目次
1. リキュールとは?味わいや香り・度数などの基本的な特徴を解説

まずリキュールの定義などについて紹介しよう。
リキュールとは?
リキュールはいわゆる「混成酒」のひとつである。たとえばサントリーホールディングス株式会社の定義では、蒸留酒にフルーツやハーブなどの香味をうつし、甘味料を加えたお酒がリキュールだ。ベルモットやサングリアなどのワインにほかの材料を入れたものや、ワインにブランデーなどを混ぜて作ったシェリー酒といった酒精強化ワインはリキュールではない。ビールベースのものも同じくリキュールという種類には含まれないので注意しよう。
新ジャンル(第3のビール)はリキュールなのか?
新ジャンル・第3のビールと呼ばれる飲料がある。日本では第3のビールのうち、発泡酒とスピリッツを混ぜた種類のものはリキュールとして扱われる。一方、リキュールの本場であるヨーロッパでは糖分が1Lあたり100g以上含まれているものがリキュールと定義されている。またフランスでは度数が15%以上のものとかなり限定されている。基本的には度数が15%程度あるいはそれ以上と高く、甘味料が加えられた香りや味付きのお酒がリキュールだ。
リキュールの歴史
リキュールはもともと薬酒として服用されていた。当時はハーブなどを蒸留酒に浸して薬酒を作っていたようである。しかしそのままであればアルコール度数が高く非常に飲みにくい。そこでバラの香りをつけるなどして飲みやすく改良していった。大航海時代には使う材料も増え、種類が豊富になっていったようだ。
2. リキュールにはどんな種類がある?一覧にしてご紹介

リキュールにはさまざまな商品があるが、およそ原材料で分類できる。そこでリキュールの種類を4つに分けて紹介しよう。
ハーブ・薬草系
いわゆる初期の薬酒として飲まれていたリキュールがこちらに当たる。有名なものはアブサンやカンパリなどで、独特な味わいや苦味のあるものが多い。また蒸留酒に漬け込む材料もアニスや甘草、コリアンダーといったハーブが多くみられる。かなり度数が高いものが多く、種類も豊富である。
果実系
いわゆるクレーム・ド・カシスやキュラソーなどのお酒が分類されるのがこちら。現代では最も種類が多いといわれるほどで、材料もライチやパインアップル、カシス、オレンジなどさまざま。コアントローやグラン・マルニエなど、お菓子作りにも使われるリキュールもある。
ナッツ系
コーヒーなど、種子やナッツの要素で作られたリキュールがナッツ系リキュールだ。モーツァルトというカカオリキュールやカルーアミルクに使うカルーアが有名である。またあんずの果実ではなくあんずの種子でできたアマレットなどもナッツ系リキュールに含まれる。こちらもお菓子づくりにも使われるリキュールだ。
その他
卵や生クリーム、ヨーグルトで作られるなど、上記3つの種類に当てはまらないリキュールが分類される。特に生クリームでできたベイリーズは女性からの人気が高い。ほかにもエッグリキュールであるアドヴォカートは卵黄からできており、卵酒の味わいが特徴だ。
3. リキュールの種類の中には自宅で簡単に作れるものもある?作り方をご紹介

リキュールは蒸留酒にさまざまな種類の原材料を混ぜたもの、ということは家でも作ることができるのである。ただこれに関しては、酒税法の観点からも、あくまでルールを守って自宅でのみ楽しもう。(※)ここでは簡単に作ることのできる、3つのリキュールを紹介しよう。
リモンチェッロ
種類豊富な果実系リキュールでも比較的作りやすいのがレモンを漬け込んだリモンチェッロ。イタリア発祥とされており、イタリアでは店で販売される以外に家でも漬けられているため作ってみよう。レシピは三越伊勢丹の公表するものを引用にした。
レシピ
1 レモン5〜6個をよく洗い、皮の黄色い部分だけを剥く。
2 密閉容器にスピリタス(96度程度のウォッカ)と1をいれ、10日ほど漬け込む。レモンの皮の色が抜けるのが目安。
3 グラニュー糖600g〜700gを水1Lとともに鍋に入れ、沸騰させてシロップを作る。
4 濾した2を3のシロップと合わせて瓶にいれ、1週間ほど置く。
5 冷蔵庫で冷やして保存する。
レシピ
1 レモン5〜6個をよく洗い、皮の黄色い部分だけを剥く。
2 密閉容器にスピリタス(96度程度のウォッカ)と1をいれ、10日ほど漬け込む。レモンの皮の色が抜けるのが目安。
3 グラニュー糖600g〜700gを水1Lとともに鍋に入れ、沸騰させてシロップを作る。
4 濾した2を3のシロップと合わせて瓶にいれ、1週間ほど置く。
5 冷蔵庫で冷やして保存する。
カシスリキュール
果実酒はホワイトリカーがあればさまざまな種類ができるのも嬉しいところ。その中でもカクテルにも使われやすいカシスリキュールを自作してみよう。今回のレシピは日本蒸留酒酒造組合のものを引用する。
材料
冷凍カシス(すぐりの実) 500g〜600g
氷砂糖 100〜150g
ホワイトリカー 1.8L
作り方
1 カシスは洗って水気を切り、氷砂糖とともにホワイトリカーで漬ける。
2 漬けてから2ヶ月後に果実だけ引き上げ、リキュールは熟成させる。
3 3ヶ月以上熟成させ、まろやかにする。
材料
冷凍カシス(すぐりの実) 500g〜600g
氷砂糖 100〜150g
ホワイトリカー 1.8L
作り方
1 カシスは洗って水気を切り、氷砂糖とともにホワイトリカーで漬ける。
2 漬けてから2ヶ月後に果実だけ引き上げ、リキュールは熟成させる。
3 3ヶ月以上熟成させ、まろやかにする。
チョコレートリキュール
チョコレートリキュールも自作が可能だ。チョコレート自体にホワイトやビター、ブラック、ミルクなどの種類があるので、さまざまなチョコレートリキュールを作っても面白いだろう。レシピは株式会社PLANの公表するものを紹介する。
レシピ
1 板チョコレートを100gほど用意し、適当な大きさに割る。
2 1のチョコレートとバニラエッセンス適量、ホワイトリカー900mlを密閉できる容器に入れる。
3 2週間ほど漬け込み、チョコレートが溶けたら完成。
レシピ
1 板チョコレートを100gほど用意し、適当な大きさに割る。
2 1のチョコレートとバニラエッセンス適量、ホワイトリカー900mlを密閉できる容器に入れる。
3 2週間ほど漬け込み、チョコレートが溶けたら完成。
4. リキュールのおすすめの飲み方は?種類と合わせて解説

リキュールは種類もさることながら、楽しみ方も豊富。飲み方をいくつか紹介しよう。
ハーブ・薬草系リキュールの飲み方
アブサンやシャルトリューズなどの薬草系・ハーブ系リキュールはさまざまな種類のハーブを漬け込んでおり好き嫌いが分かれる味わいの酒だ。そのためシャルトリューズは角砂糖の上に垂らして食べる方法がある。アブサンは専用スプーンの上に角砂糖を置き、その上に少しずつ垂らして飲む方法がある。このように少しずつ味わうのが薬草系リキュールの味わい方だ。
果実系リキュールの飲み方
リモンチェッロはストレートで飲むのが一般的なリキュールだが、そのほかの種類の果実系リキュールはカクテルにする方法やソーダ割りにする方法がある。またお茶割りなどでも十分に楽しむことができる。
ナッツ系リキュールの飲み方
チョコレートリキュールやコーヒーリキュールなどは温めても冷たいままでも美味しいリキュールだ。特に牛乳との相性がよいが、コーヒーリキュールはソーダ割りなども美味しい。
その他のリキュールの飲み方
ヨーグルト系リキュールはそのまま飲んでも美味しいが、トロピカルフルーツと合わせてカクテルにする飲み方もある。もちろん水割りやカクテルでもよい。
5. リキュールのおすすめ銘柄は?種類と合わせてご紹介

最後に、各種類のリキュールの中でも汎用性が高くおすすめできるものを紹介する。
ハーブ・薬草系リキュール
薬草系リキュールでも、使いやすいのがミントリキュールだ。さまざまな種類のカクテルを作ることができる上、チョコミントなどのお菓子にも使うことができる。ミントリキュールを使ったカクテルの中でも有名なものは、カカオリキュールや生クリームとともに混ぜた「グラスホッパー」というお酒。また、パジェス「アイスミント」やバカルディ「ペパーミントジェット」なども代表的な銘柄だ。
果実系リキュール
果実系リキュールの中でもかなり汎用性の高いリキュールはクレーム・ド・カシスだろう。これは商品名ではなくいわゆるカシスリキュールの中のひとつの種類である。カシス・オレンジだけでなく、赤ワインと混ぜてカーディナルにするなどアレンジの幅が広い。ドメーヌ ジャン・フィリップ・マルシャン「クレーム・ド・カシス・ド・ブルゴーニュ」やフィリップ・ド・ブルゴーニュ「クレーム・ド・カシス」などが代表的な銘柄である。
ナッツ系リキュール
ウォッカと混ぜた「ゴッド・マザー」やウイスキーと混ぜた「ゴッド・ファーザー」というカクテルに使われるアマレットリキュールはあんずの種子のリキュールである。こちらもかなり飲み方の種類が豊富で、簡単に飲む場合はアマレットジンジャーなどのカクテルもある。ディサローノ「ディサローノアマレット」が有名である。
その他のリキュール
簡単にカクテルを作ることもでき、しかもソーダ割りなどにも使いやすいものであればヨーグルトリキュールがおすすめだ。オランダ産のヨーグルトリキュール、サントリー「ヨーグリート」などが有名だ。マンゴーのリキュールと合わせて「マンゴヤンラッシー」などのカクテルにもなる。ほかにもソフトドリンクと気軽に合わせて楽しめるためおすすめなのである。
結論
リキュールにはさまざまな種類がある。ここで紹介したのはほんの一部で、まだまだ世界には沢山のリキュールがあるのだ。日本独自の素材を使ったリキュールなどもあるので、自分の好みに合ったリキュールを探すのも面白いだろう。さまざまな種類のリキュールを知って、もっとお酒を楽しんでみよう。
※:国税庁「お酒に関するQ&A【自家醸造】」https://www.nta.go.jp/taxes/sake/qa/06/32.htm