1. 球磨焼酎は九州・熊本県南部の焼酎
まずは球磨焼酎のプロフィールについて紹介しよう。球磨焼酎についたロゴの意味や、歴史についても解説する。
球磨焼酎とは
球磨焼酎は、熊本県人吉地区で生産される米焼酎だ。球磨焼酎は琉球泡盛や薩摩焼酎、壱岐焼酎と並び、「地理的表示の産地指定」がWTOによって認可されている焼酎である。コニャックやシャンパンなどと同じく、決まった地域で作られる伝統的なお酒のブランドを認定し、保護する取り組みだ。球磨焼酎は平成7年に認定された。
球磨焼酎の特徴
球磨焼酎は熊本県球磨地域で作られた米焼酎である。正式な定義は、熊本県球磨郡および人吉市の水と米麹を使って仕込んだもろみに、球磨の地下水と米を混ぜる。それを、人吉球磨地域で単式蒸溜器を使って蒸留し、瓶詰めまでされた焼酎だ。
球磨焼酎の歴史
球磨地域での焼酎作りは、戦国時代にはすでに行われていたとされている。江戸時代には大陸の技術が入ってきたことで技術が躍進し、生産量が増えた。米焼酎は庶民でも作っていたが、販売することは厳しい規制があったとされる。その後明治時代に入ると誰でも焼酎を売買できるようになったため熊本県での消費は拡大した。そして第二次世界大戦後は日本中に球磨焼酎の名声が広がった。
球磨焼酎のロゴと球磨焼酎の日
8月8日は球磨焼酎の日だ。米という漢字を分解すると八十八になることから、8月8日が米を原料にした球磨焼酎の記念日になったのである。また球磨焼酎にはオリジナルロゴがついており、これは米粒のイラストと「く」というひらがなを図案化したものである。このロゴがついているものは球磨焼酎ブランドの焼酎なのである。
2. 通販でも人気の球磨焼酎3選
球磨焼酎は米を使った焼酎だ。そのため香りがよく米の味わいが強い。そんな球磨焼酎の中から、米の旨味が強いものや樽熟成をさせたものなど個性を持つ焼酎を3つ紹介する。
減圧蒸留と常圧蒸留
球磨焼酎だけでなく、単式蒸留で作られる本格焼酎には常圧蒸留と減圧蒸留の2つの方法がある。まず1つ目の常圧蒸留は、通常の大気圧のもとで行われる。沸騰したもろみの、気体部分だけを冷却し液化させる方法だ。2つ目の減圧蒸留は気圧を下げた状態でもろみを沸騰させる。山でお湯を沸かすと100度以下で沸騰するように、気圧を下げた状態で沸騰させると温度は低いまま沸騰する。常圧蒸留よりも温度を下げて蒸留する方法が減圧蒸留だ。減圧蒸留で作られる焼酎は口当たりがよく、常圧蒸留の焼酎は風味がしっかり残るという特徴がある。この2つの方法を組み合わせて多種多様な味わいの球磨焼酎が生み出されている。
福田酒造「花」
福田酒造とサントリーホールディングス株式会社の共同開発による「花」という球磨焼酎がある。名前の由来は、飲めば花びらのように口の中で味わいが開くからだという。国産米と熊本の麹を使用したこの球磨焼酎は柔らかな香りが特徴だ。
大石酒造「上無」
大石酒造「上無(かみむ)」は熟成された原酒と減圧蒸留の原酒、そして常圧蒸溜の原酒をブレンドした球磨焼酎だ。シェリー樽とコニャック樽で熟成された琥珀色の原酒がブレンドされているため、樽の香りがほのかにする。またブレンドしたものをかめで熟成させているためまろやかな味わいなのである。
鳥飼酒造「吟香 鳥飼」
吟香とは吟醸香のことである。鳥飼酒造の「吟香 鳥飼(ぎんこう とりかい)」は清酒にも使われる山田錦や五百万石などの酒米を使って仕込んでいるのが特徴だ。そのため米の旨味と吟醸づくりの清酒のような香りがする。華やかな香りと柔らかい味わいが特徴だ。
3. 球磨焼酎の美味しい飲み方
球磨焼酎がせっかく手に入った場合は、いろいろな飲み方で楽しみたいものである。球磨焼酎の地元での味わい方や、アレンジレシピ、相性のいいおつまみについて紹介しよう。
ガラとチョク
ガラとチョクとは、球磨焼酎用の酒器である。本来、球磨焼酎は「直燗(じきかん)」といって焼酎の入った酒器を直火にかけて温めて飲まれていた。その際使うのがガラという温めるための酒器と、チョクというお猪口のさらに小さいサイズの酒器だ。この酒器は球磨人吉地域でしか使われない、いわば球磨焼酎専用の酒器なのである。最近では薄めて飲むことが多くなった球磨焼酎だが、ガラとチョクを購入して直燗で飲んでみるのもオツなものである。
球磨焼酎カクテル「おてもやん」
球磨焼酎はカクテルベースとしても使うことができる。ここではブラジルのカクテル「カイピリーニャ」の球磨焼酎バージョン、「おてもやん」を紹介しよう。レシピは合資会社鳥越商店の公表するものを紹介する。
材料
球磨焼酎 30ml
レモン 1/6個
砂糖 ティースプーン2杯
作り方
まずレモンを乱切りにする。砂糖とレモンをグラスに入れてスプーンなどで潰しながら混ぜる。最後に球磨焼酎と氷をグラスに注ぎ入れて完成だ。
材料
球磨焼酎 30ml
レモン 1/6個
砂糖 ティースプーン2杯
作り方
まずレモンを乱切りにする。砂糖とレモンをグラスに入れてスプーンなどで潰しながら混ぜる。最後に球磨焼酎と氷をグラスに注ぎ入れて完成だ。
球磨焼酎にあうおつまみ
米の香り豊かな球磨焼酎には、美味しいおつまみを合わせたいものだ。ここでは、アサヒビール株式会社の公表するおつまみレシピ「たたきマグロのわさポンガーリック」を引用し紹介しよう。簡単にできて彩りもよく、美味しいのでぜひ作ってみてほしい。
材料(2人分)
マグロの刺身用さく(赤身) 1さく
サラダ油 大さじ1/2
ニンニク 1かけ
ねりワサビ 小さじ1/2
ポン酢 大さじ2
小口ネギ 適量
作り方
まず、フライパンにサラダオイルをひいて薄切りにしたニンニクを炒める。こんがりとしたらニンニクは取り出しておく。次に同じフライパンでマグロのさくを表面だけ焼く。マグロは食べやすい大きさに切り分けて器にもっておく。ニンニクとマグロに使用したフライパンは油を拭わずに、ポン酢を入れて煮立てる。とろりとしたら火を止めてワサビを入れ、器にもったマグロにかける。先ほどこんがりと焼いておいたニンニクとネギを散らせば完成だ。
材料(2人分)
マグロの刺身用さく(赤身) 1さく
サラダ油 大さじ1/2
ニンニク 1かけ
ねりワサビ 小さじ1/2
ポン酢 大さじ2
小口ネギ 適量
作り方
まず、フライパンにサラダオイルをひいて薄切りにしたニンニクを炒める。こんがりとしたらニンニクは取り出しておく。次に同じフライパンでマグロのさくを表面だけ焼く。マグロは食べやすい大きさに切り分けて器にもっておく。ニンニクとマグロに使用したフライパンは油を拭わずに、ポン酢を入れて煮立てる。とろりとしたら火を止めてワサビを入れ、器にもったマグロにかける。先ほどこんがりと焼いておいたニンニクとネギを散らせば完成だ。
結論
球磨焼酎は、米を主体にした名だたる銘酒だ。WTOが地理的表示を認可するなど、国際的な評価も得ている球磨焼酎は、米と球磨の地下水のみで作られている。米の旨味が引き出された焼酎であり、作り方によっても香りや味わいがさまざまに変化している。球磨焼酎は直燗やカクテルとして飲んでも美味しい。米の豊かな味わいの球磨焼酎をぜひ飲んでみよう。