1. 本格的なひれ酒の作り方

ひれ酒はその名の通り、日本酒にふぐなどのひれを浸してダシを抽出した滋味溢れる日本酒の飲み方だ。ひれ酒の作り方は難しいと思われがちだが、料亭だけでなく、実は家でも再現ができるお酒である。そこで、簡単なひれ酒の作り方と美味しく作るコツを紹介しよう。
ひれ酒の作り方
ひれ酒は主にとらふぐのひれなどを使う。まずはひれをこんがりと炙る。同時に日本酒を温め始め、80度程度の超熱燗になったらひれ酒を入れた耐熱容器に注ぎ入れる。すぐにライターなどで火をつけ、20秒程度アルコール分を燃やしたらアルミニウム箔などで蓋をして蒸らす。最後に、酒の色が変化したらひれを取り出すのだ。このひれは2、3回酒を継げるので1回で捨てないようにしよう。
美味しいひれ酒を作るコツ
ひれ酒の作り方でのポイントは、ひれはしっかり乾燥したものを使うということだ。乾燥ひれや焼きひれなどが望ましい。またひれを炙る時はきつね色になり、端がこんがりとするまで炙ることが大切だ。ひれがしっかり乾燥していないと生臭く、焼きすぎると焦げくさくなるため注意しよう。また日本酒の温度は70度以上が適する。これはアミノ酸が染み出す温度が70度以上であるためで、それを下回ると生臭くなり、旨みも出にくくなる。最後に、使う日本酒は上撰などの香りの少ないものがおすすめだ。吟醸などは香りが立ちすぎてしまい、ひれの香りが飛ぶので適さないといわれている。
2. 簡単なひれ酒の作り方

ひれ酒の作り方を紹介したが、家で作ろうと思うと用意が面倒だと思う人もいるだろう。そこで、思い立ったらすぐに飲むことができる商品や、簡単なアレンジを紹介しよう。
電子レンジでチン!簡単アレンジ
実は、乾燥ひれの中でも「焼きひれ」を使えば耐熱容器に日本酒と共に入れて電子レンジで温めるだけでできあがる。温度はやはり80度になるように調節しよう。また突沸しやすいので様子を見ながら温めることも必要だ。しかし、ひれを炙ったり熱燗を用意するよりも簡単に作ることができるのでおすすめだ。
ひれ酒キットは便利で美味しい
黄桜の商品で、山口の料亭・春帆楼と共同開発した商品がある。その名も「春帆楼 ふくのひれ酒カップ」だ。これはカップ酒にふぐひれがついたもので、飲む時はふぐひれを入れて電子レンジであたためる。とても手軽にひれ酒ができる作り方なので、お試しで飲んでみたい時や1人用にぴったりだ。
3. エイヒレでもひれ酒は作れる?

日本酒とひれといえば、つまみのひとつであるエイヒレが思い浮かぶだろう。しかしひれ酒の作り方としてエイヒレを使うという店は少ない。そこで、ひれ酒の作り方としてエイヒレを使うとどうなるのかを解説する。
エイヒレはひれ酒に不向き?
ひれ酒の作り方の工程にエイヒレを使うレシピがあるのかを調査したところ、ほぼ記載がなかった。理由として考えられるのが、エイヒレは基本的に半乾きの商品が多いという点だ。またエイヒレに唐辛子や調味料を染み込ませたものがよく販売されている。いわゆるおつまみとしてのエイヒレなので、酒に入れてしまうと酒の味が感じられなくなるので使われないのであろう。
エイヒレをつまみにひれ酒を
エイヒレは日本酒のおつまみとして有名だ。もちろんひれ酒のおつまみとして食べても美味しい。ひれ酒の旨みとエイヒレの味わいがマリアージュされるためだ。ひれ酒の酒をお湯割焼酎に変えてもエイヒレとの相性はよいので、さまざまなお酒で楽しんでみてほしい。
4. 身近な素材でアレンジ!ひれ酒の作り方

ひれ酒というのは本来魚の旨みをお酒に染み出させた作り方で飲むものだ。旨みが染み出す乾物はふぐの他にもさまざまなものがある。そこで今回は比較的手に入りやすく、なおかつ美味しいとされるひれ酒・骨酒の作り方について紹介しよう。
フカヒレ酒
エイヒレではなく、フカヒレであれば気仙沼産のフカヒレ酒用のものが販売されている。こちらも飲み方や作り方はふぐのひれ酒と同じだ。しかし味わいは少し違い、サメのコラーゲンが染み出すためトロッとしたまろやかな味わいである。焼酎のお湯割や日本酒などと相性がいいので、変わり種としても楽しめる。
イカ徳利
ひれ酒とは少し違うかもしれないが、イカで作った徳利に入れる「イカ徳利」という日本の工芸品がある。このイカ徳利はお酒を3回ほど入れて楽しんだ後、火で炙ってあたりめとして食べることができる楽しい入れ物だ。付属のげそを炙って入れればさらに味が濃くなるうえに、そのげそをつまみに飲むこともできる優れものである。最後にあたりめとして食べる時にはあまりイカに塩味がないので、マヨネーズと七味を合わせたものなどをつけて食べるのがおすすめだ。
カワハギの骨酒
カワハギを食べることはあるだろうか。その時余った骨はあらかじめ取っておき、グリルなどでじっくり焼いてみよう。その後80度の超熱燗にした日本酒に入れるとこちらも旨みがたっぷり染み出してくるのだ。骨せんべいほどの硬さになるまで焼くと尚更香ばしさと旨みだけが残る。しかも魚の脂が浮いてこないのでさっぱりとした飲み口なのである。
結論
ふぐなどの旨みのある魚は、骨やひれなども美味しい。それらを80度程度の日本酒に入れて飲めば、旨みを存分に楽しむことができる。そんな骨酒・ひれ酒の作り方のコツは、しっかり骨やひれを炙ることと、日本酒を80度の超熱燗にすることだ。温度が低かったり、生乾きの乾物を使うとどうしても生臭くなってしまう。それを守ればさまざまなアレンジが可能なひれ酒なので、ぜひとも試してみてほしい。但し、酒税法(※)によって、飲む直前に自作し、自分で嗜むことは認められているものの、酒類の製造/販売業免許を持たずに、貯蔵および販売することは禁止されている。自作の際には十分に注意してほしい。