1. シンガポールスリングってどんなカクテル?

はじめに、シンガポールスリングとはどんなカクテルなのかを知っておこう。ここではシンガポールスリングの歴史や味わい、アルコール度数や誕生酒について解説する。レシピを知る前にまずは基本を押さえ、シンガポールスリングを深く楽しもう。
シンガポールスリングの歴史
シンガポールスリングの歴史は1915年までさかのぼる。シンガポールの名門、ラッフルズホテルのロングバーでシンガポールスリングは生まれた。当時は女性が人前でお酒を飲むことはエチケット違反とされていた時代だったが、そんな女性でも飲めるお酒をと考案されたカクテルがシンガポールスリングなのである。考案者はロングバーのバーテンダー、ニャン・トン・ブーン氏だ。ニャン氏は洞察力に長けており、カクテルを一見ノンアルコールのフルーツジュースに見せることに成功。こうしてできあがったシンガポールスリングは女性の間で瞬く間に人気が広がり、今ではシンガポールを代表するカクテルとなったのである。
シンガポールスリングの味わい
シンガポールスリングの味わいは、まるでフルーツジュースのように甘く、さっぱりとした口当たりが特徴だ。使用するジュースによっても味わいが変わるので、いろいろと試してみよう。
シンガポールスリングの度数
シンガポールスリングのベースであるジンのアルコール度数は40度と高く、合わせて使用するチェリーブランデーなどのリキュール類のアルコール度数も高い。しかしこれらにジュースなどを加えて作っていくので、シンガポールスリングのアルコール度数は約10度あたりまで落ち着く。飲みやすいカクテルだが、ビールよりもアルコール度数が高いため、あまり飲み過ぎないように注意をしよう。
誕生酒について
誕生石や誕生花のように、お酒にも誕生日にちなんだ誕生酒というものがある。シンガポールスリングは5月8日の誕生酒であり、誕生酒が示す酒言葉は「身を任せられる者を求めるロマンチスト」である。もし友人や身内の誕生日に当てはまっていたら、シンガポールスリングを振る舞ってあげるのもいいかもしれない。
2. シンガポールスリングのレシピ

シンガポールスリングはシェイカーを使用するカクテルである。自宅にシェイカーがない場合、この機会に揃えておいてもいいだろう。ここでは自宅でも手軽に実践できるシンガポールスリングのレシピを紹介する。
シンガポールスリングの基本レシピ
まず用意する材料は、ジンを30ml、チェリーブランデーを15ml、レモンジュースを20ml、炭酸水だ。好みで砂糖を加えてもよい。本場のスタイルのレシピは後述するが、自宅の場合はこれらの材料が揃えば手軽に美味しいシンガポールスリングが楽しめる。まず炭酸水以外の材料をシェイクして氷を入れたタンブラーグラスに注いだら、グラスを炭酸水で満たして軽くかき混ぜて完成だ。仕上げにグラスのふちにリンゴやパイナップル、チェリーなどを好みで飾り付ければ、見た目にも鮮やかなシンガポールスリングが楽しめる。
3. 日本とは違う!ラッフルズスタイルのシンガポールスリング

前項では簡単なシンガポールスリングのレシピを紹介したが、実はそのレシピはシンガポールスリングが一度イギリスに渡り、シンプルにアレンジされて世に広まったレシピである。ここでは本場ラッフルズスタイルのシンガポールスリングのレシピを紹介しよう。基本レシピに比べると使用するリキュールの数も多いので上級者向けともいえるが、機会があれば試してみる価値はあるだろう。
本場ラッフルズスタイルのレシピとは
本場ラッフルズスタイルのシンガポールスリングで用意する材料は、ジンを30ml、チェリーブランデーを15mlと、ここまでは変わらない。しかし追加でホワイトキュラソーを7ml、ベネディクティンを7ml、アンゴスチュラビターズを少々と、使用するリキュールが3つも多い。これらをパイナップルジュース120ml、ライムジュース15ml、グレナデンシロップ10mlと合わせ、シェイクしたら氷を入れたグラスに注いで完成だ。こちらも仕上げのフルーツを飾りつけるのを忘れずに。
シンガポールスリングのベースリキュールとは
いくらシンガポールスリングのオリジナルレシピが公開されているとはいえ、なかなかこれだけの材料を揃えるのは難しいと感じる人が多いだろう。そんな人には、パイナップルジュースとライムジュースを加えるだけで本格的なシンガポールスリングの味わいが楽しめる、ベースリキュールがおすすめだ。ラッフルズホテルのお土産の定番でもあるこのベースリキュールだが、日本でも数多くのショッピングサイトで入手可能だ。オリジナルレシピのシンガポールスリングの味わいを手軽に楽しみたい人は、ぜひ購入してみよう。
4. 缶入りシンガポールスリング

シンガポールスリングには缶入りの商品も存在する。缶のフタを開けるだけでシンガポールスリングが楽しめる手軽さが何よりの魅力であり、シンガポールはもちろん、日本でも季節限定で発売することがある。過去にはアサヒビールの「カクテルパートナー」シリーズでシンガポールスリングが発売され、キリンビールからも「旅する氷結」シリーズでシンガポールスリング風味の「チェリー・パイナッポー」が発売された。定番化されるケースは見られないが、今後限定でも販売された際にはぜひ一度試してみてほしい。
結論
シンガポールスリングはシンガポールで生まれた女性のためのカクテルだが、現在では女性のみならず、シンガポールを代表するカクテルとして性別や年齢を問わず愛飲されている。トロピカルカクテルの傑作とも称されるシンガポールスリングを、ぜひ一度味わってみてほしい。