1. メスカルとは?
メスカルはアガベ(竜舌蘭)という多肉植物を原料にして造られる、メキシコの伝統的な蒸留酒だ。葉を切り落としたアガベを地中に埋め、蒸し焼きにしてから絞ったエキスを発酵させ蒸留する。この蒸し焼きの過程によって生まれるスモーキーな香りがメスカルの特徴のひとつだ。まずは代表的なメスカルをいくつかみていこう。
シナイ「シナイ ホーベン ブランコ」
オアハカ州で自社栽培のアガベから造られているオーガニックのメスカルだ。畑仕事から瓶詰めまで一貫して自社で行われており、職人の手で造られた優しい味わいが楽しめる。
コチ「コチ ホベン エスパディン」
土の中で蒸し焼きにされたアガベ由来の、土壌を思わせる香りやスモーキーさが楽しめる。アルコール度数は47%と高めだが、ストレートでも飲んでも美味しい。
2. メスカルとテキーラの違い
メスカルは、同じメキシコでアガベから造られる蒸留酒のテキーラと混同されがちだ。ふたつには一体どういった違いがあるのかをみてみよう。
原材料
テキーラはアガベ・アスールという品種のアガベのみで造られる蒸留酒だ。それに対しメスカル造りにはアガベ・アスールも含んだ52種類の品種を使うことができ、品種による味の違いが感じられる。
産地
テキーラはメキシコの5つの州で造られており、そのひとつのハリスコ州で全体の9割近くが生産される。一方でメスカルは9つの州で生産され、この中にハリスコ州は含まれていない。
熟成
テキーラは樽熟成を経て出荷されることが多く、高級なものは長期熟成されていることも多い。反対にメスカルは、アガベの持つ風味を楽しむために樽熟成しないものがほとんどだ。
3. メスカルに芋虫が入っている理由は?
メスカルのボトルには芋虫が沈んでいる商品がある。これは昔、メスカルを水で薄めた粗悪品が横行した際に始まった。芋虫を入れても腐らないメスカルはアルコール度数が高い、つまり加水していないという証明だったのだ。次は、知らないで見るとギョッとしてしまう、芋虫の入ったメスカルをみてみよう。
グサーノロホ「グサーノロホ」
グサーノとはスペイン語で芋虫のことだ。商品名のグサーノロホは赤い芋虫を意味し、ラベルにも赤い芋虫が描かれている。
ベネヴァ社「ベネヴァ コン グサーノ」
ベネヴァ社はオアハカ州で最高級のメスカルを造ることで知られている。この商品はホワイトオークの樽で熟成された芋虫入りメスカルで、スモーキーな香りが独特だ。
4. メスカルの正しい飲み方
メスカルはアルコール度数が高いためカクテルベースなどにも使われるが、基本はストレートで飲まれている。生のオレンジを少しかじり、ショットグラスに注いだメスカルをすするというのが現地の飲み方だ。最後は、メスカルを飲むときにおすすめのグラスを紹介する。
ボルミオリ・ロッコ「ダブリノ ショットグラス」
イタリアの老舗グラスメーカーが造る、さまざまなお酒に使えるショットグラスだ。シンプルな品のある見た目でコストパフォーマンスも良いため、普段使いにおすすめできる。
アルクインターナショナル「イスランド ショットグラス」
フランスの食器メーカーが造る高級感のあるショットグラスだ。透明度が高いガラスなのでお酒の色見を楽しみたい人に特におすすめしたい。
結論
メスカルは普段なかなか見かけることが少ないものの、じわじわと人気が高まってきているお酒だ。通販などで手に入る銘柄も増えてきており、東京にはメスカルを揃えたバーもできている。テキーラとはまた違った風味が楽しめるので、ぜひメスカルを見かけた際は手に取ってみてほしい。