1. 楽器正宗の生産地

福島県矢吹町にある「大木代吉本店」で造られている日本酒の1つが楽器正宗だ。大木代吉本店は1865年創業で150年以上の歴史をもつのだが、時代の変化に合わせた独創的な酒造りも行っている注目度の高い酒蔵だ。楽器正宗は、その独創性で注目を集める大木代吉本店の創業当時から造られている。
楽器正宗は大正年間、2代目大木代吉の時代に造られていた日本酒だ。2代目は大木代吉本店を酒蔵として大きく発展させた人物といわれている。日本酒でありながら「楽器」の名がつく理由にはなんと皇族が関係している。当時の矢吹町周辺は御猟場として皇族の方々が頻繁に訪れる地であったのだが、その際に大木代吉本店で造られた日本酒もふるまわれた。皇族の方がその日本酒を気に入った様子を見ていた雅楽師の奥好義(おくよしいさ)氏が、「酒造りも楽器を奏でることも、元は同じく神様への捧げ物」といったことから楽器正宗と名付けられたとされている。当時から高品質だった楽器正宗だが、現在はさらに味わいが進化している。2代目が築いた基礎を発展させて、より多くの人に愛される日本酒となっている。
また、楽器正宗以外にも大木代吉本店には「自然郷」や「こんにちは、料理酒」といった銘柄がある。どちらも楽器正宗より歴史は浅いものの、大木代吉本店のこだわりがつまった日本酒である。自然郷は契約農家が無農薬で栽培した酒米を使っており、米の旨みが堪能できるようになっている。また、こんにちは、料理酒はその名の通り、酒蔵では珍しい料理酒だ。日本酒と同様のこだわりをもって造られているため料理を美味しく引き立ててくれる。そのためプロの料理人も愛用しているそうだ。
2. 楽器正宗の特徴

楽器正宗は本醸造酒がメインである。日本酒は原料や精米歩合によって純米酒や本醸造酒といった特定名称が変わる。本醸造酒の場合、原料には米と米麹、醸造アルコールの3つが使われており、使用する米の精米歩合は70%以下と規定されている。一般的に精米歩合が低いほど味わいは研ぎ澄まされていくが、酒造好適米の品質の向上や米のもつ味わいを楽しみたいという層には、精米歩合が高い日本酒が好まれる。楽器正宗も精米歩合を60~70%にすることで米の旨み、甘みを堪能できるようになっている。本醸造酒以外にも米と米麹のみを原料にする純米酒バージョンも造られており、本醸造酒では華やかながらも淡麗な味わいを、純米酒ではバランスのよい甘みと酸味を兼ね備えながらジューシーな味わいをそれぞれ楽しめる。
また、使用している酒米も特徴的だ。山田錦など全国区で使用されている酒造好適米を使用することもあるが、楽器正宗では主に「夢の香」が使われている。夢の香とは福島県で誕生した酒造好適米なのだが、誕生したのが比較的最近であることも影響して原料米として使用している酒蔵は少ない。楽器正宗では掛米(もろみの仕込みで使われる米)と麹米(麹を作る際に使われる米)の両方に夢の香が使われており、夢の香の味わいを充分に堪能することができる。
3. 楽器正宗の商品情報
「楽器正宗 本醸造 無濾過原酒」
甘みと酸味のバランスがよく、軽やかな味わいを楽しめる。
特定名称:本醸造
原料米:夢の香
精米歩合:麹米60%、掛米70%
アルコール度:16度
内容量:720mlと1.8Lの2種類
甘みと酸味のバランスがよく、軽やかな味わいを楽しめる。
特定名称:本醸造
原料米:夢の香
精米歩合:麹米60%、掛米70%
アルコール度:16度
内容量:720mlと1.8Lの2種類
「楽器正宗 本醸造 中取り」
もろみを搾ったときに中間で出てくる「中取り」を瓶詰めした楽器正宗。中取りを使用しているため、バランスのよい味わいを堪能できる。
特定名称:本醸造
原料米:夢の香
精米歩合:麹米60%、掛米70%
アルコール度:16度
内容量:720mlと1.8Lの2種類
もろみを搾ったときに中間で出てくる「中取り」を瓶詰めした楽器正宗。中取りを使用しているため、バランスのよい味わいを堪能できる。
特定名称:本醸造
原料米:夢の香
精米歩合:麹米60%、掛米70%
アルコール度:16度
内容量:720mlと1.8Lの2種類
「楽器正宗 本醸造 別撰」
食中酒におすすめの楽器正宗。フルーティーな風味と米の旨みの両方を味わえる。
特定名称:本醸造
原料米:夢の香
精米歩合:60%
アルコール度:16度
内容量:720mlと1.8Lの2種類
食中酒におすすめの楽器正宗。フルーティーな風味と米の旨みの両方を味わえる。
特定名称:本醸造
原料米:夢の香
精米歩合:60%
アルコール度:16度
内容量:720mlと1.8Lの2種類
結論
150年以上の歴史がある大木代吉本店で造られている楽器正宗は、いまだに進化を遂げている日本酒だ。原料米に福島県産の酒造好適米である夢の香を使用しており、ほかの日本酒とは違った味わいを楽しめるようになっている。大木代吉本店ではほかにも面白い日本酒があるが、まずは楽器正宗を嗜むのをおすすめする。