目次
- 1. 未開封の梅酒に「賞味期限」はない?
- 2. 開封済みの梅酒の賞味期限
- 3. 自家製梅酒の賞味期限
- 4. 梅酒の保管方法
- 5. 梅酒の賞味期限(消費期限)を見極めるには?
- 6. 梅酒の賞味期限に関するメーカーの見解は?
- 7. 梅酒を適切に保管して長く美味しく楽しもう
- 賞味期限:美味しく飲める(食べられる)期限
- 消費期限:その期間を過ぎたら飲まない(食べない)ほうがよい期限
- 冷暗所で保管する
- 直射日光を避ける
- 高温になる場所を避ける など
1. 未開封の梅酒に「賞味期限」はない?

梅酒は品質が劣化しにくいが「さすがに賞味期限はあるだろう」と思っている方も多いはずだ。実際のところどうなのか詳しく解説していく。
市販の梅酒には賞味期限が書かれていない?
スーパーや酒屋などで手に入る一般的な梅酒のパッケージを見てみると「賞味期限」の記載が見当たらないことに気づくだろう。すなわち市販の梅酒には賞味期限がないということだ(もちろん未開封のものに限る)。実は梅酒に限らず酒類は全般的に賞味期限がない。「◯年モノ」といったお酒が楽しめるのも、賞味期限がない酒類ならではというわけだ。
市販の梅酒に賞味期限がない理由
とりわけ開封前の梅酒は非常に腐りにくく、かつ品質の劣化も緩やかである。アルコールの殺菌効果で雑菌が繁殖しにくいといったことも大きい。
未開封であれば2年程度は飲める
保管方法にもよるが、冷暗所で適切に保管していた市販の梅酒は、未開封であれば2年ほどは飲めるといわれている。ただし長期保管していた梅酒を飲む際は、念のため異臭の有無や色がおかしくないか、および濁り具合なども確認したほうがよいだろう。
泡立つなどの変化が見られるときは?
保管状態によっては、いざ飲もうと思った梅酒が泡立っているということもある。不安になるかもしれないが、そんなときでも80℃ほどに加熱してお燗にすることで飲めるといわれている。とはいえ正しい知識がない場合、かつ心配なときは無理して飲まないほうがよいだろう。
賞味期限と消費期限の違いは?
梅酒は熟成し味わいが変化する。したがって「ある時点における味」をキープするという意味での賞味期限はあるかもしれないが、味は変化するものの飲めなくなるわけではない。つまり消費期限はないということになる。
2. 開封済みの梅酒の賞味期限

一方、開封したあとはどれくらいもつのだろうか?同じく市販の梅酒を例に解説しよう。
紙パックは半年〜10カ月ほどが目安
一般的な紙パックタイプの梅酒であれば、開封後6〜10カ月ほどが目安となる。瓶よりも短いが、それでも長期保管が可能な点はさすが酒類だ。
瓶であれば2年程度は飲めることがある
瓶に入っている梅酒は紙パックよりも空気に触れにくいため、より長期保管が可能になる。目安としては1年、長くて2年といったところだろう。忘れないように開封した年月日を書いておくと安心だ。
いずれも適切に保管してあることが大切
開封後の梅酒も長期保管が可能だが、いずれも冷暗所など適切に保管した場合の話である。キャップがきちんと閉まっておらず空気に触れていた場合、あるいは直射日光が当たる場所に置いてあった場合などは劣化が早まるおそれがあるため気をつけよう。
3. 自家製梅酒の賞味期限

ここまで市販の梅酒を例に解説してきたが、自家製梅酒の場合はどうだろうか?
自家製梅酒は2〜10年など長期保管が可能
あくまで「正しい知識と製法」かつ「徹底した衛生管理のもと」で作られた場合だが、自家製梅酒は一般的に2年ほど美味しく飲むことができるといわれている。適切に保管されていれば5年や10年など、さらに長期間楽しむことも可能であるという。当然その逆で製法が適当だったり衛生管理がなされていなかったり、保管方法が悪かったりすれば賞味期限は短くなる。
梅干しも食べることができる
正しい製法や衛生管理などが徹底された状態であれば、梅酒の中の梅干しも食べることができる。ただし梅の実にはカビが生えることがあるうえ、長期間漬けておくと崩れて苦くなることもある。仕込みから1年ないし2年ほどで取り出したほうが、梅酒を長持ちさせられる可能性が高いだろう。
自家製梅酒を作る際の注意点
ご家庭で梅酒を作る際は酒税法についても正しく理解しておくことが大切だ。同法では「使用するお酒はアルコール度数20度以上のもの」などが定められている。アルコール度数20度未満のお酒で梅酒を作る行為、販売目的で自家製梅酒を作る行為などは酒税法違反となるおそれがあるため気をつけよう(※1)。
4. 梅酒の保管方法

お伝えしているように、梅酒は賞味期限こそないものの保管方法が不適切であれば劣化が進んでしまう。一度、梅酒の適切な保管方法についても確認しておこう。
梅酒の適切な保管方法
こうした点は守ることが大切だ。冷暗所ではなく、スペースがあれば冷蔵庫で保管するのもおすすめである。また自家製梅酒を作る場合、ホワイトリカーやそれに近いアルコール度数のお酒を使うとより長期保管が利く。
容器は紙パックよりも瓶がおすすめ!ペットボトルはNG
自家製梅酒を保管する場合、容器は瓶がおすすめだ。紙パックは空気を通しやすいため、瓶よりも劣化が早い。上述したように開封後でも半年〜10カ月ほどが目安になる。一方、瓶であれば空気に触れにくいため、梅酒の入れ物としてはもっとも適している。透明な瓶よりも有色の瓶のほうがより日光を通しにくいのでおすすめだ。
なおペットボトルに入れるのは控えよう。ペットボトルには目に見えない細かい孔があいているため保存に適さない。
5. 梅酒の賞味期限(消費期限)を見極めるには?

梅酒は賞味期限がないとお伝えしているものの、保管状態などによっては劣化するしカビが生えることもある。飲まずに廃棄したほうがよいケースもあるので覚えておこう。
梅酒の酸味とは異なる「酸っぱさ」を感じる
梅酒特有の酸味とは異なる、いわゆる腐ったような酸っぱいにおいを感じる場合、あるいはひと口飲んでみて違和感を覚えるような酸っぱさを感じた場合は飲むのを控えよう。雑菌が繁殖していたり、腐っていたりするおそれがある。
舌がピリピリするような刺激がある
こうしたケースも、同じく雑菌が繁殖していることが考えられる。残念だが飲むのは控えたほうがよいだろう。
これまで見られなかった浮遊物や沈殿物がある
梅酒特有の「濁り」とは異なる浮遊物や沈殿物が見られる場合、カビかもしれない。容器の下層部の濁りは梅などから出た成分のため問題ないが、カビとの区別がつきにくいこともあるだろう。少しでも不安なときは、もったいないが飲まずに廃棄したほうが賢明だ。
6. 梅酒の賞味期限に関するメーカーの見解は?

メーカーは梅酒の賞味期限についてどのような見解を示しているのだろうか?せっかくなので参考までに紹介しておこう。
梅酒メーカーによる賞味期限の見解
たとえばサッポロビール株式会社は、未開封の梅酒に賞味期限は「ない」としている。お伝えしているように未開封の梅酒は品質の変化が起こりにくいためだ。ただし開封済みの梅酒はできるだけ早く飲むよう推奨している。
梅乃宿酒造株式会社は賞味期限はないとしつつも、美味しく飲める推奨期間として2年程度と回答している。このようにメーカーによってさまざまだが、美味しく飲みたい場合は2年程度を目安にするとよいだろう。
梅の実の賞味期限は?
梅酒の中に入っている梅の実の賞味期限はどれほどだろうか?たとえばチョーヤ梅酒株式会社「梅酒のうめ」は、高温多湿と直射日光を避けての常温保存が条件で製造から1年半程度としている。7%程度のアルコールは含むものの、梅の実は賞味期限があることを覚えておこう。
7. 梅酒を適切に保管して長く美味しく楽しもう

梅酒の賞味期限の目安を市販の未開封・開封済み、自家製などに分けて解説してきた。思いのほか長く楽しめると感じた方も多いのではないだろうか?実際の賞味期限に関しては保管状態や紙パックか瓶かなどケース・バイ・ケースだが、冷暗所かつ直射日光を避けるといったポイントを押さえておけば長く保管できるはずだ。ぜひ梅酒を少しでも長く、美味しく楽しむための参考にしてほしい。
結論
梅酒を始めとする酒類には、基本的に賞味期限がない。とはいえ保管方法に気をつけなければ劣化は進む。カビが生えることもあるので要注意だ。においや味に少しでも「おかしい」と感じる部分があったり、明らかにおかしな浮遊物や沈殿物が見られたりする場合などは、残念だが廃棄することをおすすめする。
(参考文献)
※1:【自家醸造】|国税庁