わうための酒を作り出す」、このモットーにより生み出された純米大吟醸酒が獺祭なのである。いまでも、旭酒造は獺祭のみに絞って製造を続けている。
■獺祭の由来は地名と正岡子規
旭酒造は山口県岩国市の獺越(おそごえ)という場所にある。この獺越から一字をもらったのが獺祭のネーミングの由来だが、もう一つ重要な意味が込められている。獺は「カワウソ」とも読むのだが、カワウソには捕えた魚を食べる前に並べる習性がある。そのさまは供物をして祭りをするようにも見える。俳人正岡子規は、そのさまが書物を広げ文学を創造する文人に似ているとし、自らを「獺祭書屋主人」と号したといわれている。文学界に革命を起こした人物である正岡子規にならって、革新の中からより優れた酒を作り出したいという思いを込め獺祭という名が付けられたのである。
2. 獺祭の特徴、味わい

獺祭はなぜこれほどにまで人気を集めているのだろうか。その特徴や味わいを探っていこう。
■とことんこだわり抜いた製法
旭酒造では、洗米から瓶詰めまでのすべての作業工程に強いこだわりを持っている。獺祭の製造方法は、コストを下げることよりもいかに味をよくするかということを考えて選ばれているのだ。機械で行えば効率よく進む作業でも品質を重視するゆえにあえて手作業で行い、時間をかけて作り進めていく。たとえば麹造りでは交代制で24時間手作業をやめない。もろみと酒を分離する工程では日本で初めての遠心分離機を導入した。さらに、原料米である山田錦の生産にまで携わっている。米本来の美味しさを最大限に生かした酒を生み出すために、とことんこだわり抜いた製法で作られているのが獺祭なのだ。
■すっきりとした飲み口とコク
獺祭は日本酒でありながらワインのように香り高いと表現されることが多い。また、しっかりとしたコクが感じられるのも特徴である。それでいて、飲み口はすっきりとしているため非常に飲みやすい酒なのだ。獺祭には米の磨き具合が異なるさまざまな種類があるのだが、どれも同じようにすっきりとした飲み口、甘みと香りのバランスが取れた上品な風味を感じられる。日本酒が苦手でも獺祭なら美味しく飲めるという人も少なくないそうだ。
3. 獺祭の商品情報

獺祭はさまざまな酒店で取り扱われていおり、ネット通販でも入手可能だ。ここではその一部を紹介する。冷蔵庫で保管し開栓後は2~3日以内に飲みきろう。価格は変動する可能性もあるので、公式ホームページも参考にしてほしい。
■獺祭 純米大吟醸45
- 特定名称:純米大吟醸
- 原料米:山田錦
- 精米歩合:45%
- アルコール度数:16度
- 容量と価格(税込み)
1800ml(3300円)、720ml(1650円)、300ml(688円)、180ml(440円)
結論
獺祭は味わうための日本酒として生み出され、確固たる地位を獲得した。それでも旭酒造はまだ酒造りの研究をやめないようだ。獺祭には紹介した45のほかにも、精米歩合や製法が異なるタイプやスパークリングなどさまざま商品があるため、飲み比べてみてはいかがだろう。