目次
1. 口噛み酒とは?

口噛み酒は、映画「君の名は。」に登場したことで話題になった。口噛み酒は映画のために作られたわけではなく、実際に実在していたお酒である。まずは口噛み酒の歴史や世界の口噛み酒がどんなものかについてみていこう。
口噛み酒の歴史
日本で日本酒造りがスタートしたのは弥生時代のことだ。当時はお米を口に入れて噛み、それを容器に入れてお酒作りをしていた。この方法で作られたお酒を口噛み酒という。また、映画で出てきたように神事に使われることが多かった口噛み酒は、巫女など若い健康な女性によって作られていたといわれている。
世界の口噛み酒
口噛み酒は日本だけでなく世界のさまざまな国で作られてきた。中南米の国々ではトウモロコシを使ったり、台湾の民族は米やアワを使って口噛み酒を作っていたそうだ。ペルー南部で作られるチチャはその中でも有名で、現在も一部では口で材料を噛む作業によって作られている。
2. 口噛み酒が出来るメカニズム

どうやって口噛み酒ができるのか、不思議に感じる人も多いだろう。穀物を噛むことでお酒ができる、というのは現代人からするととてもミステリアスだ。次は口噛み酒ができるメカニズムについてみていこう。
唾液が麹の役割を果たす
日本酒造りには麹が必要である。まず麹の力でお米のデンプンを糖分に変え、その糖分からアルコールを作るというのが基本の工程だ。そして、私たちの唾液にも麹が持つような働きをするアミラーゼという酵素が含まれている。つまり口噛み酒は、唾液が麹と同じ役割を果たすという仕組みを利用して作るお酒なのだ。
3. 口噛み酒の作り方

口噛み酒を作ることは現実的には可能だが、日本では禁止されている。ここではどうやって作られるかを記載するが、自分で作ることは法律違反である点を理解し絶対に行わないように気を付けてほしい。
酒税法に違反する?
酒税法では免許を持たない個人がアルコールを製造することを禁止している。口噛み酒を作ることも米を発酵させるという酒造行為になるため、法律違反だ。好奇心から酒税法違反をしてしまうことがないよう注意してほしい。
作り方
作られ方はシンプルで、米を口の中で数分噛み甘さを感じるようになったら容器に吐き出すだけだ。空気中の天然酵母と唾液中に酵素によってアルコール発酵が起き、ヨーグルトのような味わいの酒が完成する。しかし前述した通り、個人の口噛み酒作りは酒税法違反であるほか、衛生面についても安全とは言えないため、絶対に作らないようにしてほしい。
結論
口噛み酒は原始的なお酒に思えるが、紀元前に道具も使わずお酒を作る方法を見出した人たちのアイデアは素晴らしいものだ。お酒の歴史を紐解くと、さまざまな知恵や発想を知ることができて楽しい。お酒をただ飲むだけでなく、今飲んでいるお酒がどういった変遷を経てその姿になったのかも追求してみてはいかがだろうか。