1. ブランデーには種類によってランクが存在する
ブランデーのランクについて解説する前に、ブランデーを代表する種類である、コニャックとアルマニャックについては知っておきたい。これらはブランデーの中でも、唯一厳しい条件下でランクが定められている種類であり、その品質は世界を代表するブランデーとして広く認知されている。
コニャックとは
コニャックとは、フランス西南部に位置するコニャック地方で造られているブランデーである。16世紀頃から続く長い歴史を持つブランデーで、原料のブドウには主にユニ・ブランという品種が使用されている。ブドウ畑はクリュと呼ばれ、土壌の質によって6つの地域にランク分けされていることが特徴だ。全国コニャック事務局により、主に7つのランクが設けられている。世界5大コニャックとも呼ばれる「ヘネシー」、「マーテル」、「カミュ」、「レミーマルタン」、「クルボアジェ」が代表銘柄である。
アルマニャックとは
アルマニャックとは、フランス南部に位置するアルマニャック地方で造られているブランデーである。コニャックよりも歴史が古く、14世紀頃には薬用として重宝されていたと伝えられている。こちらも原料のブドウには主にユニ・ブランが使用されており、ブドウ畑は3つの地域にランク分けされていることが特徴だ。全国アルマニャック事務局により、主に7つのランクが設けられている。コニャックほど流通量が多くないが、代表する銘柄には「シャボー」や「ジェラス」などがある。
2. ブランデーのランクの見分け方
本項では、気になるブランデーのランクの見分け方をはじめ、ブランデーのランクの種類についても解説する。よくブランデーのラベルで目にする表記の意味を、しっかり頭に入れておこう。
ブランデーのランクの見分け方について
ブランデーのランクとは簡潔に解説すると、原酒の熟成年数の長さによって分けられている。ブランデーの熟成年数にはコントという単位が用いられ、熟成年数を重ねるごとにコントの数も上がっていく仕組みだ。また、一般的にブランデーはさまざまな熟成年数の原酒をブレンドして造られるが、ブレンドした原酒の中で、最も若い熟成年数のブランデーを基準にランクが付けられる。前述の通り、ランク付けに厳正な基準が定められているブランデーは、コニャックとアルマニャックのみである。ほかのブランデーの場合、同じランク表記であってもメーカーが独自でランク付けしたものであり、確実に熟成年数を保証するものではないと覚えておきたい。
コニャックのランクの種類
では種類別に、ブランデーのランクを熟成年数が短いものから順に紹介していこう。コニャックのランクの場合、コント2以上の「スリースター」、同じくコント2以上でスリースターの上位版「V.S(ベリー・スペシャル)」、コント4以上の「V.S.O.P(ベリー・スペリオール・オールド・ペール)」、コント6以上の「ナポレオン」、コント10以上の「X.O(エクストラ・オールド)」、同じくコント10以上でX.Oの上位版「オール・ダージュ」、コント14以上の「X.X.O(エクストラ・エクストラ・オールド)」に分けられる。そのほか、メーカー独自のランク表記が使用されるケースもある。
アルマニャックのランクの種類
次にアルマニャックのランクだが、ランク表記はほとんど同じでも、出荷可能になる熟成年数がコニャックと異なるので、その違いも押さえておこう。コント1以上の「スリースター」、コント2以上の「V.S」、コント4以上の「V.O(ベリー・オールド)」、同じくコント4以上でV.Oの上位版「V.S.O.P」、コント6以上の「ナポレオン」、コント10以上の「X.O」、同じくコント10以上でX.Oの上位版「オール・ダージュ」に分けられる。またコニャックと同じく、メーカー独自のランク表記が使用されるケースもある。
3. 最上級ランクのブランデーを飲みたい
さまざまなランクがあるブランデーの中でも、最上級ランクのブランデーはファンであれば一度は味わってみたい憧れの品である。しかし最上級とされるブランデーとは、一体どのような価格で取引されているのだろうか。実際のケースを見ると、ボトル1本で数百万から数千万、さらには4億円以上で取引された実績もある。最上級ランクでもとくに希少価値の高いブランデーになると、とても現実的な数字とはいえないほどの価値が付くこともあるという。しかしこれらの種類は、目にすることですら稀であるといえる。そこで本項では、比較的に流通量が多い最上級ランクのブランデーから、おすすめを紹介していこう。
ヘネシー「ヘネシー リシャール」
「ヘネシー・リシャール」は、コニャック・ブランドのヘネシーの創業者である、リシャール・ヘネシーの名を冠したブランデーである。厳選された100種類以上の原酒をブレンドした味わいは、まさにコニャックの最高傑作であると称えられている。ヘネシーの価値観を象徴するブランデーとして、世界中のファンから愛される逸品だ。
レミーマルタン「レミーマルタン ルイ13世」
「レミーマルタン ルイ13世」は、コニャック・ブランドのレミーマルタンが手がける、高級ブランデーの銘柄である。最大で1200種類にも及ぶ原酒を巧みにブレンドして造られており、その複雑で高貴なアロマは、舌の上に1時間以上も余韻を残すほど濃厚といわれる。1874年の誕生以来、最上級ランクのブランデーの代名詞ともされる銘柄だ。
4. 上級ランクブランデーの美味しい飲み方
最後に、上級ランクのブランデーの美味しい飲み方について解説する。せっかく上級ランクのブランデーを手にしたものの、飲み方がわからず困っている人はぜひ参考にしてもらいたい。また、本項では加えてブランデーグラスのおすすめも紹介する。上級ランクのブランデーの魅力をたっぷりと堪能しよう。
ブランデーの美味しい飲み方
ブランデーの王道の飲み方は、ストレートである。とくに上級ランクのブランデーであれば、ストレートこそ上質な香りや味わいが最も際立つ飲み方といえる。しかしストレートでは飲み口が重く、飲みづらいという人もいるだろう。そういった人には水割りやオン・ザ・ロック、またソーダ割りなどもおすすめだ。香りは弱くなってしまうものの、さっぱりとした飲み口でブランデーを味わえる。また、ブランデーはさまざまなショートカクテルのベースとしても重宝されているが、簡単なカクテルをひとつ紹介すると、ジンジャーエールで割ってみてはいかがだろうか。フレッシュな香りとスパイシーな味わいが調和して、飲みやすいカクテルに仕上がる。もしあれば、ビターズも少量加えるとより香りが引き立つ。これは実際にレミーマルタンが公式でもおすすめする飲み方なので、ぜひ試してみよう。
ブランデーグラスにもこだわる
ブランデーグラスといえば、風船のように丸い形をしたバルーングラスが定番というイメージだが、実際にはさまざまな形のブランデーグラスが存在する。たとえばチューリップのように、中央にくびれのある形が特徴のブランデーグラスであれば、より舌先でブランデーを味わうことができ、同時にふわりと立ちのぼる香りも楽しめる。ウイスキーグラスのように、下部に丸みのあるブランデーグラスも人気の種類だ。上級ランクのブランデーは、お気に入りのブランデーグラスでじっくりと時間をかけて楽しんでほしい。
結論
これまで何気なくブランデーの表記を見ていた人は、実はそれがブランデーのランクを表すものとは思わなかったかもしれない。ブランデーは熟成年数が長いほど高級品として扱われ、その価値は種類によっては計り知れないものになることも知ってもらえただろう。本記事を機に、さまざまなランクのブランデーを飲み比べ、自分好みの味わいを見つけてみてはいかがだろうか。