1. 一週間のお酒の適量とは

お酒を飲むと際限なく飲んでしまうという人はいるだろうか。しかし、お酒は基本的には「嗜好品」だ。健康を害わず、美味しく楽しい量で留めるのが必要である。まずはお酒の適量について解説しよう。
休肝日は1週間に最低1回
お酒を飲まずに肝臓を休める「休肝日」は、1週間に1日から2日設けた方がいいとされている。とくに適正アルコール量を超えて飲む場合は、最低限2日の休肝日を設けよう。1日の適正アルコール量は、アルコールだけで考える場合20gから25gほど。それぞれの具体的なお酒の適量は日本酒であれば1合程度。ほかのお酒で換算すると、チューハイ1本分やビールの中瓶1本、ウイスキーであれば60ml程度だ。この量を飲む場合でもときどき休肝日を設ける方がよいだろう。
休肝日の目安
お酒を飲む際、先ほどの1日の目安のお酒量を1単位として、1週間で10単位から5単位以内におさめるようにしよう。たとえば毎日日本酒を2合飲む場合は最低限2日間の休肝日を設けよう。ほかのお酒も含めて4単位程度1日に摂取した場合は、残りの6日間毎日1単位飲むのではなく休肝日を2日程度取ったうえで飲むなど、工夫も必要だ。お酒の1週間の適量をもとに、飲酒のスケジュールを考えてみよう。
お酒を飲みすぎるとどうなるのか
日々適量以上のお酒を飲んでいると、体調はどんな変化をするのだろうか。まず、適正量の2倍の飲酒を20年以上続けていると肝臓の機能が低下していくことが判明している。肝機能の低下だけでなく、膵臓に炎症が起きたり胃壁が荒れることもあるのでなるべくお酒はほどほどに控えよう。
2. 適量のお酒は健康に効果がある?

お酒は適量であれば健康にいいといわれているが、実際はどうなのだろうか。お酒と健康の関係について紹介しよう。
お酒を飲む方が健康にいい?
お酒は適量を飲むと、お酒を一切飲まない人よりも健康だという話を聞いたことはあるだろうか。実は飲酒量と高血圧や脂質異常症、脳出血のリスクは正比例に近しく、肝硬変のリスクも二次関数的に増加する。しかし虚血性心疾患や脳梗塞、2型糖尿病はある程度の飲酒量によって一滴も飲まない人よりもリスクが低くなる。そのためお酒を適量飲んだほうが健康的だといわれているのである。また、死亡率と飲酒の関係性でも、禁酒者よりもある程度飲酒している人の方が死亡率が低いという研究結果もある。しかし、前述した通り飲酒量と高血圧や脳出血のリスクは正比例している。少なくとも、それまで飲んだことがない人が無理矢理飲む必要はないといえるのだ。お酒を適量飲んだほうがお酒を一切飲まない人よりも健康だ、というのは1つの側面に過ぎないのである。
お酒の長所
お酒は適量であっても健康に悪いのだろうか。お酒には一切長所がないのだろうか。実は、お酒にもいくつかいい効果がある。たとえばワインやウイスキーの香りはアロマ効果があり、リラックス効果がある。ビールに含まれるホップにも気分を落ち着ける効果がある。適量のお酒には、デメリットもあるがメリットもあるのだ。
お酒を飲むときの注意点
お酒を飲む際は、誰かほかの人と一緒に飲むようにしよう。1人で飲むとスピードも速くなり、胃にも悪影響だ。また、イッキ飲みもイッキ飲みをさせることも危険な行為だ。さらに飲酒後の入浴は避けたり、定期的な健康診断なども必要である。適量を考えるのも必要だが、それ以上に節度を持ってお酒を楽しむことが大切だろう。
3. お酒の適量は人によって違う

お酒の適量を考える場合、考慮すべきは個人差だ。最後に、人種や遺伝、年齢などとお酒の適量の関係について紹介する。
お酒の適量と個人差
まず、お酒が分解できるかどうかに関しては人種の区分がある。実はアルコールに弱い体質はモンゴロイドに特有だ。欧米系の人と比べて日本人がお酒が弱いといわれるのは、日本人の体質によるものなのだ。しかも遺伝上の関係もある。さらに、男女の性差も関係する。一般に、男性より女性の方がお酒に弱いとされているがこれも性差によるものだ。ほかにも年齢によるお酒の弱さもある。高齢になればなるほど肝機能が落ちるためお酒に弱くなる。さらに体重が軽い人と体重が重い人では、同じ量のお酒を飲んでも体重が軽い人の方が早くアルコールに酔いやすくなる。このように、さまざまなファクターが集まってお酒の強さや弱さが決定される。したがってお酒の適量にも個人差があるのは当然なのだ。
血中アルコール濃度とは?
お酒の適量のファクターのひとつに、血中アルコール濃度がある。血中アルコール濃度は、以下の式で算出可能だ。
{お酒の量(ml)×お酒の度数(%)}÷{833×体重(kg)}
たとえば、アルコール度数が5度のビール大瓶1本(633ml)を体重60kgの人が飲んだとする。すると血中アルコール濃度は0.063%になるのだ。ほろ酔いの定義は、血中アルコール濃度が0.05~0.1%といわれているので、ぜひ参考にしてほしい。
{お酒の量(ml)×お酒の度数(%)}÷{833×体重(kg)}
たとえば、アルコール度数が5度のビール大瓶1本(633ml)を体重60kgの人が飲んだとする。すると血中アルコール濃度は0.063%になるのだ。ほろ酔いの定義は、血中アルコール濃度が0.05~0.1%といわれているので、ぜひ参考にしてほしい。
アルコールの飲み方
お酒には適量だけでなく、適切な飲み方もある。とくにおつまみは大切な要素だ。お酒を飲む際、おつまみを全く食べないのは、胃に優しくない飲み方である。おつまみ、とくにタンパク質のおつまみを食べると胃に優しいだけでなく、アルコールの分解も促進される。お酒を適量飲むときにはおつまみも食べるようにしよう。
結論
お酒には適量がある。この適量を超えてしまうと、肝硬変など重大な疾患を引き起こすこともある。また、お酒を飲んだ方が体にとってよいということも、側面として認められるだけで、ある種の疾病に関してはリスクが上がってしまう。さらに適量には個人差があり、お酒を同量飲んだ場合でも、人によって影響は異なるのだ。飲む際は嗜む程度に、楽しいお酒にとどめておこう。