- 1. ホワイトリカーとは
- 2. 度数「35度」のホワイトリカーが多い理由
- 3. ホワイトリカーで梅酒を作る方法と度数などの注意点
- 4. 梅酒作りの際、ホワイトリカーの代わりになる度数が高めのお酒は?
- 5. ホワイトリカーの度数で「消毒」はできる?
- 甲類焼酎:連続式蒸留で作られる、糖蜜などが原料の無味無臭の焼酎
- 乙類焼酎:単式蒸留で作られる、米・麦・芋などが原料の風味豊かな焼酎
- 本格焼酎:水以外使わないなどこだわりの製法で作られた乙類焼酎の一種
- 青梅:1kg
- 氷砂糖:200〜500g
- ホワイトリカー(35度):1800ml
- 清潔な乾いた密閉瓶:ホワイトリカーの倍の容量のもの
- 瓶を煮沸消毒し水気を完全に切っておく
- 青梅を水で洗い水気をよく切り、竹串などでヘタをとっておく
- 青梅と氷砂糖を交互に、それぞれ3層ずつになるように瓶に入れていく
- ホワイトリカーを注ぎ入れる
- しっかりふたをして冷暗所で保管する
- 琥珀色に変化してきたら飲み頃(一般的には3カ月以降)
- ※1:【自家醸造】|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/qa/06/32.htm - ※2:新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html
1. ホワイトリカーとは
ホワイトリカーとはどういったお酒のことなのか、焼酎の種類と特徴も交えながら解説していこう。
日本でホワイトリカーといえば「甲類焼酎」のこと
ホワイトリカーは、日本では甲類焼酎を指すのが一般的である。
【甲類焼酎・乙類焼酎・本格焼酎の違いは?】
ざっくりと違いを説明すると、このように分けられる。広くいうと、ホワイトリカーには一部ウォッカおよびテキーラなども含まれるが、日本では甲類焼酎のことと思っておこう。
果実酒やチューハイなどによく使われる
ホワイトリカーは無味無臭かつクセもほとんどないことから、梅酒を始めとする果実酒やチューハイなどに使用されることが多い。
2. 度数「35度」のホワイトリカーが多い理由
ホワイトリカーは度数35度のものが多い(すべてではない)。その理由として次のようなことが挙げられる。
ホワイトリカーの多くが度数35度である理由
甲類焼酎は法律上「36度未満の連続式蒸留された焼酎」と定義されている。果実酒やチューハイなどさまざまなお酒に使われるホワイトリカーだが、そのいずれの用途でも度数が高いほうが果実エキスの抽出やコスパといった点で優れている。そのため、上限ギリギリの35度というホワイトリカーが多いといわれている。
度数が高いホワイトリカーは果実酒作りなどに適している
ホワイトリカーの度数は高めだが、それにより「果実酒を作る際に果物を腐りにくくする効果」および「発酵を防ぐ効果」などが得られる。果実酒を漬ける際のお酒は、発酵を防ぐため度数20度以上のものを使うことが法律で定められている。酵母は度数20度以上で死滅するため、度数35度のホワイトリカーはまさにぴったりというわけだ。
ホワイトリカーとウォッカの度数の違いは?
余談だがウォッカの度数についても少し触れておこう。ホワイトリカーと同じくクリアなお酒としてウォッカが挙げられる。ウォッカは度数40度程度のものが多いが、中には37.5度と、ホワイトリカーとほとんど変わらないものもある。
度数が高いことで知られるスピリタスは96度だが、ほとんどのウォッカはホワイトリカーと同程度の度数である。言い方を変えれば、ホワイトリカーの度数はウォッカ並みに高めであるということだ。
3. ホワイトリカーで梅酒を作る方法と度数などの注意点
ホワイトリカーといえば梅酒である。ご家庭で梅酒を作る方法や注意点を解説する。
ホワイトリカーで梅酒を作る方法
【材料】
【梅酒の作り方】
ホワイトリカーで梅酒を作るときのポイント
ホワイトリカーはできれば35度のものを使おう。上述したように、度数が高いほうが防腐作用だけでなく果実のエキス抽出においてもより効果的だからだ。氷砂糖など純度の高い糖を使うのも、美味しく作るためのポイントなので覚えておこう。
ホワイトリカーで梅酒を作るときの注意点
ホワイトリカーで梅酒を作る際、必ず守るべきポイントが「度数20度以上のお酒を使うこと」「米や麦、ぶどうなどは漬けないこと」「販売してはいけない(自家消費する)こと」だ。これらは酒税法(※1)で定められている。法律違反にならないように気をつけよう。またカビなどを防ぐため、衛生面の正しい知識も求められる。くれぐれも不十分な知識のまま作ることだけは避けてほしい。
4. 梅酒作りの際、ホワイトリカーの代わりになる度数が高めのお酒は?
「ホワイトリカーが手に入らない」ということは考えにくいが、仮にホワイトリカー以外のお酒で梅酒を作りたいとなったとき、どういったお酒が向いているのだろうか。
ブランデー
果実酒用にブランデーを混ぜたリキュールも販売されている。合同酒精株式会社の「おいしい果実酒つくりましょう ブランデーベースリキュール」は、度数35度だがホワイトリカーではなくリキュールに分類される。ブランデー特有の豊かな香りと味わいを持つ梅酒に仕上がるだろう。
ウイスキー
たとえば、度数37度というアサヒビール株式会社の「ブラックニッカ」で梅酒を作る方法もある。ウイスキー特有の風味があるが、こちらも十分のホワイトリカーの代わりになる。
日本酒
蒸留酒ではなく日本酒(醸造酒)で梅酒を作ることも可能だ。たとえば苗場酒造の「梅酒用日本酒」は20度と、日本酒にしては高めの度数で果実酒に使うのにも向いている。ホワイトリカーよりは度数が低いが、米の甘さは梅との相性もよい。
5. ホワイトリカーの度数で「消毒」はできる?
ガラッと話が変わるが、ホワイトリカーは35度など度数が高めのものが多いことから、消毒に使えるのではないかと考える方もいるかもしれない。たしかにホワイトリカーの度数は意外と高めなものが多いが、そのままでは消毒に使用できない。
度数を高めなけれな消毒効果は得られない
ホワイトリカーは、そのままであれば36度未満である。消毒にはより高い度数が必要になるため、ホワイトリカーをそのまま使っても消毒効果は期待できない。
電机本舗がホワイトリカーで消毒する方法を公開して話題に
新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、市販のアルコール消毒液(消毒用エタノール)が一時期入手困難となった。そんな折、ホワイトリカーを原料にアルコール消毒液を作る方法を公開したのが有限会社電机本舗(でんきほんぽ)だ。
【ホワイトリカーでアルコール消毒液を作る方法】
ビニルチューブと空き缶、グラスと耐熱容器を準備する。空き缶にホワイトリカーを注ぎ、お湯とともに耐熱容器に入れて湯煎する。ビニルチューブを水で冷やしつつチューブの先から出てきた水滴を集めれば、ホワイトリカーを原料としたアルコール消毒液が完成する。簡易的な蒸留装置を作り、アルコール度数を高めるというわけだ。
消毒に使えるホワイトリカー以外の飲用アルコールとは?
ホワイトリカーをわざわざ蒸溜するのが面倒であれば、酒造メーカーが作る飲用可能な高濃度アルコールを使うといった方法もある。たとえば明利酒類「メイリの65%」、菊水酒造「アルコール77」といったものだ。
細菌やウイルスに効果的とされているのが度数60度台〜95度以下(※2)とされているため、これらの飲用アルコールであればそのまま代用できる。
ただし、アルコール消毒液や消毒用エタノールは入手できる
2021年12月現在、アルコール消毒液や消毒用エタノールは、ドラッグストアやホームセンター、ネット通販などでも手に入りやすくなった。加えて上述した飲用アルコールのメーカーも、消毒に使用することを推奨しているわけではない。
上記はあくまで「そういった方法もある」といった豆知識程度に留めておいていただき、実際にはきちんとした消毒用の商品を使っていただきたい。
ちなみに「度数が高すぎるお酒」も消毒には向かない
度数96度といったスピリタスは、より高濃度のため細菌やウイルスに効果的なのではないかと思うかもしれない。だが細菌やウイルスに作用する前に揮発してしまうため、むしろ効果が期待できない。厚生労働省が推奨している「濃度70〜95度(60度台でも一定効果が期待できる)」のものを使用するとよいだろう。
同じ理由で「無水エタノール(99.5度)」「エタノール(95.1〜96.9度)」も消毒に使う場合は水で希釈する必要がある。ちなみに無水エタノールが100%でないのは、空気中の水分を吸収しやすい(=即、薄まる)ためである。
結論
ホワイトリカーは連続式蒸留で作られる、糖蜜などを原料とした無味無臭かつクセの少ない「甲類焼酎」である。度数35度の商品が多い理由は、コスパに優れているだけでなく、再発酵や腐敗を防ぐ、果実のエキスを十分抽出するといった効果もあるためだ。ぜひこれを機に、ホワイトリカーについての知識を深めてみてはいかがだろうか?
(参考文献)