1. カクテル・トムコリンズとは

はじめにトムコリンズの基本的な部分について、解説していこう。一見すると人名をそのままカクテル名にしたような印象を受けるカクテルだが、その由来やカクテルの味わいとは一体どのようなものなのか、トムコリンズを飲む前に確認しておこう。
トムコリンズのカクテル名の由来
トムコリンズというカクテル名は、実は実在する人名からとったものではない。トムコリンズを考案したのはイギリス・ロンドンにあったホテル、「ザ・リマーズ・ホテル」のバーテンダー、ジョン・コリンズ氏という人物である。カクテルのルーツをたどると19世紀半ばまでさかのぼり、当初カクテルベースに使用していたジンはオランダ産の「ジュネヴァ・ジン」であり、カクテル名も考案者の人名からそのままとって「ジョンコリンズ」だった。その後ジンの銘柄をイギリス産の「オールド・トム・ジン」に変更、カクテル名も銘柄にちなんでトムコリンズと変更したとされている。
実はアメリカ発祥説も!?
トムコリンズは前述の通りイギリス発祥のカクテルとされているが、実はアメリカ発祥なのではという説もある。この説の始まりは、時期も同じく19世紀半ばに、アメリカ・ニューヨークを中心に、トムコリンズという名前が一気に広まったということ。実は些細ないたずらが元であり、人から人へ「トムコリンズが君の悪口を言っているよ」と伝え、架空の人物であるトムコリンズを探させる、というものだったのだが、この何でもない一言が社会現象になるほど発展したのである。日本でも都市伝説として語られる架空人物は多く存在するが、このトムコリンズもまた、現在でもアメリカで伝えられている架空人物なのである。それから間もなくしてアメリカを代表するバーテンダー、ジェリー・トーマス氏が記したカクテルブックにトムコリンズが掲載され、アメリカで人気のカクテルとなったのである。カクテルの由来ひとつにも諸説あり、推測する楽しみがあることもまた、トムコリンズが人気のカクテルである理由のひとつだろう。
トムコリンズの味わい
トムコリンズはジンベースのカクテルなので、キリッとした口当たりが特徴である。ビターな風味の後にレモンの酸味がさわやかに広がり、飲み進めても飽きのこない味わいとなっている。また、アルコール度数は12度程度となっている。
2. トムコリンズの作り方とコツ

トムコリンズはカクテルシェイカーを使って作るカクテルである。自宅にカクテルシェイカーを常備している人はあまり多くはないだろうが、この機会に揃えてみてはいかがだろうか。用意する材料も簡単に手に入るものばかりなので、ぜひ自宅でトムコリンズ作りにトライしてみよう。
トムコリンズの作り方
まず用意する材料はカクテルベースになるジン、レモンジュース、シュガーシロップ、炭酸水だ。ジンは本来のレシピであれば「オールド・トム・ジン」を使っているが、自分の好みのジンで問題ない。レモンジュースは直接レモンをしぼり入れてもOKだ。
分量とレシピは、まずジンを45ml、レモンジュースを20ml、シュガーシロップを10ml、カクテルシェイカーに加えてシェイクする。氷を入れたロングカクテルグラスに注ぎ、仕上げに炭酸水を加えたら、軽く混ぜ合わせて完成だ。清涼感あふれる味わいを楽しもう。
分量とレシピは、まずジンを45ml、レモンジュースを20ml、シュガーシロップを10ml、カクテルシェイカーに加えてシェイクする。氷を入れたロングカクテルグラスに注ぎ、仕上げに炭酸水を加えたら、軽く混ぜ合わせて完成だ。清涼感あふれる味わいを楽しもう。
美味しく作るコツ
前述のレシピ通りでももちろん美味しく飲めるが、シーンに合わせてひと工夫加えて楽しんでみよう。たとえばトムコリンズを人に振る舞う場合、仕上げにグラスのふちにレモンやチェリーを飾って、見た目にも楽しく演出してみてはいかがだろうか。もっと清涼感がほしい場合は、シェイクした材料を氷入りのロングカクテルグラスに注ぐ際、炭酸水を加える前にさらにマドラーなどで混ぜ合わせておくと、氷とよくなじんで冷たさが増すのでおすすめだ。
3. トムコリンズとジンフィズやジントニックの違い

カクテルは材料が同じでもカクテルベースが変わると名前が変わるものや、ほとんど見た目が同じでも合わせるリキュールが違うため、まったくの別物になるといったケースは珍しくない。トムコリンズにも混同しやすいカクテルがある。それがジンフィズやジントニックだ。ジンベースのカクテルは種類も多いため、すべてを覚えるのは大変ではあるが、頭で混同してしまわないよう、トムコリンズとジンフィズ、ジントニックの違いはしっかりと押さえておこう。
ジンフィズやジントニックとの違いとは
まずトムコリンズ、ジンフィズ、ジントニックの共通点は、見た目がほとんど同じであることだ。それぞれが入ったグラスを3つ並べられたら、簡単に見分けがつくものではない。実はその理由はもっとものことであり、まずトムコリンズとジンフィズは使う材料がまったく同じなのである。異なるのは分量のみなので、見た目で判断することは難しいだろう。ちなみにジンフィズ誕生のきっかけは、さかのぼること19世紀後半、アメリカ・ニューオーリンズのバーで、レモンスカッシュにジンを加えたことであるとされている。ジントニックはジンベースのカクテルの定番であり、ジンをトニックウォーターで割るだけのシンプルなカクテルだ。こちらはカクテルシェイカーを使わないレシピなので、カクテル作りに慣れていない人でも簡単に作れることが魅力である。トムコリンズを作る前に、試してみるのもよいだろう。
結論
トムコリンズというカクテルは、あまりメジャーなカクテルとしては認知されていないともいえるが、実は古くから多くの人に愛飲されている、ジンベースのカクテルを代表する種類なのである。これまでトムコリンズを飲んだことがないという人は、ぜひ本記事を機に一度じっくりと味わってみてほしい。