1. 樽酒とは?味わいや香りなどの基本的な特徴を解説

はじめに、樽酒についての基本的な特徴を解説する。一般的な日本酒との味の違いや、鏡開きの由来、また樽のサイズについても触れていこう。
樽酒の味わいや香り
樽酒の一番の特徴とは、日本酒についた芳醇な樽の香りである。樽の木材には主にスギやヒノキが使用されており、あまり樽の香りが強く主張しないよう、平均的に2日から14日程度、樽で貯蔵してできあがる。樽で寝かせたことによって生まれるまろやかな口当たりと、日本酒の華やかな香りに樽の香りが加わった、鼻に抜ける心地よい清々しさは樽酒ならではのものである。
樽酒の鏡開きの由来
樽酒といえば、上蓋を木槌で豪快に叩き割る「鏡開き」をイメージする人は多いだろう。この鏡開きという儀式についての由来も知っておきたいポイントである。鏡開きの鏡とは「円満」を意味し、また開くとは「末広がり」を意味している。元は鏡開きとは新年の行事始めの儀式のひとつであり、正月にお供えした鏡餅を下げて、正月明けの11日にそれを割って食べることで、一年の健康と発展を祈願するという習慣が始まりとなっている。古くから酒屋では樽酒の上蓋を鏡と呼んでおり、「蓋を開ける」ことを「鏡を開く」とかけて、樽酒を開く儀式も鏡開きと呼ばれるようになったという。このことから、樽酒は古くから縁起物として重宝されているのだ。
樽酒の容量やサイズ
樽酒にはさまざまなサイズがあることも覚えておこう。一般的な樽は、18リットル入りの一斗樽、30リットル入りの二斗樽、72リットル入りの四斗樽がある。一斗樽のサイズは縦、横、高さがそれぞれ約40cm、二斗樽は約50cm、四斗樽になると約65cmとなる。樽酒とは、一斗樽の大きさでも100人以上の人数で楽しめるほどの大容量なのである。
2. 樽酒のおすすめの飲み方は?

ここでは、樽酒のおすすめの飲み方について解説する。いろいろな飲み方を知り、自分好みの飲み方で樽酒を味わおう。加えて、樽酒の賞味期限についても触れていく。
樽酒の飲み方
樽酒の飲み方にはさまざまなバリエーションがある。常温でじっくりと味わうのはもちろん、キリッと冷やして引き締まったのどごしを楽しんだり、ぬる燗で立ち上る芳醇な香りを感じるもよし。自分の好みの飲み方で楽しんでみよう。
樽酒に賞味期限はある?
一般的に日本酒には賞味期限というものは設定されていないが、美味しく飲める期間というものはある。樽酒の場合、瓶詰めされたものであれば未開封の状態で8ヵ月から1年程度美味しく飲むことができるが、木樽に入ったものであれば、未開封であっても数週間以内には飲み切ってしまいたい。その理由は、日が経つほどに樽の香りが日本酒に強く移ってしまい、風味が大きく変わってしまうからである。瓶詰めされたものと木樽に入ったものでは保存期間が変わることを、しっかりと覚えておこう。
3. 樽酒は自分でも作れる?具体的な作り方をご紹介

蓋を開いたばかりの樽酒を飲みたいと思っても、なかなか自宅で樽酒を開けることは難しいものである。そこで、ここでは自宅でも樽酒の味わいを楽しめる方法をいくつか紹介しよう。
桝に注いで本格的な味わいに
普段日本酒をグラスに注いで飲んでいる人は、桝に注いで飲んでみることをおすすめしたい。スギやヒノキからできた桝で日本酒を飲むことで、木の風味も加わるので、樽酒に近い味わいを楽しめるだろう。
樽酒スティックとは
日本酒に木の香りをつけるための、樽酒スティックなる商品をご存じだろうか。樽酒を手軽に味わいたいという人はぜひ購入してみよう。日本酒にスティックを漬けておくだけで、樽酒のようなしっかりとした風味がつくという優れものだ。ホワイトオークのスティックなど、洋酒向きの商品も多数販売されているので、興味がある人は調べてみよう。
4. 樽酒はお祝いで喜ばれる?おすすめ銘柄をご紹介

樽酒とは、日本では古くからお祝いごとに用いられる縁起物であり、もちろん贈り物としても高い人気を誇っている。しかし行事など、大人数が集まる場所以外で木樽入りの樽酒を贈ってしまってはあまりに量が多すぎる。ここでは瓶詰めの樽酒にしぼって、贈り物にも喜ばれるおすすめの銘柄をいくつか紹介しよう。
菊正宗「純米樽酒」
菊正宗の「純米樽酒」は、樽酒のために醸造した純米酒を吉野杉の木樽で貯蔵し、最も香りのよい飲み頃で瓶詰めした樽酒である。余韻のある旨みとさわやかな樽の香り、キレのあるのどごしが特徴だ。300ml、720ml、1800mlの一升瓶と、さまざまなサイズで販売されている。価格は一升瓶で約2,300円となっている。
沢の鶴「純米樽酒」
沢の鶴の「純米樽酒」は、お祝いごとだけでなく、普段の日でも気軽に楽しめる樽酒として誕生した樽酒である。心地よい樽の香りと、やわらかな口当たりが特徴で、初めて樽酒を飲むという人にもおすすめしたい。180mlという小瓶で販売されているので、お試し感覚で購入できるのも人気のポイントだ。価格は180mlで約300円となっている。
長龍酒造「吉野杉の樽酒」
長龍酒造の「吉野杉の樽酒」は、樽の木材に樹齢約80年の吉野杉だけを使用したぜいたくな樽酒であり、樽酒の極みとも称される逸品である。販売されているサイズは300ml、720ml、1800mlの一升瓶があり、菊正宗の「純米樽酒」と同じく、さまざまなサイズから選ぶことができる。価格は一升瓶で約2,400円となっている。
結論
樽酒はお祝いごとでの定番のお酒である。木樽に入ったものはなかなか気軽には楽しめないものの、瓶詰めの樽酒もあったり、日本酒を樽酒風にアレンジすることもできるなど、自宅でも十分楽しめるお酒なのである。一般的な日本酒とは違った樽酒ならではの味わいを、ぜひ楽しんでみよう。