目次
1. サトウキビから作られるお酒とは?

サトウキビといえば砂糖の原料だが、その糖度の高さはお酒にも向いている。サトウキビから作られるお酒の世界をまずは紹介しよう。
サトウキビで作るお酒とは
サトウキビを原材料にしたお酒で最も有名なものは、世界4大スピリッツの1つにも数えられるラム酒だ。ほかにも、日本をはじめとする各国にサトウキビ原料のお酒が地酒として発展してきた。フィリピンやブラジルなどでも、サトウキビを使ったお酒が造られている。サトウキビは非常に糖度が高く、ラム酒ももともとは砂糖を絞り終わったサトウキビの汁(糖蜜)を利用して造られている。砂糖を絞り終わっても、糖蜜には60%以上の糖分が含まれているほどの糖度の高さがサトウキビの特徴で、アルコール発酵に適しているのだ。
サトウキビと三角貿易とお酒の関係性
どうしてサトウキビのお酒の中でも、ラム酒が群を抜いて発展してきたのだろうか。その理由は17世紀の大航海時代にまで遡る。当時、西インド諸島やカリブ海周辺にはサトウキビは生えていなかったが、西インド諸島にたどり着いたコロンブスによってサトウキビが持ち込まれた。当時のヨーロッパでは砂糖の需要が拡大していたため、ヨーロッパからアフリカへ武器などが輸出され、アフリカから西インド諸島へは奴隷が輸出され、西インド諸島からヨーロッパへ砂糖が輸出されるという悪名高い三角貿易がなされることになったのだ。そんな中、サトウキビを絞った後にできてしまう廃棄物である糖蜜を利用し造ったのがラム酒なのである。砂糖の需要が拡大するにつれラム酒の生産も拡大した。このように、サトウキビとお酒には歴史的に密接なつながりがあるのだ。
2. サトウキビから作られるお酒にはどんな種類がある?

サトウキビはお酒の原料に最適だ。そのため各国でサトウキビを使ったお酒が造られてきた。出回っていないものも含め、サトウキビでできたラム酒以外のお酒を紹介しよう。
バシ
まずはフィリピンのお酒である「バシ」を紹介しよう。フィリピン・イロカノ族の造るお酒である「バシ」は、サトウキビをそのまま発酵させたものだ。ラム酒は蒸留酒だが、こちらは醸造酒である。サトウキビを石臼などでひいて液体状にし、それを軽く濃縮した後発酵させるというのがバシの造り方。度数はラムよりも低く8度から10度程度で、甘い味わいのお酒だ。
カシャッサ
こちらはブラジルで造られるサトウキビのお酒。サトウキビの絞り汁を発酵させ、時には1L当たり6gまでの加糖をしながら造る蒸留酒だ。ラム酒とカシャッサは同じサトウキビのお酒だが厳密に言えば異なり、実際には細かい規格が定められている。カシャッサを使ったカクテルで有名なのはカイピリーニャだが、ほかにもストレートで飲まれたり練乳やフルーツ類を混ぜて作る「バチーダ」やクローブなどのハーブを加えて作る「ケンタォン」なども有名だ。
黒糖焼酎
黒糖焼酎もまたサトウキビを使ったお酒である。日本固有のお酒で、鹿児島県・奄美群島で造られたものだけが黒糖焼酎と名乗ることができるのだ。サトウキビを黒糖にしてから焼酎にしている黒糖焼酎は、すっきりとした味わいと黒糖のコクや甘さで、焼酎の中でも非常に飲みやすい。ソーダ割りなどにして飲んでも美味しい焼酎である。
3. サトウキビから作られるお酒に合う料理やおつまみは?

では、サトウキビを使ったお酒に合うおつまみにはどのようなものがあるだろうか。お酒別に紹介しよう。
ラム酒に合うおつまみ
ラム酒は基本的に甘い香りと味わいが特徴だ。そのため、同様の甘さをもつものや、逆に塩味の効いたおつまみ両方に相性がよいお酒だ。甘いおつまみであればチョコレートが定番だが、ほかにも干し芋とクリームチーズのおつまみや同じサトウキビから作られた黒糖のくるみ餅などとも相性がよい。また、塩味のおつまみだと生ハムとグレープフルーツをマリネにしたものやアボカドの塩昆布和えなどとも相性がよい。
カシャッサと合うおつまみ
カシャッサはブラジルのお酒だ。そのためブラジルでよく食べられるようなおつまみと相性がよい。とくにブラジルの居酒屋で提供されるのは揚げ物が多いので、揚げ物と合わせるとよいだろう。ほかにも、タコのマリネやカニの身を殻に詰めてオーブン焼きにしたおつまみなども出されるようだ。サトウキビを使ったカシャッサと、揚げ物で乾杯するのも美味しいだろう。
黒糖焼酎と合うおつまみ
黒糖焼酎は飲みやすいが、おつまみと一緒だとさらに飲みやすくなる。サトウキビを使った黒糖焼酎には、同じサトウキビからできた黒糖を使ったおつまみが合うだろう。黒糖で胡麻を固めた「ごまざた」などは手軽で美味しいおつまみだ。また、ラム酒がチョコレートに合うように黒糖焼酎もまたチョコレートと相性がよいので試してみよう。
4. サトウキビから作られるお酒のおすすめの銘柄

最後に、サトウキビのお酒を3つ紹介しよう。
キリン「マイヤーズラム プラチナホワイト」
そのまま飲むだけでなく、カクテルに使いたい人にはこちらのお酒をおすすめしよう。ラム酒をチャコールでろ過することで、美しい透明の液体になるのである。カクテルベースなどとしても利用しやすいが、ロックで飲んでもサトウキビの甘い香りは健在だ。ほかのソフトドリンクと合わせて手軽に楽しもう。
ウェーバーハウス「カシャッサ アンブラーナ・オーガニック」
カイピリーニャのベースであるカシャッサも、手に入れることができる。とくにおすすめのポイントが、サトウキビの香りだけでなくアンブラーナという木の樽の香りがするのだ。この香りは桜餅やココナッツに似ていて、少し独特な味わいだ。
奄美大島にしかわ酒造「島のナポレオン」
サトウキビと天然水を使った黒糖焼酎で、すっきりとした味わいが特徴である。度数も少し低めなので、黒糖焼酎の初心者はまずこちらを飲んでみよう。クセがないので、お酒に不慣れな人でも飲みやすい焼酎だ。
結論
サトウキビは世界でさまざまなお酒になって愛されている。ラム酒だけではないサトウキビのお酒は、日本でも地酒としてしっかり根づいているのだ。もちろん世界4大スピリッツの名を持つラム酒も世界中で愛されるお酒になった。このようなことからもわかるように、サトウキビのお酒は無限の力を秘めているのかもしれない。