1. 日本酒の酸度とは?測定方法はどんな感じ?

はじめに、日本酒の酸度とは一体どのようなものなのか、酸度の測定方法も含め、基本的な部分から解説する。酸度とは日本酒用語の基礎知識なので、しっかりと押さえておきたいポイントだ。
日本酒の酸度とは
日本酒の酸度とは、乳酸、コハク酸、リンゴ酸などの有機酸の量を表した数値であり、これは冒頭でも述べた通り、日本酒の酸味や旨みを数値化したもののことを指す。ラベルへの記載義務はないが、酸度の記載があるとその日本酒を飲む前だったとしても、数値を参考にある程度の味わいを理解することができるという非常に便利な情報なのである。
アミノ酸度も覚えておきたい
酸度の記載のほかに、アミノ酸度という記載がある場合もある。アミノ酸度とは、日本酒に含まれるアミノ酸の量を示した数値であり、こちらも日本酒のコクや旨みを数値化したものとなっている。日本酒にはアルギニンやチロシン、セリンやロイシン、グルタミン酸など、約20種類のアミノ酸が含まれているのだ。
酸度の測定方法
日本酒の酸度の測定にはさまざまな方法がある。浮標が用いられたリ、アルカリ性の溶液を用いて測定されることもある。より正確に酸度を測定するために、ph測定器や自動分析機を導入している酒造メーカーもある。
2. 日本酒の酸度の基準は?平均的にはどのくらい?

日本酒の酸度についての基本的な部分を解説したが、酸度の基準とはどれくらいなのかということも、押さえておきたいポイントである。酸度の基準を知って、好みの日本酒を見つけるヒントにしてほしい。
酸度の基準とは
日本酒の酸度の基準は、記載義務がないことから決まった基準はなく、あくまでも平均値になるが、約1.3から1.6あたりとされている。日本酒の味わいを見る目安として、覚えておこう。
3. 日本酒の酸度と味わいはどんな関係?

ここでは日本酒の酸度と味わいの関係について詳しく解説していこう。酸度が日本酒の味わいを数値化したものであるとはいえ、酸度の高低による味わいの違いを理解していないと意味がない。酸度が日本酒の味わいにどのような影響を与えるのかということは、よく頭に入れておこう。
日本酒の酸度と味わいの関係
基本的に前述した酸度の基準をもとに、酸度が高くなるほど日本酒の味わいは濃厚で辛口になり、低くなるほど淡麗で甘口になる。しかし酸度だけで日本酒の辛口、甘口が決まるわけではなく、後述するアミノ酸度、日本酒度の数値も加味した上で味わいは決まるということをよく覚えておいてほしい。酸度とは日本酒の酸味や旨みを示す数値であり、日本酒のキレを表す重要な情報である。つまり、単に酸っぱさを表す数値ではないのである。
アミノ酸度は反対になる?
アミノ酸度の数値から見る日本酒の味わいの違いは酸度とは反対で、高くなるほど甘口になり、低くなるほど辛口になることが特徴だ。酸度と混同しないよう、気をつけよう。
日本酒度も味わいに深い関係がある
日本酒度とは、酸度やアミノ酸度のほかに覚えておきたい、日本酒の味わいを示す数値のことを指す。こちらの数値にはプラス、マイナスの記号が用いられ、プラスになるほど辛口、マイナスになるほど甘口とされる。これは水の比重を0としたときのお酒の比重を数値化したものであり、糖分量などのエキス分が少ないほどプラスになり、多いほどマイナスになる。日本酒度もまた日本酒用語の基礎知識、こちらも含めて覚えておこう。
4. 日本酒の酸度が高い・低いおすすめの銘柄は?

最後に、酸度の高い日本酒、低い日本酒それぞれのおすすめの銘柄をいくつか紹介しよう。これから酸度を意識して日本酒を選びたいという人は、ぜひ参考にしてもらいたい。
酸度が高い日本酒のおすすめの銘柄
大関「極上の甘口」
大関の「極上の甘口」は、数多くある大関のブランドの中でも最も甘口の日本酒とされている。酸度は2.3、日本酒度は-50.0となっている。ただ甘いだけでなく、酸味と甘みのバランスがとれた味わいは、まるで柑橘系のフルーツジュースのようであるともいわれ、デザート感覚でも楽しめる日本酒である。アルコール度数も10度と低いため、お酒が得意でない人や女性にとっても飲みやすい種類といえるだろう。コストパフォーマンスのよさも特徴だ。
越後鶴亀「ワイン酵母仕込み 純米吟醸」
越後鶴亀の「ワイン酵母仕込み 純米吟醸」は、清酒酵母ではなく、ワイン酵母を使って造られている珍しい日本酒である。酸度は4.0、日本酒度は-32.0となっている。しっかりとした甘みとさわやかな酸味があり、華やかな吟醸香もほのかに感じられる味わいが特徴だ。ぜひワイングラスで楽しみたい日本酒である。
酸度が低い日本酒のおすすめの銘柄
八海醸造「八海山 純米吟醸」
八海醸造の「八海山 純米吟醸」は、米の旨みをしっかりと感じられる辛口の日本酒である。酸度は1.2、日本酒度は+4.0となっている。辛口とはいえのどごしはまろやかで、軽いタイプの味わいなので、これから辛口の日本酒を飲むという人にもおすすめしたい日本酒だ。
朝日酒造「久保田 萬寿 純米大吟醸」
朝日酒造の「久保田 萬寿 純米大吟醸」は、日本酒の定番として知られる銘柄、久保田の中でも最高峰の種類の日本酒でぜひ一度飲んでもらいたい逸品である。やわらかい口当たりとバランスのとれた旨みが特徴の、中辛口の味わいだ。酸度は1.2、日本酒度は+2.0となっている。
結論
日本酒の酸度という言葉はそれとなく知っていても、実際にはどのような意味があるのか知らなかったという人もいるだろう。これから日本酒を選ぶ際は、ぜひラベルにも注目してもらいたい。すべての日本酒に記載があるわけではないが、酸度の記載がある場合、ある程度の味わいのイメージができるはずだ。本記事を参考に、お気に入りの酸度の日本酒を見つけてほしい。