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酒林は奈良県発祥!?日本酒と杉と神社の不思議な関係を紐解こう!

酒林は奈良県発祥!?日本酒と杉と神社の不思議な関係を紐解こう!

投稿者:ライター 岡本優美(おかもとゆみ)

監修者:管理栄養士 水島知美(みずしまともみ)

2020年10月26日

酒林という言葉をご存知だろうか。酒蔵に吊るされている杉でできた球体のくす玉のようなものだ。杉玉という名前で知っている人もいるかもしれない。この酒林は日本酒造りに関わる大事な飾りで、その歴史は5世紀ごろまで遡るという。本記事では、身近に思えて実は深遠な酒林について紹介しよう。

  
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1. 酒林は新酒をお知らせしてくれる!

酒林は日本古来の習慣だ。四季を大切にする日本では季語としても使われるほどである。そこで、酒林と季節の関係を解説していこう。

酒林とは

酒林は「さかばやし」と読む。別名は「杉玉」で、実際に杉の葉を使って作られた球体のくす玉のようなものだ。この酒林は新酒ができた酒蔵の入り口に吊るされることが多く、青々とした酒林は2月から3月の間に飾られる。新酒の時期に飾られるので、俳句の季語として使われることもあるのだ。

酒林の歴史

酒林の発祥は大正時代で、奈良県三輪市にある大神神社(おおみわじんじゃ)で作られたといわれている。どうして球状にしたのかなどのはっきりとした由来は判明していない。とはいえ酒造業者のうち大神神社を参拝する業者の集まり「酒栄講(さかえこう)」で、酒林を授与していたという。酒栄講自体は大正時代からあり、その頃から酒林があったとされている。現在でも大神神社では酒林を作り、酒造に授与しているのだ。

杉と日本酒と三輪の山

杉と日本酒、そして三輪には並々ならぬ関係がある。万葉集では味酒(うまさけ)は三輪にかかる枕言葉だ。また、大神神社の祭神のうち、「大物主神」という神が三輪に酒を伝えたことで当時流行っていた疫病がおさまったという神話もある。さらにこの大物主神が巻き付いているとされる御神木は杉だ。杉には殺菌作用があることから、かつては日本酒を貯蔵する樽やもろみを攪拌する櫂として杉が使われていた。大神神社が酒林を授与するのも、日本酒と大神神社、そして杉が密接に関わっているのが理由であろう。

2. 酒林の色の変化で飲みごろの酒が分かる

酒林は時期によって色が変化する。杉という天然の素材を使っているので、時間が経つと茶色く変化していくのだ。酒蔵にかかった酒林の色でわかる、その時期の飲み頃のお酒について解説しよう。

青々とした酒林

酒林がかかるのは2月から3月の新酒の時期だ。この頃の酒林はまだ青々としている。酒林が作られてすぐは、酒蔵の中で日本酒が絞られ始めた頃と一致する。新酒はさまざまな定義があるが、基本的に2月から3月の時期の新酒は絞られてすぐ、なおかつ火入れをしていない。そのため若く新鮮な味わいが特徴だといえる。一般的に熟成させればさせるほどお酒はまろやかになるので、新酒はむしろ刺激的な味わいである。甘味や苦味、酸味、旨味が調和せず、むしろ主張が激しいとまで感じるほどだ。舌にピリピリと刺激がくるお酒もあるほど、勢いのある日本酒が新酒なのである。

薄緑の酒林

酒林が薄緑に変わる頃、酒蔵では夏酒が作られ始める。夏酒は近年作られ始めたお酒だ。夏に爽快に飲めるように、工夫を凝らされたものが多い。酸度を高くして白ワインのような味にしたり、アルコール度数を低くして飲みやすくしたり、加水しない生酒のまま出荷して氷を入れても飲みやすくするなどの特徴がある。炭酸が入ったものまであり、夏にぴったりの日本酒が夏酒だ。夏風が吹き薄緑の酒林を目にしたら、舌で夏酒を味わおう。

茶色の酒林

酒林は秋頃になると、落葉樹のように茶色く変化する。茶色の酒林は、酒蔵の中の日本酒が熟成した証だ。杉の青々とした部分は消え、完全に枯れて茶色くなっているのが特徴の酒林が象徴する日本酒は「ひやおろし」と「秋あがり」の2つである。

まずひやおろしについて解説しよう。新酒を一度火入れし酒蔵の中で一夏熟成させる。この日本酒「冷や」を火入れせず「卸す」ことから名付けられた。ひやおろしには3種類あり、9月のひやおろしを「夏越し酒(なごしざけ)」、10月のものを「秋出し一番酒」、11月のものを「晩秋旨酒」と呼ぶそうだ。次に秋あがりだが、ひやおろしを含め一夏熟成させた日本酒全般を指す。秋までに「上がる」とは、うまく熟成することを意味する。逆に秋までにうまく熟成せず品質が向上しなかった日本酒は「あきさがり」と呼ばれる。

3. 酒林の作り方

酒林を手に入れる方法は3種類ある。ひとつ目は大神神社から授与してもらう方法だ。ふたつ目は販売するところから購入する方法である。そして最後に手作りという方法がある。もし杉の葉や枝が手に入るのであれば、酒林を自作して飾るのも粋なものだろう。そこで手作りする方法を簡単に紹介しよう。

酒林を作るには

まず、酒林を作る際必要な材料は大量の杉の枝、針金、そして剪定鋏だ。杉の枝はなかなか手に入りにくいかもしれないが、針金で芯材を作るため杉の量によって変更が可能だ。大神神社の酒林は竹で芯材を作るが、初心者には針金が扱いやすいだろう。ただしあまり細い針金だと切れてしまうので相応の太さが必要である。

酒林の作り方

まず、針金で芯材を作る。芯材はとにかく杉が抜けないようにすることが重要だ。一例だが、針金でできた円を2本つくり、その間に螺旋状に巻いた針金を入れるなどの方法がある。とにかく頑丈にすることと、杉の枝が抜けないことを意識して作ろう。次に杉の枝を入れていく。杉の枝をみっしりと入れ、最後は綺麗な球状になるように形を整えれば酒林の完成だ。

酒林のコツ

まず、酒林を吊り下げたい場合は芯材を作る際にロープなどもくくりつけておこう。杉を入れてしまうとくくりつけられないので注意が必要だ。また綺麗な球状にするには、遠くから見て形を確認することも大切だ。手元ばかり見ていると歪な形になるので、ときどき確認をして作業しよう。

結論

酒蔵の入り口にあるくす玉は「酒林」という名前だ。杉でできており、古くから日本酒に関係がある。現代の酒林の形になったのは大正時代だが、日本酒と杉の関係性はさらに古く奈良時代頃からあるとされる。そんな酒林は色によって飲み頃の酒がわかる優れものだ。家で作ることもできるので、日本酒ファンは家に飾ってみても楽しい。外出した際に酒林をみかけた場合は、どのお酒が飲み頃なのかを思い出してみると面白いだろう。
  

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