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日本酒の【酒母】とは?日本酒用語の基礎をじっくりと理解しよう

日本酒の【酒母】とは?日本酒用語の基礎をじっくりと理解しよう

投稿者:ライター 森本泰斗(もりもとたいと)

監修者:管理栄養士 水島知美(みずしまともみ)

2021年2月16日

日本酒は米を主原料にして造られることはわかっていても、そのほかの材料についてはよく知らないという人も少なくないだろう。本記事で紹介する酒母とは、日本酒造りにおいて重要な役割を担うものだ。酒母についての基本的な解説をはじめ、酵母との違い、また酒母の造り方などについて詳しく解説していこう。

  
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1. 酒母とは?読み方や役割など基本的な特徴を解説

はじめに、酒母についての基本的な特徴から解説する。酒母とは一体どのようなもので、どのような役割を持つのかということを理解しておこう。

まずは読み方と意味を確認

酒母の役割を解説する前に、酒母の読み方や意味を理解しておくは前提である。まず読み方だが、「酒母」と書いて「しゅぼ」と読む。「酒の母」という文字通り、日本酒造りには欠かせない、いわば日本酒の源となるものである。また酒母は、古くは「酛(もと)」とも呼ばれ、こちらの漢字もへんとつくりに分けて考えると「酒の元」を意味しており、酒母と酛はどちらも共通する意味を持つことがわかる。

酒母の役割

酒母とは、アルコールの発酵を促すための酵母を大量に培養したものを指す。つまり酒母の大きな役割とは、糖を分解してアルコールに変えることである。しかしそれだけでなく、含まれる酸の量や種類によっても日本酒の味わいが変わるように、酒母は日本酒の品質や個性にも大きな影響を与えることも覚えておきたい。

2種類の酒母

酒母は雑菌や微生物から身を守るため、環境を常に酸性に保っておく必要がある。そこで用いられるのが乳酸菌だが、この乳酸菌をどのようにして添加させるかというところで、酒母の種類は2つに分けられる。まずひとつが、自然界に存在する乳酸菌を取り込んで育てる「生酛系酒母」だ。こちらは江戸時代より続く酒母造りの伝統製法で、非常に手間がかかるため酒母の完成まで約1ヵ月を要する。もうひとつが、人工的に乳酸菌を添加する「速醸系酒母」だ。こちらは明治時代以降に確立された酒母造りの新製法で、約2週間で酒母を完成させることが可能である。効率がよく日本酒の品質も安定しやすいため、現在はこの速醸系酒母を用いる蔵元が大部分を占めている。

2. 酒母と酵母の違いは?その他の造り方との違いも解説

酒母と酵母は字も似ているため、たびたび混同されやすいものである。それぞれの違いはしっかりと押さえておこう。また、ほかに酒母と間違われやすい、もろみとの違いについても解説する。

酒母と酵母の違い

酒母の定義を見ると、「日本酒を造るために培養された優良な酵母」とある。つまり、酒母とは酵母が大量に集まったものなのである。では酵母とは一体どのようなものなのかというと、酵母は微生物の一種であり、アルコールの発酵を促し、生成する役割を持つ。酵母は日本酒造りだけでなく、ビールやワインなど酒類の製造で活躍するほか、醤油や味噌など、食品の製造にも用いられる。パン作りで使用するイースト菌もまた、酵母の仲間である。つまり、酵母とは日常生活でも身近な存在なのである。

酒母ともろみの違い

酒母ともろみも混同されやすいので、それぞれの違いは覚えておきたい。もろみとは日本酒の完成間近の段階のものを指し、蒸米、米麹、酒母、仕込み水を加え、これらを発酵させて造ったものである。発酵を終えたもろみをこすことで、日本酒と酒粕に分けられるのだ。つまり酒母とは、「日本酒のもとになるもろみのベースになるもの」と覚えておけばよい。

3. 酒母の造り方を知ろう

日本酒造りの工程を表す言葉として、「一麹、二酛、三造り」というものがあるが、それぞれ紐解いていくと、まず「一麹」で麹菌を培養、次の「二酛」で酵母を大量に培養、最後の「三造り」でもろみを造るという意味がある。この中の「酛」こそ酒母造りを指すのだ。酒母造りは日本酒造りにおいて重要な工程、日本酒造りの基本として、本項で酒母の造り方を理解しておこう。

酒母の造り方

酒母造りは、700リットル程度の小型のタンクを用いて、蒸米と米麹、仕込み水、酵母、そして乳酸を加えて行われる。主に櫂棒を使って、タンク内の材料が均一になるように数名でテンポよくかき混ぜていく作業は、蔵人同士のチームワークも重要だという。日々の温度管理や衛生管理を慎重に行いながら、約2週間から1ヵ月の期間で酒母はできあがる。

4. 酒母造りのおすすめの日本酒は?

本記事では酒母についてじっくりと解説してきたが、最後に紹介するのは酒母の段階でしぼり、商品化させたという珍しい日本酒だ。こう聞くだけではどのような味わいなのか予想できないだろうが、新感覚の味わいの日本酒として注目を浴びている銘柄である。味わいの異なる2種類を紹介しよう。

玉旭酒造「玉旭 MOTHER 純米原酒 酒母しぼり」

玉旭酒造は、1808年創業の老舗の蔵元である。富山県富山市八尾町に本社を置く。代表する銘柄は「おわら娘」で、淡麗辛口の味わいで人気がある。本項で紹介する「酒母しぼり」シリーズは、低アルコールの酒母の段階でしぼって造られているため、まるで甘口のワインのような味わいがあることが特徴だ。「玉旭 MOTHER 純米原酒 酒母しぼり」は、無農薬で丁寧に栽培した、富山市八尾町桐谷産の雄山錦を原料米に使用しており、心地よい甘い酸味を感じる味わいが特徴だ。洋食と合わせたり、デザートワイン感覚でも楽しめる。

玉旭酒造「玉旭 ECHOES 純米生原酒 酒母しぼり」

「玉旭 ECHOES 純米生原酒 酒母しぼり」は、富山県の県花であるチューリップの花粉を用いた新酵母、チューリップ酵母を使用した華やかな甘みが特徴だ。こちらも「玉旭 MOTHER 純米原酒 酒母しぼり」と同じく洋食と相性がよく、デザートとしてもおすすめだ。

本項で紹介した2つは、どちらも「マザー」、「エコーズ」と名前に横文字が使われているが、これは玉旭酒造で杜氏を務める嶋光国氏が、大のプログレッシブ・ロックファンであることから、それぞれイギリスのロックレジェンド、ピンク・フロイドの楽曲からとって名づけられたという。

結論

日本酒造りにおいて、酒母がいかに重要な役割のものなのかということを、わかってもらえただろう。酒母なくしては、日本酒は完成しないのである。蔵元それぞれで酒母の個性は異なるので、今後は酒母に着目して日本酒を選んでみるのもいいだろう。日本酒の楽しみ方の新たな形として、酒母についても理解しておいてほしい。
  • 更新日:

    2021年2月16日

  

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