1. ノチェロはクルミのリキュール

世界中さまざまな種類が存在するリキュールだが、その多くは飲む前からある程度味わいの想像がつくものである。しかしノチェロのようにクルミがベースのリキュールと聞いても、一体どのような味わいなのかピンとこない人は多いのではないだろうか。ここではノチェロの味わいや歴史、製法などについて解説する。まずは基本をしっかり押さえておきたい。
ノチェロの味わい
ノチェロの味わいの一番の特徴は、クルミの香ばしさである。リキュールにしっかりとついたクルミの芳香は、クルミのよさを余すことなく再現しており、まさにノチェロが世界最高といわれる所以なのである。また、クルミのほかにヘーゼルナッツも原料として使用されているところもポイントだ。ヘーゼルナッツの甘い芳香もノチェロの味のアクセントとなり、よりクルミの芳香を引き立てているのである。アルコール度数は24度となっているが、強いアルコール感を感じさせない味わいである。
ノチェロの歴史
ノチェロを製造するトスキ社の歴史は1945年、第二次世界大戦の終戦後にイタリア・ボローニャにある小さい町、ヴィニョーラで始まった。チェリー・リキュールなどの販売で瞬く間に人気が広まったトスキ社は、その後ヴィニョーラで豊富にとれるクルミをベースにしたリキュールの製造を開始。これがノチェロ誕生の瞬間である。ノチェロの「ノチェ」とはイタリア語でクルミを意味し、クルミは古くから幸福と繁栄の象徴と伝えられてきた。ヴィニョーラでとれるクルミを使い、ヴィニョーラで古くから伝わる伝統のレシピをもとに作られているノチェロは、ヴィニョーラの伝統を現在にも語り継ぐリキュールなのである。
ノチェロの製法
ノチェロのナッティな香ばしさの秘密は、クルミを殻ごと破砕してスピリッツに漬け込むことである。その一部は蒸留し、一部は浸出、ろ過させるという複雑であり手間のかかる工程こそ、現在でも守られる伝統製法なのだ。こうしてできあがった原酒はブドウ糖、ショ糖を混ぜ合わせた水の中に、ヘーゼルナッツの原酒とともに撹拌を続けながら加えられる。ここから2週間の熟成期間を経て、ろ過された後ボトリングされ、出荷されるのだ。
2. ノチェロはお菓子の風味づけにおすすめ

リキュールをお菓子の味のアクセントに使用するケースは一般的であるが、ノチェロの特徴であるナッティな香ばしさもまた、お菓子の風味づけにぴったりである。たとえばケーキスポンジにノチェロを軽く染み込ませれば、それだけでクルミの香り豊かな高級スイーツに早変わり。そのほかの焼き菓子とも相性がよく、ノチェロは一流パティシエからも高い支持を受けるリキュールなのだ。家庭でのお菓子作りが趣味の人は、いつものお菓子にノチェロを少量加えてみてはいかがだろうか。また、シンプルにバニラアイスクリームのトッピングとしても美味しい。いろいろと自分好みにアレンジしてみよう。
お菓子の風味づけ以外の活用法
ノチェロはお菓子の風味づけ以外にも、人気の活用法がある。それは、コーヒーの味のアクセントにノチェロを少量加えるというスタイルだ。エスプレッソやカプチーノと一緒に合わせるのが、カフェの人気メニュー。自宅で少しぜいたくな本格フレーバーコーヒーを楽しもう。
3. ノチェロの飲み方やカクテル

ノチェロはお菓子作りやコーヒーのトッピングなどとして相性がよいことを解説したが、ここではノチェロの飲み方やカクテルレシピをいくつか紹介しよう。まずは飲み方だが、ノチェロは基本的に食後酒として好まれており、ストレートやオン・ザ・ロック、水割りといった定番のスタイルでも美味しく飲むことができる。ノチェロを手にしたなら、まずはカクテルとして飲む前に、ノチェロ本来の風味をじっくりと味わってみてもらいたい。では、ノチェロのカクテルレシピを紹介する。
ノチェロ・シェーク
ノチェロ・シェークは、シンプルにノチェロを牛乳で割ったカクテルである。ノチェロのような甘く香ばしい風味は、牛乳と相性がよい。とても飲みやすく仕上がるので、お酒が得意でないという人でも安心して楽しめるだろう。
オーケンシールド
オーケンシールドは、ウイスキーベースのカクテルだ。スコッチウイスキーをベースに、ハーブリキュールとノチェロを合わせ、仕上げに塩をひとつまみ加えたら完成。ビターで香ばしい風味がスコッチウイスキーのスモーキーさと絶妙にマッチしたカクテルである。就寝前の一杯としてもおすすめしたい。
エンジェルズシェア・NO2
エンジェルズシェアとは、ウイスキーの樽熟成中に、蒸散により自然に失われた分のことを指すウイスキー用語のひとつだが、このエンジェルズシェア・NO2は火を使った幻想的なカクテルを指す。胴の大きいグラスにグリーン・シャルトリューズを注ぎ、グラス内をコーティングするように回したら、グラス内で火をつけるのだ。火をつける際、グラス内にグリーン・シャルトリューズが余っていたら、すべて捨てること。数秒間燃やしたら火を消し、そこへコニャック、ノチェロ、ポートワインを注ぎ、グラスを回して混ぜ合わせたら完成。火を使うカクテルなので作る際は十分に注意したいが、雰囲気も高級なカクテルなので、大切な日の思い出作りにいかがだろうか。
結論
これまでノチェロという名や、クルミのリキュールと聞いても、どんなものなのかイメージできなかったという人が多かっただろう。本記事ではそんな謎多きリキュール、ノチェロについてじっくりと解説した。日本ではあまり情報量も多くないリキュールではあるが、イタリアでは伝統的なリキュールとして広く人気がある。ぜひこれを機に、ノチェロを手にとって好みのスタイルで味わってみてもらいたい。